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69.はじめての周遊きっぷ

説明

背景

1998年3月31日。ついにワイド・ミニ周遊券、一般周遊券が廃止されてしまいました。
そして1998年4月1日。新しく「周遊きっぷ」という制度がスタートしました。

周遊きっぷは北海道・四国・九州などの旧ワイド周遊券、青森・十和田、東京、京阪神などの旧ミニ周遊券の自由周遊区間を引き継ぐものもあれば、新しくスタートするものもあります。

利点としては、自由周遊区間に相当する「ゾーン」ではどこでも在来線特急自由席が乗り放題になったこと、欠点としては「ゾーン券」の有効期間がどこでも5日になってしまったことなどがあげられます。

ともかく全国各地にゾーンができました。ワイド・ミニ周遊券時代には乗れなかった場所もあります。逆に大糸線の新潟県区間など、ワイド周遊券では乗れてもゾーンからはずれてしまった区間もあります。さててはじめにどこに行くのがいいでしょう。

計画1

ぼくは最初に「木曽路・恵那峡ゾーン」を使うことにしました。その理由は、

・JR東日本エリアはどのゾーンもたいていウィークエンドフリーきっぷを使った方が安いことが多く、損だ
・東海道新幹線を使うゾーンはたいてい601キロ以内で、ゆき券やかえり券の割引率が20%でなく5%になってしまう(そういうルールがある)ので損だ

そんなことを考えると、ぎりぎりJR東海エリアにある木曽路・恵那峡ゾーンがいいという結果になったわけです。

さて、いつも周遊券を買っていた旅行会社にまた来て、紙に経路を書いて持っていきました。とは言ってもゆき券もかえり券も東京都区内から塩尻まで中央本線で進むだけでそれほどめんどうではないはずでした。

できあがるまでとっぷりと待ちました。10分、20分・・・

旅行会社にはいすがあるのですわれるからいいです。JRの窓口だといすがないからこういう時たいへんです。
それでも一般周遊券と違ってその日のうちにできあがるからまだいい方かもしれません。

40分たってできあがりました。なにしろ、周遊きっぷを申し込む人なんてこの店ではぼくがはじめてかもしれません。
でもできあがったゆき券、ゾーン券、かえり券を良く見るとゾーン券の有効日が1日ずれていたので「ちがう!」と叫んで打ち直してもらいました。一般周遊券なら間違っていた場合数日後になってしまうことを考えるとその場で直してもらえるのはありがたいです。

そんなわけで周遊きっぷができあがりました。ワイド周遊券は横長の券でしたが、周遊きっぷはどの券も横幅10センチもない短いきっぷでした。

計画2

それから塩尻までの特急券を買いました。指定席だと寝坊したときにめんどうなので自由席にしてもらいました。
ただ、かえりは塩尻からだとすわれないかもしれないので、上諏訪始発の「はまかいじ」という特急に乗ることにしました。この特急は八王子から横浜線に入ってしまうので、上諏訪から八王子まで買うことにします。

宿は当時使っていたクレジットカードのホテルリストに塩尻のホテルが載っていたので電話して無事取れました。

さて、旅行当日を迎えました。

よくよくゆきの特急券を見ると、「東京→塩尻」になっています。
あれ?東京始発の特急なんてあったっけ?と思いましたが、時刻表を見ると東京駅発車の臨時の特急あずさが出ていました。

臨時列車ならすいているから自由席でもすわれるかもしれないなと思い、ぼくは東京駅に向かったのです。

中央本線その1

自動改札

東京都区内の某駅の改札にやってきた。

今までワイド周遊券やミニ周遊券は、自動改札を通れないのが普通だった。しかし今持っている周遊きっぷは、3枚ある「ゆき券」「ゾーン券」「かえり券」のいずれも小さなサイズで、自動改札を通れそうなのだ。

ためしに「東京都区内→塩尻」と書かれた「ゆき券」を自動改札に入れてみた。なんと無事通れてしまった。
まあ、周遊きっぷになっていろいろ不便になった点も多いが、そうでないことも多いのだろうと思い、東京駅に向かった。

普通はあずさと言ったら新宿駅から乗るものだが、なぜか特急券をたのんだら東京発の自由席特急券を出されたのだ。で、よくよく時刻表を見たら東京発の臨時あずさが出ているので乗ってみようと思ったのである。塩尻での特急しなのへの接続も良い。

発車

東京駅にやってきた。臨時あずさが出るまで時間があるので、あずさの出る中央線ホームの下にある「あじさい」というそば屋に行って食事でもしようと思った。
しかし朝早いので「朝メニュー」しかなく、ボリュームが少なくおなかもいっぱいにならないものしかなかった。まあしかたないかと食べてみた。そして駅弁でも買おうと思い、通路の駅弁売り場で「深川めし」を買った。あずさの中で食べよう。

中央線ホームに上がる。土曜日のこの時間はそれほど人が多いわけではない。お客が快速電車に乗り、新宿方向へ向かっていく。けっこうすわれるようだ。
そしてあずさがやってきた。時刻表どおりとは言え、ここのホームに特急の車両が来るというのもめずらしい。
自由席に乗る。1両に5人もいなかっただろう。臨時列車はすいているのだ。まずは深川めしを食べ始める。
去年松山で食べた醤油めしという駅弁に似たサイズの駅弁で、味付けも良くてうまい。めったに東京駅で駅弁を買うことはないが、たまには駅弁もいいかなと思った。そしてあずさは発車。

高架をおりていき、神田・御茶ノ水を過ぎる。御茶ノ水から先は4年前に松本から錦糸町まであずさに乗っているのではじめての特急の景色というわけではないが、ふだん大混雑の車内からしか見られない景色をガラガラの車内から見られるというのは気分のいいものである。

新宿に着いた。向こうの方には新宿始発のあずさがあって、ものすごく混雑しているがこっちのあずさにはほとんど乗ってこない。なんとか1車両10人を超えたくらいだが、相変わらずガラガラである。それだけ見届けたところで眠ってしまう。

停車

気がつくともう左右に山々が広がっている。腕時計を見ると、もう小淵沢(こぶちざわ)を過ぎている時刻である。だいぶ眠ったなあ。

しばらく山々を見て、だんだんとまちなかに入っていき、茅野(ちの)に到着した。

なぜか茅野でしばらく停車する。茅野を出て、上諏訪では10分以上も停車だ。なんでかなあ。やっぱり臨時列車だからだろうか?

上諏訪を出て左右を見ると、あれ?この区間って単線か!

中央本線は、茅野と岡谷の間の市街地区間になぜか単線区間があるのだ。

なるほどなあ。左右に建物が迫っているから複線にできなかったのか。それでも駅と駅の間が短い区間だから臨時列車さえなかったらなんとかなる区間なのだろう。臨時列車は停車時間が長くなるんだろう。

そんなふうにして岡谷に着く。岡谷から先はさすがに複線なのですんなり進み、目的地、塩尻に到着である。ぼくはあずさを降りた。しなのに乗り換えるため、階段を上がった。

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中央本線その2

塩尻〜木曽福島

東京駅から乗ってきた臨時特急あずさを塩尻で降りた。4年ぶりに塩尻で降りる。改札はきょうの夕方出ることになるが、まずは乗り換えだ。

階段を上がっておりて名古屋行きの特急しなのを待つ。やってきた。あれ?4年前に乗ったしなのと車両が違う!

4年前に長野から松本まで乗ったしなのは確か昔から全国にあった特急と同じで、車体の上の方がうすい茶色で、下の方が濃い茶色っぽい車体だった。
それが、今日のしなのはムーンライトながらと良く似た色で、オレンジ色なのだ。

時代は変わってしまったんだなあと感じた。
さすがにながらみたいに出入り口のドアと座席との間に仕切りがないなんてことはなく、ちゃんと仕切りがあり座席とデッキの間のドアもあったので、ながらと同じ車両ではないようだ。座席もあいていた。すわって発車。

4年ぶりに通るこの区間であるが、あの時はずっと立ったままだったのでろくに景色を見ていない。見てみよう。

とは言っても長野県なので山が左右に見えるだけである。でも小淵沢(こぶちざわ)と茅野(ちの)の間の景色と比べると、若干平地が少なく山が迫っているようだ。トンネルを何本かくぐる。

木曽福島駅周辺

そして目的地、木曽福島(きそふくしま)に到着だ。めざす駅は南木曽(なぎそ)なのだが、南木曽にしなのは停車しないので木曽福島で普通列車に乗り換える必要があるのだ。

いったん木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券を見せて改札を通る。普通列車まで時間があるので木曽福島の駅の近くを歩いてみた。

しかし、あまりおもしろいものも見あたらない。

住宅は多いけど、大きな店は見あたらない。おととし歩いた芸備線の備後庄原(びんごしょうばら)の駅近くみたいな感じだ。

それでも備後庄原で見かけなかった郵便局は見かけたし、備後庄原より坂が多く階段の多い場所だなあと思った。もうすぐ電車が来る。駅に戻ろう。

駅には高校生がたくさんいた。土曜日だからなあ。ゾーン券を見せて改札を通り、ホームに行く。

木曽福島〜南木曽

やってきた電車は4年前に乗ったのと同じ、ボックス席ばかりの電車であった。乗ろう。

さすがに今は青春18きっぷが使えない季節なのでそれほど混雑しているわけでもない。土曜なので学生は多いがなんとかすわれた。そして発車。

木曽福島から南木曽まではけっこう時間がかかった。学生が駅ごとに降りていく。そしてめざす南木曽に到着。電車を降り、ゾーン券を見せて改札を通った。

南木曽でも馬籠行きのバスが出るまで時間があった。どこかで食事でもできないかな?

駅前に弁当屋があった。弁当を買っていこう。入ってみた。唐揚げ弁当を注文する。

弁当ができるのを待っている間、店を見回すと、なんと「5/31に閉店します」という貼り紙がしてあった。南木曽はこんな駅前の一等地にある店がつぶれてしまう場所なのである。また1つ旅が不便になるなあ。

唐揚げ弁当ができあがった。店を出て、バス停のそばですわって食べた。もうすぐ馬籠行きバスの出る時刻だ。

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バス・南木曽〜馬籠

南木曽〜妻籠

南木曽(なぎそ)駅で弁当を食べてバスを待つ。バス停には客が集まってきたが、それほど数は多くない。全員すわれるだろう。

バスがやってきた。客を降ろしていき、運転手はいったん休憩するようでどこかに行く。客が乗り込んですわり、しばらく待つ。

運転手が戻ってきて乗り込み、発車。バスはそれほど細くない道を進んでいく。

でも途中、細い道に入り込む。しばらく細い道を進んでまた太い道に戻る。たいていの路線バスと同様に、ここのバスも沿線の乗客の乗り降りを考えて集落に立ち寄っていくようだ。バスは山あいを進んでいく。

バス

そして時刻表にも載っている、妻籠(つまご)に着いた。ここでかなり客が乗ってくる。妻籠は見たところ観光地らしい。

この日はそのまま通過したが、あとで馬籠より妻籠の方が観光にはふさわしいと聞いたので、もしもう一度来ることがあったら寄ってみようと思った。

(数年後に妻籠に来た。客の少ない時に来たのでふんいきのいいところだった。)

妻籠〜馬籠

さて、バスは妻籠から客をかなり乗せて、上り坂をのぼっていく。いかにも県境といった感じだが、坂の手前もむこうも長野県なので実は県境ではない(1998年現在)。

森の中をバスは進む。大昔はここが中山道だったと思うとたいへんだなあと思う。JRの方はトンネルをくぐるから峠は越えなくていいのだろう。

途中、古びたお店を見つけた。ぼくはそば屋かなあと思ったのだが、あとで知ったところによるとただの茶店(ちゃみせ)とのことだ。きっと中山道時代からこのあたりには歩く人たちのための茶店があったのだろう。バスはさらに進み、峠を越えて下り坂になった。

森をぬけて木々が少なくなっていく。
そして終点馬籠の1つ手前の停留所になった。なぜかけっこうな数の客が降りていく。はて?何があるのかな?
窓の外を見ると、古びた店が数軒見える。そして下り階段が続いているようだ。とりあえずバスに乗り続けよう。

バスはぐるっとカーブして進み、終点に着いた。バスを降りる。

馬籠周辺

うへー。なんだこりゃ。

大きな駐車場があり、観光バスがたくさん停車している。

そしてゾロゾロとお客がたくさん歩いている。年輩客も若い客もいる。
馬籠ってこんなところなのか。

まあ、何もしないのもなんだから、お店があるらしい場所に進んでいく。のぼり階段があって、両側に店があるようだ。
どうやらさっきの停留所は、この階段をのぼって進んだ先にあるらしい。知っている人はさっきの停留所で降りて、階段をくだっていくのだろう。

ともあれ階段をのぼる。古そうな店だ。
あとで知ったことだが、これらの店は江戸時代からずっと続いている店ではなく、明治以降に建てられた観光用の店とのことだ。

まあ売っているものも、馬籠だけで売っているものもなさそうだし、こういう古い店もけっこういろいろなところでありそうだ。とにかく観光客が多すぎてやっていられない。

きょうは時間に余裕があるので、もう少し観光もできそうだが、次の中津川行きに乗ってしまうことにした。さあ、バス停を探そう。なんとか中津川行きバス乗り場を見つけた。

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バス・馬籠〜中津川

旅行記本文

すっかり落胆して馬籠(まごめ)から中津川行きのバスに乗った。なにしろほとんどの観光客は観光バスだから路線バスに乗る客なんかたかが知れている。楽にすわって出発。

中津川に行く道は、南木曽(なぎそ)からの道と違い、峠を越えるといった感じもないが、人家は多くない。

バスは長い下り坂をくだっていく。馬籠は中津川と比べるとかなり標高が高いようだ。

中津川の市街地はせまいようで、かなり駅に近づいたところでようやく市街地に入っていき、たちまち終点の中津川駅に到着である。南木曽よりずっと短い距離のようだ。

ぼくは木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券を見せてバスを降りた。まだ特急しなのの発車時刻まで時間がある。さてどうしようと思ったら駅前にダイエーがある。よし、夕食とあしたの朝食でも買っていこうと思い、ぼくはダイエーに入った。

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中央本線その3

中津川〜塩尻

馬籠(まごめ)から乗ってきたバスを中津川駅前で降りた。駅の右手にはダイエーがある。よし、ここで今日の夕食とあしたの朝食を買っていこう。

ダイエーに入ると、なぜか「閉店セール」と書いてあり、品物もあまり多くなかった。

えーっ?こんな駅前の一等地にあるダイエーが閉店なの?とぼくはびっくりした。

その後次々と全国のダイエーが閉店していくのをまのあたりにするのだが、このころはそんなことは思わず、南木曽(なぎそ)でも駅前の弁当屋が閉店するそうだし、駅前だからなんとかやっていけるというわけではないんだな、と感じた。

とりあえず、シーフードヌードルがなんと78円なのでこれを夕食にすることにした。あしたの朝食はこのパンでいいだろう。もうそろそろ長野行きしなのの時刻だ。

駅で「木曽路・恵那峡ゾーン」のゾーン券を見せて改札を通る。なにしろ塩尻から恵那(えな)まで乗り放題なのだから、塩尻から中津川・恵那まで2往復するのである。

しなのがやってきた。さっき乗ったのとほぼ同じ車両である。自由席には余裕があり、またすわることができた。しなのは発車し、トンネルを通る。

トンネルを出てしばらくすると、左手に川が見えた。木曽川のようだ。そして、川の中州に大きな岩が見える。

川

なんでも「寝覚ノ床(ねざめのとこ)」という岩らしい。よくわからないがけっこういいながめだ。しなのはそのまま進み、数時間前に降りた南木曽、木曽福島を通り過ぎていく。またトンネルを通る。

就寝

そして目的地、塩尻に着いた。きょうはクレジットカードのホテルリストにあった駅前の宿で泊まる。

乗り換えたことは数回あるが、降りるのはきょうがはじめてである。塩尻駅前はあまり商店は多くなく、どちらかというと住宅街っぽい場所であった。

なんでも塩尻駅は移転したということで、移転する前の場所は商店がここより多いとのことである。とりあえずホテルを探す。

駅から百メートルちょっと離れた住宅街の中にホテルはあった。チェックインする。ダイエーで食事は買っているので食事なしで泊まる。

ことし2月には豪華な宿に3泊もする旅行をしたが、やっぱりこれくらいの地味な宿の方がぼくの旅行にはふさわしいような気がする。まずはシーフードヌードルにお湯を入れて食べる。そして風呂に入る。あしたはけっこうゆっくりできる。ぐっすり眠った。

塩尻〜恵那

目が覚めた。よし、予定の時刻に起きられた。

きのうダイエーで買っておいたパンを食べる。そしてチェックアウト。宿が駅に近いと便利である。またしなのに乗ろう。

また木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券を見せて改札を通り、ホームに行く。名古屋行きのしなのがやってきた。今回も自由席は空いていた。

きのう見た寝覚ノ床をまた見たくなり、寝覚ノ床の側、すなわち右側の席にすわる。すわると出発である。

またトンネルをくぐり、山と山の間を進んでいく。また寝覚ノ床までやってきた。今度も川の中の石が見えていい景色だ。

さらにトンネルをくぐって中津川に着いた。きょうはさらに恵那まで進む。

さすがに岐阜県側は長野県より山が深くなく、たいして時間もかからずに目的地、恵那に到着である。

改札にゾーン券を見せて、4年ぶりに改札を通る。4年前は明知(あけち)鉄道に乗ったが今日は用がない。さあ、バス停を探そう。

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恵那峡遊覧船

ゆき

塩尻から乗ってきた特急しなのを恵那(えな)駅で降りると、駅のまわりは工事中らしかった。すぐそばに遊覧船行きのバスも見つかったので乗ってみたが、客はぼく1人である。そして発車。

バスは中央本線でないふみきりを渡る。このあたりで中央本線でない鉄道は明知(あけち)鉄道だけだ。こんな鉄道だったっけなあと思いながら進んでいく。恵那駅を離れると、木々が続く道をのぼったりおりたりする景色になる。
途中で客が乗ってくるが、遊覧船乗り場に着く前に降りてしまう。

だいぶ進んだところで数人乗ってくる。なんでもかんぽの宿があるそうだ。かんぽの宿ってどこにあるのかわからないが、あまり便利なところにはなさそうだから縁がない。なぜかアナウンスが「このバスは恵那駅行きとなります」に変わった。どうやらこのバスは「循環扱い」のようだ。そしてしばらく進むと遊覧船乗り場前に到着。バスを降りた。

さて乗り場はどこだろうと見回したが、ずっと下り坂が続く道がある。これに沿って歩けばいいようだ。
ずんずん歩いた。時間に余裕があってよかった。ぎりぎりだったら間に合わないだろう。

なんとか川が見えてきた。川のそばに建物がある。入ってみよう。
窓口があって、客が並んでいる。きっぷ売り場だ。

窓口

さてぼくは木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券を持っていて、案内によればこの券で遊覧船にも乗り放題のようだ。でももしかしたら、以前一般周遊券で筑波山に乗った時のように、窓口にゾーン券を見せて乗船券を出してもらわなければならないのかな?と思い、行列のうしろに並ぶことにした。

やがて順番が来たのでゾーン券を窓口に渡した。
思ったとおり、乗船券が渡され、ゾーン券が戻ってきた。

乗船券が出てきたところで待合室を見回すと、「ルート券・周遊券をお持ちの方は窓口で乗船券と引き替えてください。」という案内が見えた。
さすがに周遊きっぷになったからと言って、案内を変えるのはめんどうだったのだろう。

一般周遊券は3月まで売っていたからいいとして、ルート周遊券とはまた何年前に廃止されたかわからない案内があるなあと思った。
あとできいたところによると、以前はここの港を出てここの港に帰ってくる遊覧船ばかりでなく、もっと木曽川の上流の港からここの港に向かう遊覧船も出ていて、その船を含むルート周遊券だったとのことである。
上流の港には中津川からバスが出ていたとのことである。

無事乗船券が出てきたので、まずはめでたいと思った。まだ乗船時刻まで時間があるが、さすがにさっきくだってきた道を引き返してのぼる気にはなれない。必然的に川に沿って散歩することになる。

調査

船着き場から多少離れたところで川をながめていると、女性が話しかけてきた。

女性「ちょっと質問したいのですが、よろしいですか?」
ぼく「なんですか?」
女性「ここに来る前に、岐阜県内のほかの観光地に行かれましたか?」
ぼく「きのう馬籠(まごめ)に行ったんですが。」
女性「馬籠は長野県ですね。」
ぼく「ああそうですか。泊まりは塩尻でした。」
女性「はい、わかりました。岐阜県内の観光はここだけ・・・と。ありがとうございました。」

なんだかよくわからないが、あくまでも岐阜県にこだわった調査のようだ。ここは長野県境に近いのだから、岐阜県に近い馬籠と合わせて観光する人も多いはずなのに、どこのどういった調査なのだろう。いずれにしても日曜朝にこんな場所に来るのだからたいへんだ。

あとは何もすることがなく、川をながめていた。

ころあいも良くそろそろ乗船時刻が近づいたので乗船券を引き替えてもらった場所に行く。

するとどこから現れたのか客がものすごくたくさんいる。40人くらいだろうか。たぶんここの近くの宿に泊まった客なのだろう。パック旅行なんだろうなあ。

とにかく並ぶ。案内があり、船に通された。けっこう大きめの船だ。遊覧船にしては大きな船である。満員というほどでもないが、だいぶ席が埋まった。そして出航。

船

船は右に曲がって進んでいく。左右に岩はだが続く峡谷である。そのうちアナウンスがあった。

船から見える川の中の岩、あっちの岩、こっちの岩に勝手に名前をつけて、「この岩は○○岩と呼ばれています」などとアナウンスしている。

その後ぼくは全国でこういう川の遊覧船に乗ることになるのだが、この時点ではここくらいだったので、ふーん、遊覧船ってこういうものかと思った。

まあ、いいながめだし、空気もいいし、健康に良さそうなところだから悪い観光地じゃないのだろう。そのうち船はUターンする。
するともう1そう船が見えた。客が多いと船は何そうも出るらしい。あっちの船1そうだけでパック旅行客全員かもしれない。

そうやって船はもと出た船着き場に戻ってきた。船をおりる。
なにしろ1250円もする船に木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券で乗れるのである。恵那駅までの往復のバス運賃のことを考えると、ゾーン券の半分はこの船関連ということになる。なんともお得なゾーンだなあと思った。

かえり

船をおりてバス停に戻る。
そう言えばバス停から船の乗り場までだいぶくだってきた。だから帰りはのぼりなわけだ。

なんとかバス停までたどりついた。時間がぎりぎりだったら間に合わないだろう。しばらく待つと恵那駅行きのバスがやってきた。さっきと同じく「循環扱い」なので客が何人か乗っていて、乗り終わると恵那駅に向かって進んでいく。
あれだけいた船の客はほとんどこの路線バスには乗ってこない。それだけほとんどの客がパック旅行客だということだ。

バスはもと来た道を進んでいく。船のにぎわいに比べて路線バスの客は悲しいくらい少ない。なんとかバスは恵那駅まで戻ってきた。

帰りの特急しなのは恵那には停車しないので、普通列車で中津川に行ってしなのに乗り換えになる。まだ電車まで時間がある。駅前にラーメン屋があるのでラーメンでも食べていこう。
客が混雑していたら間に合わなさそうだが、客はおらず、注文してそれほど時間もかからずにラーメンが出てきた。いただきます。

ラーメン

今日もそれほどまずくないラーメンが食べられた。まずはめでたい。ここのラーメン屋は南木曽の弁当屋や中津川のダイエーみたいに閉店しないといいなあ。ごちそうさま。

ラーメン屋を出て恵那駅に戻った。

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中央本線その4

旅行記本文

ラーメン屋を出て、恵那駅に戻った。ころあい良く中津川行きの電車が来る時刻である。

今度の長野行きの特急しなのは午前中の名古屋行きしなのと違って恵那には停まらない。だから普通列車で中津川まで行く必要がある。木曽路・恵那峡ゾーンのゾーン券を見せて改札を通り、ホームに行く。

電車がやってきた。きのう木曽福島から南木曽(なぎそ)まで乗ったボックス席ばかりの電車ではなく、オールロングシートのけっこう新しい電車である。長い編成で空席が多かったのでなんとかすわれた。発車だ。

電車は進み、終点中津川に到着だ。そしてしなのを待つ。

なんと雨が降ってきた。おりたたみ傘をさす。だんだん雨が強くなる。しなのがやってきた。乗って出発。今度も自由席に空席はあった。

雨

あとは同じ景色を引き返していくわけで、寝覚ノ床も通るわけだが、雨が降っているので窓はくもっており、たいした景色も見えなかった。

トンネルをくぐり、この旅3度目になる目的地、塩尻に到着である。しなのを降りる。

さて東京に帰るわけだが、ぼくが乗る予定の上諏訪始発の特急はまかいじが出るまで時間がある。まずは普通列車で上諏訪に向かい、駅のまわりを散歩したいが、中津川で降り始めた雨は相変わらず塩尻でも降り続いている。まずは予定通り進もうと思い、階段を上がった。

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中央本線その5

塩尻〜上諏訪

中津川から乗ってきた特急しなのを塩尻で降りた。

さて、もし塩尻から新宿まで特急あずさに乗る場合、自由席だとすわれない可能性がある。なにしろ4年前に松本から錦糸町まであずさに乗った時、松本で自由席は大入り満員になっていたのだ。

なので、塩尻から新宿寄りの駅が始発の特急に乗れば自由席でもすわれると考えた。そんな特急があるか?

幸いきょうは日曜なので、そういう特急があった。「特急はまかいじ」である。この特急は上諏訪が始発で、上諏訪から八王子まで中央本線を進んだ後で横浜線に入り、横浜まで行く特急である。これなら上諏訪で乗れば自由席でもすわれるんじゃないかと考えた。

そんなわけで普通列車に乗る。やってきた。

なにしろ雨なのでそれほど客はいなかった。電車は塩尻を出て、みどり湖に行き、トンネルに入っていく。トンネルを出ると岡谷だ。
さらに電車は進み、無事上諏訪に着いた。電車を降り、今回はじめて手にする「塩尻→東京都区内」の「かえり券」を見せて改札を出た。

昼食

相変わらず雨は降り続いている。このあたりには諏訪湖(すわこ)があるはずだが、この駅は諏訪湖に近いのだろうか?

ぼくはかさをさして、諏訪湖がありそうな方向に歩き始めた。

しばらく歩くと湖畔に着いた。何かのイベントをやっている。日曜日だからなあ。

ボートの競争をしているようだ。どのボートにもおとな1人とこども1人が乗っている。雨は相変わらず降り続いているし、大変だなあと思いながら湖を去る。

上諏訪駅に戻る途中、そば屋の看板を見つけた。長野県はそばどころだからなあ。

恵那駅前でラーメンは食べているものの、もう少し腹には余裕があるし、時間にも余裕がある。とりあえず看板の方向に進んでみた。

そば屋に出た。けっこうどっしりした感じの店だ。入ってみよう。

うわー。店の中もなんだか本格的って感じだなあ。値段もちょっと高く、とろろそばが1400円だ。よし、これにしよう。

注文すると、それほど時間もかからずにそばが出てきた。食べてみた。もしかしたらこれが「そば粉100%」ってやつかなあ。

そば

まさにそばらしいそばを食べたような気がする。たまにはこれくらいのぜいたくはしてもいいだろう。満足して店を出た。そして駅に戻る。

帰宅

ころあいも良く、もうすぐ特急はまかいじが来る時刻になった。またかえり券を見せて改札を通り、ホームに行く。入線を待つ。

特急はまかいじの車両が入線してきた。なんと、去年2月に乗った特急踊り子で使われている、185系の電車であった。つまりリクライニングしない車両ということだ。

ありゃりゃ、中央本線なのに、特急にリクライニングしない車両が来るなんて、やっぱり臨時列車だからかなと思った。

ぼくがはじめて185系電車に乗ったのはもう16年も前のことになる。あのころは定期券で、普通電車として乗ったので、さすがに2列席の車両はいいものだなと思ったが、今は全国の特急列車にたくさん乗っていて、特急と言えばリクライニングするのがあたりまえと思っているので、185系はちょっと特急としては格下だなあと思った。

まずは乗る。さすがに臨時列車なので自由席にはたいして客はいない。すわって発車だ。はまかいじは茅野に停車するが、たいして客はやってこない。そのまま進み、山あいを進んでいく。

はまかいじは八王子から横浜線に入るので八王子で降りなければならないため、寝過ごさないようにしなければならないので、ぐっすりとは眠らないようにしていた。はまかいじは甲府に着いたが、やはりあまり客は乗ってこない。甲府始発の特急かいじもあるし、新宿に行かない特急だから客は少ないのだろう。

笹子トンネルをくぐり、大月を過ぎて高尾を通り、目的地の八王子に到着した。ここで降りる。降りたホームの向かいには八高線の電車が見えた。

今回の旅もなんとか終わったなあと思いながら東京行きの電車に乗り換えてアパートに向かった。もう暗くなっていてたいして休めないが、今回の旅ではほとんど電車にはすわれたし、あした会社だがたいして体に影響はないだろう。アパートに帰って風呂に入って休むことにしよう。

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