ある日、本屋で買った鉄道の本を読んでいたら、「ぷらっとこだまエコノミープラン」というものを見つけました。なんでもこれはJR東海ツアーズの主催旅行で、JR東海ツアーズでしか買えないのだけれど、めっぽう安く、在来線運賃に数百円〜千数百円加えるだけで新幹線に乗れるそうです。(詳細はリンクの「ぷらっと」を見てください。)
でも特に用事はないし、おいそれと新幹線には乗れないなあと思っていたら、あの歌のうまいアイドルの酒井美紀ちゃんが静岡で握手会をやるということをアイドル雑誌で見ました。
よし、これで目的ができた、ぷらっとこだまエコノミープランで静岡に行こう、と考えました。
ちょっと握手会までは時間があるけど、その間に静岡鉄道にでも乗ろうと考えました。
帰りはまだ乗ったことのない御殿場線経由で帰ろうかと思いました。
山手線は、無事東京駅に到着した。
ぼくが今手にしているのは、東京駅までのきっぷと、数日前にJR東海ツアーズ八重洲北口店で買った「東京→静岡」のぷらっとこだまエコノミープランの券である。
新幹線の中間改札に行きこれら2つを見せると、東京駅までのきっぷは回収され、ぷらっとこだまの券にスタンプが押されて無事通過できた。
案内板を見て午前8時過ぎのこだまを見つけてホームに行く。
なにしろ3年ぶりの東海道新幹線である。3年前は京都から静岡まで乗ったので、東京駅の東海道新幹線というと、修学旅行以来実に10数年ぶりとなる。
東北新幹線は数多く乗っているが、東京から西にまったく縁がないので東海道新幹線には用がなかったのである。酒井美紀ちゃんの握手会でもなかったら乗ることもなかっただろう。
ホームにこだまがやってきたので乗った。自分の席を探す。本に載っていたとおり、2列+2列の4列席で、普通の席より広くなっている。なかなかいいサービスのようだ。
そのうちとなりに女性が乗ってくる。ほかにもお客がぞくぞく乗り込んでくる。そして発車。
ひさしぶりの東海道新幹線、初めてのこだまの旅の始まりである。
こだまはゆっくりゆっくりと品川のあたりまで進み、トンネルを通って住宅地の中を進む。
なにしろ今日乗る区間は10数年ぶりで、修学旅行のときは景色なんて覚えていないから見るものすべてが初めてである。
車掌がやってきたのでぷらっとこだまのチケットを出し、またスタンプを押してもらう。となりの女性もぷらっとこだまのようだ。今乗っている車両の近辺の座席一帯すべてぷらっとこだまの客のようである。
なにしろ自由席より安い指定席なので、知っている人は使うのだろう。人気のようである。
新横浜に着いた。けっこうまわりにビルが多い。交通の拠点で、ビジネス街になっているのだろう。
また発車だ。しばらくするとようやく市街地を離れ、田園風景の広がる郊外になる。
車内販売がやってきた。ぷらっとこだまはドリンク券がついているのでドリンク券を出してホットコーヒーをたのんでみる。無事コーヒーをついでもらえた。
コーヒーの値段は300円で、めったにたのもうとは思わないが、こういう機会にコーヒーを飲んでみるのもいいものだと思った。小田原に着いた。
小田原では5分ほど停車するとアナウンスがあった。その間に窓の外を別の新幹線がゴォーと通り抜けていった。ひかりだろう。
最近はひかりがこだまをどんどん追い抜いていくダイヤになっているようで、さらにもう1本ひかりが通り過ぎていった。確かにこういうダイヤではこだまは1時間に2本しか走れないのだろう。
小田原を過ぎると新幹線は海の近くを通る。しかしトンネルも多く、東海道本線より海はそんなに見られない。そして熱海を過ぎると新丹那トンネルを抜けてすぐに三島に到着する。
ここでまた5分くらい停車してひかりに2本ほど抜かれる。ずいぶんとこだまっていうのは長い停車を繰り返すんだなと初めて乗って実感した。
三島を過ぎてもトンネルに入ったり田園風景を見たりして、目的地静岡に到着した。
となりの女性も降り、どうやら近い席の人はみんな降りるようだ。おそらく東京から静岡まで乗る人がみんな近くの席にまとめられているのだろう。
まずは降り、階段をおりて新幹線の改札にチケットを渡して改札を出る。
まずは帰りのきっぷを買わなければならないが、みどりの窓口はお客でいっぱいで時間がかかりそうである。うーん、どこか旅行会社できっぷをたのめないだろうか。
ぼくは駅を出て、大通りを進んでみることにした。そうすると東急観光があった。まだ10時にはなっていない。9時50分だ。しかし営業時間を見てみると、9時45分からだった。ここでたのんでみるか。
ぼくは静岡→沼津(御殿場線)国府津→東京→新木場のきっぷをたのんだ。
きっぷを作る人が間違えないように、時刻表の地図にえんぴつで印をつけて、この区間でつくってくださいと言って渡して待った。
新木場まで買う理由は、静岡は東京からの距離が中途半端なので、新木場まで買っても東京までの運賃で行けるのと、あした幕張でおもちゃショーがあるので海浜幕張まで行くつもりだったからである。
直接海浜幕張まで買うより新木場で区切った方が安いのだ。新木場の駅にあるコンビニはビールが売っているので買って飲もうと思っている。
15分くらいで静岡→新木場のきっぷができたので買う。これでよし。
つづいて酒井美紀ちゃんの握手会の会場の確認である。10時を過ぎていたのでもう駅ビルはオープンしている。エスカレーターで上がり、上の方の階でステージらしい場所を見つけたので行ってみた。
アイドルファンっぽい男が5人ほどいて、そばには酒井美紀ちゃんの握手会の案内があった。
以前行った池袋のサンシャインみたいに、10時にCDを買って握手券をもらうというわけではなく、握手会直前に店員が来て売るスタイルのようだ。
とりあえず場所確認は完了した。だが握手会までは時間がある。
ぼくはその間にこのあたりを走る静岡鉄道という私鉄にでも乗ろうかと思った。なんとか新清水まで行って帰って来られるだろう。ぼくは静岡鉄道の始発の新静岡駅に行こうと、下りエスカレーターに乗った。
静岡駅の駅ビルからエスカレーターで1階までおりてきた。まずは新静岡駅を探す。東急観光があった通りより東の通りを進んでみる。
バスターミナルがあった。ターミナルの名前は「新静岡」である。このあたりかな?
とりあえず近くの建物に入ってみた。うーん、駅って場所じゃないなあ。
ためしに地下におりてみた。食料品売り場がある。
と、その一角に改札と自動券売機があった!なんと静岡鉄道の新静岡駅はデパートの地下にあったのである。さっそく新清水駅まできっぷを買い、改札を通る。
ホームがあり、線路があり、電車があった。ここはデパートの地下である。
乗ってみたが、本当にだいじょうぶかと思えるくらいお客は少ない。そのまま発車だ。
電車は地上に出る。けっこう短い間隔で駅があり、停まっていく。そのわりにお客の乗り降りは少ない。まあ、土曜の朝11時なんて、電車に乗るお客の数はたいしたことはないのかもしれない。
しばらくJRの姿は見えず、JRとは離れたところを通っていたようだが、ようやくJRが見えてきた。しかも静岡鉄道の方がJRをまたぎ越して駅に停まった。草薙駅だ。ここはJRに近いようだ。
相変わらずお客は少ないままJRのそばを通り、ひんぱんに駅に停車していたが、またJRから離れ、終点の新清水駅に到着した。ぼくは帰りは運賃の安いJRで静岡駅まで行こうと思った。JRの清水駅はどれくらい離れているだろうかと考えながらぼくは改札を出た。ここは古い町並みの中心部のようだ。
新清水駅のそばには酒屋があった。よし、ビールでも買って飲もうかと考えた。
このころ好きだったビールに、キリンのシャウトというビールがあった。シャウトがあるかどうかきいてみることにした。
「すいません、キリンのシャウトっていうビールありますか?」
店員「ないですね。アイスビールっていうのがあるんですが。」
「じゃそれにします。」
アイスビールもキリンのビールだったが、飲んだことがないビールだった。飲んでみたらかなりうまい。しかしアイスビールを飲むことは二度となかった。うまいものはすぐに失われてしまうと思う。
さて、JR清水駅に行こう。さびれた商店街を進む。かなり歩いた。やっと踏切に着いて渡る。踏切から東京の方向に歩くとJRの駅のようだ。さらに歩く。
着いた着いた。これで酒井美紀ちゃんの握手会までに静岡駅の駅ビルに帰れそうだ。きっぷを買おうとJR清水駅に入っていった。
静岡鉄道の新清水駅から歩いてなんとかJR清水駅までやってきたぼくは、静岡駅まできっぷを買った。静岡鉄道は290円、JRは230円である。静岡鉄道は細かく駅があるのでそういう駅近くの人が使うのだろう。改札を抜けてホームに行くと電車がやってきた。さすがに静岡鉄道より混雑している。貨物駅のようなところを通り抜け、ふたたび静岡駅に戻ってきた。ここで降りる。
さて、確認しておいた駅ビルの酒井美紀ちゃんの握手会の会場に行こう。
やってくると、お、見慣れた雰囲気の男たちがぞくぞく集まっている。ぼくもその1人だけど。
そのうちかたすみでCDを売り始めたので買うことにする。新曲の「ずっとあなたを忘れない」だ。ここに来る前に池袋でも酒井美紀ちゃんの握手会に参加しているが、その時はアルバムを買って握手券をもらった。
今度はアルバムはなく、このシングルだけのようだ。買って今度も握手券をもらう。
そして券の順番に整列してすわる。
しばらく待つと酒井美紀ちゃんがやってきた。まずは新曲の「ずっとあなたを忘れない」を歌った。今日も歌はうまい。
それが済むといよいよ池袋でもあったクイズ大会だ。
ここで2ヶ月か3ヶ月前の酒井美紀ちゃんの池袋での握手会の話をする。
池袋ではなんとぼくは抽選に当たってしまい、クイズをしてはずれるとバツゲーム、当たると酒井美紀ちゃんと2人で写真を撮ってもらってプレゼント、ということになった。問題は、「酒井美紀ちゃんの出身地は?」というもので、当然ぼくは「静岡」と答えて正解となり、写真となったのだが、いざ写真となるとぼくは緊張してしまい、ビシッと「気をつけ」の姿勢になってしまったのだった。
司会のお姉さんは、「笑わないんですかぁ?」などと言うし、観客は「パッとサイでりあ〜!」などと言うし、そんなこんなでわけのわからないクイズ大会だった。
けど、さすがに静岡で抽選に当たることはなく、ぼくは男どもがクイズに答えるのを見ていた。
しかし今回のクイズは池袋のクイズと違ってとてもむずかしいものだった。半分以上ぼくが答を知らないものばかりだった。
でも、男どもは美紀ちゃんみたいにかしこいやつらばかりだった。問題につぎつぎと正解し、みんな美紀ちゃんとツーショット写真を撮っていくのだった。
とうとう池袋の時と同じく全員正解でバツゲームはなしとなった。
あとはアルバムのこばんざめCD「恋する気持ち」を歌ったり、もう一度「ずっとあなたを忘れない」を歌ったりして、さていよいよ握手会、ぼくを含む男ども(女の子もいたなあ)が行列になって、そして池袋と同様に酒井美紀ちゃんと握手したのである。
無事イベントも終わったので駅ビルから改札に行き、午前中に東急観光で買っておいた「静岡→新木場」のきっぷを見せて改札に入った。
午後の晴れ渡る空気の中、電車に乗り、まずは沼津に向かった。土曜日の午後だったので多少混雑しているが、まあ、こんなものだろうなあと思った。
電車は平地をすいすい進み、沼津に着いた。さあ、ここから未知の世界、御殿場線だ。がんばって乗ろうと思い、ぼくは電車を降りた。
静岡から乗ってきた電車を沼津で降り、御殿場線ホームに向かった。
東海道線と変わらない電車が停まっている。乗るとさすがに高校生でいっぱいだ。そのまま発車。
高校生たちは駅ごとに降りていくが、まだすわれない。窓から景色を見るとけっこういい景色である。箱根と富士にはさまれた、あまり広くない谷間を走るのが御殿場線なのだろう。東海道本線のバイパスであるが、お客は多いようだ。
御殿場でも高校生たちがおりるが、まだすわれない。数駅してやっとすわれると安心して眠ってしまう。
起きるともう神奈川県に入っているようだ。御殿場近辺と比べると左右の山が高く、山あいの景色である。
いつのまにか車内はがらがらになっており、いい雰囲気である。松田を過ぎてもお客は増えない。このあたりは小田急を使う客はいても御殿場線はあまり使われていないのだろう。
国府津が近づいた。東海道本線のレールが近づき、合流していく。
今年は、2月の北海道旅行、4月のぶらっとクイズラリーに触発され、私鉄にたくさん乗っている。この前も京浜急行の浦賀に行くルート、逗子線、小田急の多摩線、京王の唐木田などに乗っている。
そして今日も御殿場線に乗ることができた。今後ともたくさん電車に乗りたいな、と思いながら国府津に着いた。
あとはそのままアパートに戻るのもなんなので、昔よく行った川崎にでも降りて、夕食でも食べようと思いながら東京方面のホームに行って電車を待った。
国府津で東京行きの電車を待つ。やってきた。ありゃあ。オール二階だてアクティーだあ。
実はぼくは二階だて車両はあまり好きではないのだ。天井が低くて網棚も狭いからである。
でも電車に入ると二階だて部分でない、ドアを入ったところと同じ高さの場所があいていた。これは貴重だとその4人がけの席にすわった。そこまではよかった。
平塚で、若い女性3人組がぼくの席にすわってきた。なんとも狭くなってしまったがいたしかたない。
この席を選んだのは女性たちなんだから立つ必要もないだろう。そのまま何も会話することもなく川崎まで乗っていた。川崎で立ち上がり、電車を降りて改札に行き、きっぷを見せた。
「静岡から新木場?はいどうぞ。」無事途中下車できた。
しばらく来ていなかった川崎だが、いつものようにエスカレーターを降りてアゼリアの地下街に行く。
そしてよくアイドルが来ていたステージの前を通り、南の方の出口から外に出る。そして南の方に歩いていく。
大通りからはずれた通りにカレー屋があった。ここに入ろう。
カレーはうまかった。ぼくが一番好きな食べ物はいまだにカレーで、2番目がラーメンである。
寮の近くにも店があることがあるのだが、そんなに行きたくなるような店ではないので、こうやって遠くに行く機会があればいろんな店に行ってみたい。
カレーも食べ終わったことだし、京浜東北線で寮に戻ることにした。あしたはおもちゃショーに行こう。