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18.高速バスと快速むさしの

説明

1994年はぼくにとって鉄道ファン生活のはじまりの年でした。2月の北海道旅行を皮切りに、まずは近場からJR私鉄問わずいろいろな鉄道に乗っておりました。

さて、それとともに気になる存在がありました。高速バスです。
時刻表を見ると確かに「ハイウェイバス」という項目があり、夜行バスをはじめとしてたくさんのバスがページをつらねておりました。

手始めにどこか乗ってみたいです。どこにしましょう。
なんとなくぼくは、河口湖行きの路線あたりに乗ってみたいような気がしました。
どう予約したらいいのかわからないですが、とりあえず河口湖行きの場所にある電話番号に電話してみました。
河口湖行きは新宿からのバスと浜松町からのバスがあるので、とりあえず浜松町からのバスを予約しようと思い、乗る時刻を決めて電話してみました。

しかし、なぜか電話の相手は浜松町からのバスなんかない、新宿だけだ、それにそういう時刻のバスはない、この時刻ならあるとこたえてきました。しかたなく向こうが行って来た時刻で新宿から河口湖まで予約しました。

あとで知ったことですが、河口湖行きはいくつかのバス会社が乗り入れていて、バス会社ごとに電話番号が決められていて、1つの電話番号では1つのバス会社の便しか予約できなかったのです。
高速バスを予約するのははじめてだったのでそこのところがわからなかったわけです。ぼくがかけた電話番号は浜松町には乗り入れていないバス会社だった、というわけです。

とりあえずなんとか予約できたのでバスに乗る日を待ちました。その日がやってきました。
しかしその日は朝から雨でした。でもどうせバスに乗るだけだし、バスを降りたら電車に乗って帰るつもりだったので、まあいいかと思い、新宿に向かいました。このようにしてはじめての高速バス旅行は始まったのです。

高速バス・新宿〜河口湖

バスターミナル

新宿駅にやってきた。まずは駅を出る。

4月に熊谷駅そばの書店で買った「はじめての高速バス」という書籍によれば、河口湖行きのバスターミナルは西口を出てしばらく進むらしい。書籍の通りに進んでみた。
あったあった。いかにもバスターミナルである。バスが停まれる停留所っぽい場所があり、待合室っぽい場所がある。とりあえず窓口に行ってきっぷを買おう。窓口はどこかな。
窓口を見つけた。電話で予約したと言い、自分の名前を言ってお金を払うと乗車券をもらえた。これでよし。バスはしばらく待つようだ。

時刻表にある通り、いろいろなバスが発車していく。河口湖だけでなく、甲府行きとか松本行きとかがこのバスターミナルから出ているようだ。全然知らなかったけど、高速バスってかなり客がいるんだろうなあ。

乗車

ようやく発車時刻が近づいた。なんでも同じ時刻に何台かバスが発車し、ぼくが乗るバスは「3号車」とのことだ。そりゃお客はたくさんいるわけだし、時刻表ではひとつの発車時刻でも何台かバスが出るだろう。
とりあえず待合室からバス乗り場に出る。せまい道路である。やっぱり新宿だからそんなに広い場所は取れないのだろう。
まず1号車が来て、お客がどんどん乗り込む。次に2号車。また乗り込んでいく。最後に3号車だ。あれ?それほど客はいないなあ。

運転手に、さっき買った乗車券を渡してバスに乗り込む。
乗ってみると、普通の観光バスっぽいバスで、左右2人がけシートだ。そう言えば3号車と1号車2号車で多少バスのつくりが違うようだ。1号車2号車はいわゆる「3列シート」で、左右の座席の間隔があいているバスらしい。
そう言えば「はじめての高速バス」にもバスの台数が多い場合、「グレードの違う」バスがやってくることがあるとか書いてあったような気がする。この本のとおりということなのだろう。

発車

1号車2号車は満員らしいけど3号車はがらがらである。どういうことなのかわからなかったが、天気が雨なのでお客が少ないのかもしれないなと思った。まあいろいろあるのだろう。さあ、出発だ。バスはせまいバスターミナルを発車していく。
バスは発車すると、細い道を曲がりながら進む。そしていったん甲州街道に出る。ゆっくり進んでとある曲がり角を曲がる。
それからのぼり坂をのぼっていく。どうやら首都高に上がるようだ。のぼり切ると首都高に出た。そのままスピードを上げて西に進んでいく。

バス

首都高・中央自動車道は会社の研修、それから用事のための移動で会社のバスに乗ったことがある。だからこのあたりの景色もなじみがある。自分の金で通るのは初めてであり、はじめての高速バスがなじみの道なのは意外と気後れしなくていいかもしれない。高井戸からは中央自動車道だ。

競馬場

おなじみの競馬場を過ぎて山にわけ入っていく。八王子を過ぎる。
中央本線は何度か行ったことがあるが、高速道路は鉄道とは違うながめが好きである。大月のジャンクションを河口湖方面に曲がる。
ずっと進んでいく。ねがわくば晴れていれば良かったが、6月なのだからぜいたくは言えないだろう。もうすぐインターチェンジだ。

河口湖駅前

インターチェンジを出てしばらく進む。まずは富士吉田駅(富士山駅の1994年現在の名称)だ。けっこうな集落になっているところである。富士吉田を出てさらに進む。 高速は何度か通った場所だからなじみがあるが、富士急行の駅にはその時には行ってないので違う道のはずだ。なにしろ太陽が出ていないのでどっちの方向に進んでいるのかわからない。
それでもそれほど時間もかからずに、バスは終点に到着した。ここが河口湖駅前らしい。確かに駅がある。バスを降りる。はじめての高速バス体験も無事すんでまずはめでたい。

さてどうしよう。やっぱり昼食にするか。
駅前のみやげもの屋っぽい建物に入る。会社の寮にいる身分なのでおみやげを買っていく相手もいないが、食堂があるかもしれない。
食堂はやっぱりあった。定食を注文する。あまり混雑していないのですぐ出てきた。お客も少ない。やっぱり雨だからだろう。

食事

無事食べ終えた。さてどうしよう。別に観光とかしようとは思わなかった。すぐに電車で帰ろうと思った。ぼくは店を出て河口湖駅に向かった。

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富士急行

河口湖〜富士吉田

食堂を出て富士急行の河口湖駅にやってきた。まずはきっぷを買おう。
自動券売機はちゃんとあった。大月まできっぷを買う。大月から先は大月で買おう。

改札を通ってホームに行く。それにしてもお客が全然いないなあ。やっぱり雨だからかなあ。
それともやっぱり高速バスを使う人が多いのかなあ。なにしろぼくが乗ったバスも、1台目と2台目は満席だったみたいだからなあ。
ホームにあった電車に乗る。どの電車も大月には行くだろうから迷わずに乗る。全然客のいない電車である。なぜかボックス席がたくさんある。
客が少ないまま発車する。

そのうち富士吉田駅に着き、また発車する。あれ?逆向きだ。こんなに短い路線なのに、途中で方向が逆になるのか。
がらがらなので、逆向きでも景色が良く見える席に移動する。

富士吉田〜大月

そのうちアナウンスがあった。なんとこの電車はホリデー快速むさしの号、大宮行きだとのことだ。あれ?
いつのまにか大宮行き臨時列車に乗ってしまった。うーん、もしこの電車が大宮行きでなかったら、普通に高尾に行って京王にでも乗って寮に帰ろうと思っていたんだけどなあ。
よし、大宮に行こうと思った。この電車は以前乗ったホリデー快速鎌倉号と同様に、どうやらふだん貨物列車しか通らないレールを通るらしいからだ。そう決めた。

車掌が来たので大月までのきっぷを見せ、大宮まできっぷを買う。うーん、大宮まで行くんだったらホリデーパスを買っておいた方がよかったなあ。
まあ、きょうははじめての高速バスに乗る日だからこんなものでいいか、と思い返した。
大宮に来た後どうするかだが、もう午後おそく、そんなに電車に乗るわけにはいかないから、大宮から出ている新交通システム、埼玉新都市交通にでも乗ろうかと思った。

大月〜立川

景色は盆地の景色である。中央自動車道から見える景色とそれほど変わらないような気もするが、やっぱり高架の道路と地上の電車で多少は違うのかもしれない。景色はしっかり見ておこう。

電車は大月に近づいた。電車はガッチャンコと言いながら富士急行のレールからJRのレールへと移動し、JRの方の大月駅に到着した。ほとんど降りる客も乗る客もいない。
たいていの客は新宿に用があるはずで、大宮などという行き先を見て自分には用のない電車だと思って乗らないんだろう。そう思った。大月を発車していく。

山

そこから立川までは普通に進んでいく。たいていの大月から来る普通列車の終点の高尾を過ぎ、八王子を通って立川に着く。相変わらずほとんど降りる客も乗る客もいない。

立川〜西浦和

立川を出る。どこかで武蔵野線に進むはずだ。ホリデー快速鎌倉号みたいにトンネルを通るのかな。

しばらくするとむさしの号は中央本線の東京行きのレールと高尾行きのレールの中央を、スーッとくだって地下に入っていった。やっぱりトンネルか。
そのまま電車は地下を進む。やっぱりこういう場所を進むと「秘密基地」に入っていくような気分で楽しいなあと思う。今どこを走っているのだろう?
電車はガチャガチャと音をたてて進んだ。するとなんと目の前には新小平駅が見えた。そう言えば西国分寺は高架だけど、新小平までの間にトンネルに入ったっけ。そのトンネルに地下で合流したのだろう。
いや、おもしろい電車だなあと思う。
あとはおそらく以前乗ったホリデー快速鎌倉号と同じルートで大宮まで行くんだろうなあと思いながら進んでいく。
あの時はすっかり暗くなっていてあまり景色も見られなかったが、むさしの号は大宮までずっと明るいまま行けそうだ。もちろんトンネルを通る時は暗いだろうけど、トンネルの外だけでも景色をながめておこう。

いつも武蔵野線に乗る時と同じく、新秋津のあたりではずっとトンネルの中だ。しかし何駅かすると高架に出る。そして高架を進むが、窓の外は雨だ。まあしょうがないか。
北朝霞を過ぎ、西浦和が近づく。

西浦和〜大宮

西浦和でホームを見ると、この電車はホームのないレールを通っていることがわかる。ホリデー快速鎌倉号も同じだったんだろう。そして武蔵野線と分かれて進んでいく。
どこをどう進んでいるのかわからないが、そのうち埼京線・東北新幹線の高架も見えてきておもしろい景色になった。高架がからみあって進んでいく。

しかしそのうちむさしの号が通っているレールは標高を下げていき、立川と新秋津の間のようにスーッとトンネルに入っていく。一度通ったレールとは言え、不思議なものである。また地下をしばらく進む。
トンネルを出た。すぐそばにレールが見えるが、どうやら埼京線や東北本線や京浜東北線のレールではないようだ。このあたりもレールは多いが複雑な場所のようである。ちょっと遠くに東北新幹線の高架も見える。
ホリデー快速鎌倉号に乗ったときはもう日が暮れていたはずだから、ちゃんと景色が見られていい気分である。そのまま大宮駅に到着である。むさしの号を降りる。

さあ、せっかく大宮に来たのだから埼玉新都市交通にでも乗りに行こう。ここ数年、大宮を通るときはたいてい120円大回り旅行の途中で、めったに改札を出ることはない。
まずは改札を出ようと、階段を上がって改札に向かった。

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埼玉新都市交通

きっぷを買う

ホリデー快速むさしの号で買ったきっぷを改札員に渡して大宮駅を出た。さて、埼玉新都市交通の大宮駅ってどこだろう?案内はあるかな。

案内によるとまず西に行く必要があるようだ。西の出口に向かう。すると今度は北に進むらしい。右に曲がる。

けっこう細い通路に出た。人通りは少ない。JRの大宮駅は改札内も改札の外も乗客でごった返していたが、ここはそうではなかった。埼玉新都市交通ってそんなに客はいないのだろう。さらに奥に進む。

ようやく自動改札の前に来た。もちろん自動券売機もある。さあ、きっぷを買おう。お金を入れてボタンを押す。
あれ?終点は内宿(うちじゅく)だけど、まちかえて隣の羽貫(はぬき)行きのきっぷを買っちゃった!
さてどうしよう。大宮から内宿までも羽貫までも同じ運賃だけど、このまま内宿まで行くと羽貫から内宿まで別に運賃を払わされそうだなあ。

よし、羽貫で降りて内宿まで歩こう、そんなに時間はかからないだろう、散歩になっていいだろうと考えた。そう考えて、自動改札にきっぷを入れて通った。

大宮〜羽貫

ホームがある。ここで待てばいいようだ。電車がやってくる。新交通システムだから、モノレールみたいなもので、けっこうせまいようだ。でも客が少ないから苦にならない。
電車に乗ると発車する。ホームは新幹線の高架の真下だったが、発車すると高架の横に出る。

電車は新幹線の高架の横をへばりつくようにして進む。
高崎線や東北本線は、大宮から北に進んでもしばらくは市街地が続いているが、埼玉新都市交通は、びっくりするほど短い距離ですぐに畑の広がる場所に出てしまう。
あれ?新幹線には何回か乗ったことがあるからこの景色も見たことがあるはずだけど、こんな景色だったかな?とも思ったが、新幹線はこの電車よりずっと速く通り過ぎてしまうので、それで景色に見覚えがないのだろう。
そんなふうにして駅を過ぎる。多少いた客は終点が近づくとかなり減ってしまった。そして目的地、終点の1個手前の羽貫駅に到着した。ここで降りよう。

羽貫〜内宿

階段をおりて、きっぷを自動改札に通す。さあ、歩こう。かさをさして羽貫駅を出る。

雨

埼玉新都市交通は上越新幹線に沿って建設されている。そして上越新幹線は高架だ。だから見通しはよく、内宿がある方向もおそらく上越新幹線の熊谷の方向だろう。
見晴らしはけっこうよく、それほど人家も多くない。道は新幹線に沿ってはいないが、多少離れても見失うことはなさそうだ。なんとか新幹線の高架に近い道を熊谷方向に進んでいった。

となりの駅のはずだがけっこう長いこと歩いて、すっかりくつもぬれてしまった。ようやく目的地、内宿に到着した。だいぶ時間がかかったなあ。晴れていればもう日が暮れるころだから夕焼けとか見えて気分がよかったかもしれないなあ。

とりあえず駅に入る。自動券売機はもちろんある。今度は間違えずに大宮行きのきっぷを買おう。

内宿〜大宮

自動改札を通ってホームに出る。新交通システムはたいてい30分も待つようなことはなく、最大でも15分も待てば電車がやってくる。でも山手線ほどひんぱんに電車が来るわけではない。始発なのでからの電車がやってきた。もちろんお客は少なく、すんなりと発車。
さっきと同様に、上越新幹線に沿って電車は進んでいく。ながめのいい場所である。
相変わらず大宮まで来てもお客はそんなに乗ってこない。そして電車は市街地に入っていき、東北本線や高崎線も見えてくる。そして大宮駅が近づく。駅の手前でグイッと右に曲がる。そして到着。電車を降りる。ん?

待っていた客が乗り込んでくる。あれ?この電車ってここが終点だよな?
よくよく見るとこのホーム、行きに乗ったのと同じ向きのホームだ!そしてお客を乗せた電車は逆方向に進まずに、同じ向きに走り出していく。
どうやら埼玉新都市交通の大宮駅は、となりの大成(おおなり)駅から来た軌道がぐるっと輪を描くような感じで右に曲がって、新幹線高架と直角になるような感じで大宮駅ホームに入り、さらに右に曲がって大成駅に向かうらしい。たいへんなつくりだなあと思った。まあ、鉄道にもいろいろあるのだろう。

帰宅

さあ、帰ろう。きっぷを改札に通す。

それにしてもここってけっこういごこちがいいような気がするなあ。

なにしろJRの大宮って、人通りが多くてなかなか待ち合わせには向かないような気がするのだ。

それに比べると埼玉新都市交通の大宮駅は改札前がこじんまりしているので、もし待ち合わせなんかする場合、待ち合わせ相手を見つけやすそうだ。

いつか大宮でだれかと待ち合わせするなら、ここで待ち合わせしようと思いながら、長い通路をぬけてJRの大宮に行き、きっぷ売り場へと向かった。さあ、寮に帰ろう。きょうは天気も悪かったし、たいした移動距離でもなかったけどいい経験になったなあと思った。また高速バスに乗ってみたい。また昼間のバスに乗るのもいいし、夜行バスにもいつか乗ってみたいなあと思った。

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