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35.安中榛名に行ってみた

説明

1997年も鉄道の日記念JR全線乗り放題きっぷのシーズンがやってきました。

体育の日の3連休で3日間の旅行に行きましたが、その際2日目に乗るJRの路線の運賃を計算すると3060円(きっぷの値段の3分の1)に満たないので、2日目は乗り放題きっぷを使わないことにして、あとで日帰り旅行を別の所にすることにしました。

旅行中にとなりの席の男と長野に行く新幹線の安中榛名(あんなかはるな)という駅について話題になり、時刻表を見たら2時間に1本しか新幹線が来ないことがわかりました。

残りの1日は安中榛名にでも行こうかと思いました。ただし新幹線で行くのはつまらないし、そもそも鉄道の日記念JR全線乗り放題きっぷは新幹線に乗れません。

信越本線で安中まで行って歩こうかと思いました。こうしてぼくは安中をめざすため高崎線に乗ったのです。

高崎線その1

旅行記本文

高崎行きの電車は熊谷を過ぎ、高架に上がっていった。眼下には貨物駅っぽい場所が見える。

先週は体育の日がらみの3連休で、鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷを使って旅をしたが、2日目はどう考えてもJRに3060円分も乗らない予定だったのできっぷを買って乗っている。だから1日分余っている。それをきょう使っているのだ。

先週ムーンライトながらでとなりの客と、今度できた「安中榛名(あんなかはるな)」という駅についてどういうところか話題になり、時刻表を見たら2時間に1本しか新幹線が停車しないことに気づいたりしていた。そこにきょう行こうと思っている。

ただし新幹線そのものに乗ろうとは思っていない。信越本線で安中に行って、そこから歩く予定なのだ。たっぷり何時間もかかるかもしれないががんばろう。

電車は群馬県に入っていく。8月には越後湯沢まで夜行の快速に乗ったし、高崎線もけっこうひんぱんに乗っている。この景色も見慣れている。

でも横川〜軽井沢間が廃止されてからははじめての高崎だ。どんなふうになっているのだろう。

そんなことを考えているうちに電車は高崎駅が近づき、上越新幹線の高架が見えてきて、スピードを落として高崎駅に到着した。電車を降りる。

さあ、高崎に着いたことは何回もあるが、その時に比べてそれほどすることに変わりはない。横川行きの電車の案内を探してホームに行くだけだ。案内を探そう。

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信越本線

高崎〜安中

高崎線の電車を高崎駅で降りた。めざすのは安中駅だから乗る必要があるのは横川行きだ。

つい半月前までは長野行きの普通列車とか出ていたと思うとやるせない感じだがこれも長野オリンピックのためだ。しかたない。

階段を上がる。そして案内に従い横川行きのホームにおりる。

ふと、一番西側のホームを見てみた。あそこのホームは今まで、長野行きの在来線特急あさま(たまに直江津行きもあった)が出ていた場所だ。

それなのになんだかとても閑散としている。もう使われていないのかな?

まあ、今までたくさん走っていた特急がごそっとなくなったのだから駅の感じも変わってくるのだろう。

そして横川行きの電車は・・・ずいぶん編成が短いな。

今までも、普通列車で高崎から軽井沢より先に行く客はそれほど多いわけではなかったが、長野行きの普通列車はそれなりに車両数が多かった。それがこんなに短い編成だ。

そう言えば東北の方とか車両数の少ない列車が走り出しているし、全国的に車両数って減る傾向にあるのかなあと思いながらいすにすわる。そして発車だ。

電車はいつも通り、右手に新幹線の高架を見ながら進んでいく。そのうち在来線の高架も見えるようになる。信越本線の北高崎→高崎の区間は一部高架になっているのだ。

レールは左に曲がっていき、新幹線の高架は見えなくなる。上り線の高架も下におりていく。新幹線はどこかで上毛高原方面と安中榛名方面の分岐があるはずだが信越本線からは見えないようだ。

そんなふうに高崎市内を進んでいく。そして住宅が若干少なくなったころ、電車は目的地の安中駅に到着した。電車を降りる。はじめて降りる駅だ。

自動販売機

鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷを見せて改札を通る。さて、ここから安中榛名まで歩かなければならない。地図では北西からやや西北西寄りに歩くとあるようで、距離にして5〜6キロ程度のようだ。まあそれほど時間はかからないだろうと思い、歩き始める。

歩き始めてすぐに自動販売機を見つけた。

おお!「アプレ」だ!

アプレはりんごの果汁でつくられた飲み物で、以前は東京近郊でも売っていたのだが、ここしばらく売っていなかったのだ。

それがここ安中で売っている。こりゃ買うしかない。自動販売機で無事アプレを買った。あとで飲もう。

アプレに限らず清涼飲料は東京で見かけなくなった飲み物が地方の自動販売機で見かけることが多い。そんな発見が旅行をより楽しくさせるのだ。

残念ながら清涼飲料は栄枯盛衰が激しく、発売期間ほんのわずかで飲めなくなってしまう飲み物が多い。だから見かけなくなった飲み物をどこかで見かけたらすぐに買って飲むことにしているのだ。さあ、また歩こう。

てくてく歩く。安中駅からそれほど離れていないはずなのに、もうこんなに人家の少ない場所になる。信越本線からはずれた道だ。でも車はそれなりに走っている。とぎれることもあるが、車が来るときは数台まとめて通っていく。

徒歩

信越本線からはずれたので、もっと急な坂道を想像していたのだが、意外と平坦な道である。畑が見える道である。そんな道が数キロ続く。たっぷり1時間以上歩く。

そろそろアプレを飲んでみよう。缶を開けてアプレを飲む。うん、りんごの味だ。

おそらくきょうがアプレを飲む最後になるだろうなあと思いながらアプレを飲み終えた。これからも寿命の短い清涼飲料はたくさん発売されるだろう。だいじに飲んでいこう。さあ、また歩こう。また数キロ歩いた。畑の見える景色が続く。

そしてかなり進んだころ、案内が見えてきた。どうやらこの交差点を右に曲がると安中榛名駅に行けるようだ。たっぷり歩いたけどあとどのくらいだろう。ぼくは右に曲がった。

とたんに坂道になった。車はそれほど走っていない。2時間に1本しか新幹線が停車しないんじゃ、来る人も少ないだろう。それでも数分に1本は車が通る。いままでたいした坂道でもなかっただけにこの坂道はようやく来たかといった感じになる。

そして進むと道が右に左にカーブするようになる。まあ、群馬県は山国だからこんなもんだよなあ。さらに坂道をのぼると、おお、ようやく見えてきた。

安中榛名駅

そこはまるで商店とか住宅とかがない場所であった。ぽっかりと駅のような建物があり、新幹線のレールらしきものがある。そしてレールの右側も左側もすぐにトンネルに入っていくのだ。ここが安中榛名らしい。こういうところか。

駅のまわりを見るとバス停っぽいものが見えた。近づいて見てみる。

なんとバスは磯部(いそべ)駅行きだった。安中行きはない。

発車時刻を見ると・・・30分ほど待てば磯部駅行きが来るようだ。時刻表で確認したとおり、長野に行く新幹線は2時間に1本しか安中榛名に停車しない。バスもそれなりの本数で、2時間に1本程度だ。だから30分待ちは運がいい。

とりあえず安中榛名駅に入ってみる。たいした施設はない。きっぷ売り場はあるけど閑散としている。やはりお客はほとんどいないようだ。自家用車で来てここから乗っていく客もなさそうだ。まあ2時間に1本じゃ使えないだろう。特急料金もかかるし。

ともかく、ここから軽井沢まではそれなりに距離があるはずなのに、これほど安中榛名は標高を上げないといけないのだから、よほど横川と軽井沢の間の標高差って大きいんだろうなあと感じる。まあ何かのときの避難場所にはなるんじゃないだろうか。そう思う。

バス停に戻る。お、けっこうバスには乗る客がいるようだ。とは言っても2〜3人だ。さらに待つ。

やってきた。おお、普通の大きなバスではなく、多少小さめのバスだ。以前新潟県の月潟(つきがた)から燕(つばめ)まで乗ったバスみたいなバスだ。やっぱりこのくらいしか客がいなんだろうなあ。

バス

とりあえず運転手に磯部駅までの運賃を払って乗車券を買う。そして席にすわってしばらく待つと発車だ。

発車

まずは坂道をおりていく。そしてぼくが安中から進んできた交差点まで来る。

そこから先は安中に向かう道をはずれてそれほど広くない道を進んでいく。そして右に左に曲がる。磯部までは大通りが通じているわけではないようだ。

そして、ひなびた人家しかない、畑も多そうな場所のあちこちでバスは停車し、客が乗り降りする。ただ安中榛名と磯部だけを結んでいるわけではないようだ。

それに景色がいい。青春18きっぷは暑すぎたり寒すぎたりするシーズンにしか使えないきっぷだが、10月のほどよい気温の時期に使えるこの鉄道の日のきっぷはまわりの景色がいいときに使えるのだ。わずか2週間しか使えないきっぷだが、もしこれからも発売されるようなら来年も再来年も使いたいなと思う。

そんなふうに、人家のまばらな場所をバスは進んでいく。時間が過ぎる。

バスはようやく磯部駅に近づいたようで、集落に入っていく。そう、集落だ。市街地ではない。

でもなんだか下り坂をおりていくような感じだ。下りきったところで川を渡る。

磯部温泉

そして川の近くが温泉街になっているようなのだ。ああそうか、磯部温泉と言えばここなのか。

なにしろ磯部駅は一部の在来線特急あさまが9月まで停車していた。磯部は安中市内にあるのに、9月までのあさまは安中には停車せずに磯部に停車していたのだ。

それくらい安中の人たちは磯部の温泉に来てもらいたいのだろう。

安中榛名駅からも、磯部行きのバスはあるのに安中行きのバスはない。距離は確かに磯部の方が若干短いのかもしれないが、それにしても安中市の中心地は安中駅の方が近いだろうし、やはり磯部温泉はたいせつにされているんだろうなあと感じる。

温泉宿があるところに停留所もあり、何人かバスを降りていく。

温泉

そしてのぼり坂をのぼる。集落の住宅はとぎれず、もうそろそろ磯部駅が近づいたようだ。けっこう磯部温泉って駅に近いんだな。

しばらくするとバスは終点、磯部駅に到着する。なかなか景色のいいところを通るバスだ。もう1度乗ってみたい。バスの券を運転手に渡してバスを降りる。

バスを降りて駅舎に入り、高崎行きの発車時刻を見てみる。うーん、1時間近く待つようだ。まあこんなものだろう。とりあえず駅のまわりを散歩してみよう。

とは言ったものの、磯部駅のまわりは住宅ばかりで、商店っぽいものが全然見あたらない。温泉街はさっき見たバス通りのそばだけのようだし、駅前はベッドタウンなのだろう。

なにしろ安中から安中榛名まで歩いたわけだから疲れている。まだまだ時間があるが駅に戻って休むことにしよう。しばらく待った。

磯部〜高崎

ようやく発車時刻が近づいた。鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷを見せて改札を通る。ホームに行く。さすがに1時間ぶりなので多少客はいるがそれほどでもない。

電車がやってきた。でもやはり客は少ない。とりあえずすわろう。電車が発車する。

右手に安中の工場が見える。いつもの信越本線の景色だ。でももう今月からこのレールには特急が走ることはない。軽井沢に行く電車はついさっき見た標高の高い安中榛名を通っていくのだ。

工場が過ぎるとだんだんと高崎に近づいていく。そして高崎の手前で高架をかけあがっていく。この高架は10月以降も通るようだ。高崎〜横川間は単線化してここの高架は通らないようにするとかなんとかいう話はないのかな?

まあ、いつもと変わらない景色もあるということなのだろう。そのうち高架からおりて高崎駅に到着した。電車を降りる。

さあ、アパートまで帰らなければならない。ぼくは階段を上がった。

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高崎線その2

旅行記本文

磯部(いそべ)から乗ってきた電車を降りて、階段を上がり上野行きに乗り換える。やはり横川から軽井沢までが廃止される前より客は少ない。

高崎のホームも、在来線だったころの特急あさまがなくなった分だけ余裕があるみたいだ。上野行きはこのあたりではすいている。そして発車。

きょうはたっぷり歩いた1日だった。これで2年目の鉄道の日・JR全線乗り放題きっぷの旅も終わりだ。せめておととし秋に走っていたムーンライト九州をまた秋にも走らせてくれたらもっといろいろなところに行けるのになあ。

そんなことを考えているうちに熊谷(くまがや)を過ぎ、客が増えてくる。そう言えばきょうは昼めしを食べていない。

どこかアパートに帰るまでの途中でラーメンでも食べていきたいなあと思った。そうしているうちに電車は大宮に近づいていった。このきっぷもアパートもより駅で駅員に渡してしまおう。

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