1997年は6月を除いて毎月どこかに旅行していた年でした。8月も3回も旅行の計画を立てていました。
そんな矢先、とある鉄道の本を見ていたら津山線・因美(いんび)線の急行「砂丘」が今年中に廃止されるというニュースを見ました。
これはぜひとも敬老の日の3連休で乗ってみたいと考えました。それで乗りに行くことにしました。
もう1つ、数ヶ月前にテレビで見てから気になっている電車があります。それは「500系のぞみ」でした。機会があれば乗ってみたいです。4月の旅行ではひかりが岡山で停車している時にとなりのホームを追い越していくのを見かけたこともあり、なかなかかっこいい電車であることはわかっていました。
しかし、現在500系のぞみは新大阪を朝早く出て博多に着く列車と、博多を夕方出て夜新大阪に着く列車しかなく、東京から乗るのはとても不便です。
しかし、砂丘に乗るのなら、このうち朝早く出るのぞみに、東京から京都まで夜行バスのドリーム京都号に乗れば乗れそうです。岡山で砂丘との接続も良いので、行きをドリーム京都号→500系のぞみ→砂丘とすれば500系のぞみが使えます。
よし、これでいこうと思いました。
砂丘に乗るのならばお得なきっぷがあります。それは「北近畿ワイド周遊券」です。
このきっぷは岡山まで行って砂丘の通るルートで鳥取に行くことが認められているのです。
そしてワイド周遊券ですので経路上の急行には急行券なしで乗ることができます。
だから砂丘には急行券なしで乗ることができるのです。
そんなわけで北近畿ワイド周遊券を使うことにしました。
さらに、北近畿ワイド周遊券を使うのならば気になる急行があるので乗ってみたいと思いました。それは「急行かすが」です。
この急行は、名古屋〜奈良間を1往復だけ走る急行で、北近畿ワイド周遊券でも乗ることができるのです。もちろん急行券なしでです。
奈良を出る列車が夕方出ることになっており、名古屋から新幹線に乗り継げばその日のうちに東京に帰れます。よし、帰りは福知山線→関西本線→急行かすが→新幹線で帰ろうと考えました。
残りの日をどうしようかと思いましたが、せっかく北近畿ワイド周遊券があるのだし、北近畿タンゴ鉄道に乗っていなかったので乗ることにしました。また、北近畿タンゴ鉄道の路線の途中の天橋立(あまのはしだて)駅のそばにはケーブルカーがあるようなので乗ろうと思いました。
こうなると、3泊4日(うち1泊はドリーム号)なのだし、同じ宿に2泊するととても楽そうです。
だから天橋立のそばで1泊するのがよさそうです。
当初は城崎(きのさき)に2泊する予定でしたが、宿代が高そうだし、温泉はあまり好きじゃないので、宿は福知山に2泊取ることにしました。
まずは旅行会社に北近畿ワイド周遊券とドリーム京都号バス指定席券、新大阪→岡山ののぞみの特急券、そして名古屋→東京のひかりの特急券を申し込みに行きました。
しばらく待っていましたが、買う時になって旅行会社の人の手元を見ると、間違えて「姫路→岡山」の乗車券を手に持っていて売ろうとしているようでした。
どうもその人は北近畿ワイド周遊券の経路を、山陰本線経由、福知山線経由と播但線経由しか知らないようで、ぼくが播但線経由のルートからはみ出してのぞみに乗るものと思っていたらしいです。
ぼくはその人にそなえつけの時刻表の北近畿ワイド周遊券の所を指さし、確かに「山陽本線→津山線→因美線」がルートに含まれており、北近畿ワイド周遊券で岡山まで新幹線に乗れることを示して姫路→岡山の乗車券は買わずにすみました。
宿は福知山のホテルが2泊予約できたのですが、ホテル名を忘れてしまいました。
こうして旅行の日が来て、ぼくは東京駅の八重洲南口の高速バスセンターに向かったのです。
なお、周遊券の代替として1998年4月1日から2013年3月31日まで使えていた「周遊きっぷ」でも、経路としてドリーム京都号は利用できていました。
2010年にJR系の夜行バスに大幅な系統変更があり、京都を最終目的地とするバスはなくなり、三ノ宮行きドリーム号が京都を経由するようになり、周遊きっぷ末期の数年間はこのバスに東京から京都まで乗ること、というように変更になっておりました。
2013年まで京阪神ゾーンが残っていたこともあり、誰かがこのルートを使ったかもしれません。旅行記を見てみたいものです。
東京駅にやってきた。八重洲口の改札を出て右に曲がり、バス乗り場に向かう。
このバス乗り場は3年前に広島に行く時に来たほか、つくばや水戸に行く時に使っている。
さすがに今日は3連休の前日なのでとても混雑している。もう広島行きは出てしまった後だが、そのほかにも夜行やつくば行きなどのバスが出ていて混雑している。
台風が近づいているらしく、小雨が降っている。
ようやく京都行きの発車時刻が近づき、バスがやってきた。京都行きは4台のようだ。
大阪行きと同じ時刻なので、ぼくが乗るバスは乗り場から少し離れたところに停まった。あまり離れているとぬれてしまうが、なんとかそれほどぬれずに乗れた。荷物は預けないで行こう。
バスは2階建てだった。席は2階のようだ。前の方に進む。3列シートなのでとなりの席との間は広いのだが、網棚が中央にしかない。しかたがないので荷物は座席の下に置いた。
2階なので前面は運転席も見えずフロントガラスがある。昼間ならながめが良さそうだ。
すわっているとモニターからいつもの案内が始まった。それはいいのだが垂直同期がおかしいらしく、画面が上に流れて止まらない。
やっぱりJRは高速バスの歴史が長いのでバスも古いものを使っているんだろうな、と思った。周遊券とか使わないときは高速バスはなるべくJRを避けた方がいいな、と思った。
発車である。1階のバスだと前面にはカーテンがかけられるものだが、なぜか今回運転手はカーテンをしめに来ない。見晴らしのいいまま進んでいく。
午後11時発車なのですぐ消灯なのだが、ずっと道路を見ながら過ごした。
そのうちサービスエリアで休憩である。JR以外のたいていのバス会社のバスは、午後11時発だと朝まで乗客の休憩はないものだが、JRのバスは深夜でも休憩があってバスを降りられるのだ。
もっとも休憩のアナウンスがあり、うるさいという弊害もあるので、休憩があるのとないのとどちらがいいか定かではないのだが。
なんとか眠れたようだ。もう1回休憩があって、それが過ぎるといつのまにか京都駅である。
去年乗った京阪バスは駅の南(八条口)が終点だったが、JRバスは駅の北(烏丸口)が終点である。
眠い目をこすりながら駅へと向かった。さあ、3日間の旅行の始まりだ。
東京から乗ってきた夜行高速バス、ドリーム京都号を京都駅前で降りた。
去年の10月に八王子から京都まで乗った京阪バスのきょうと号は駅の南の八条口のさらに南にある京阪バスのバスターミナルに到着するが、ドリーム京都号は駅の北の烏丸(からすま)口に到着する。
バスを降り、京都駅の大きな建物に入っていく。
2ヶ月前に来た時と同じ、真新しい駅ビルだ。
いつかくまなく駅ビルを探検してみたい気もするが、今は時間がない。すぐに新大阪に向かおう。
入口から真新しい自動改札にやってきた。さすがにぼくが持っている北近畿ワイド周遊券は自動改札は通れないだろう。
有人改札に北近畿ワイド周遊券のA券を見せる。東京から京都までバスで来たのでスタンプが押されていない。それでも京都のスタンプが押され、無事改札に入れた。
エスカレーターを上がって、姫路行きの新快速の出るホームに向かう。
さすがにこの時刻だと大垣行き夜行からは間に合わない新快速のせいか、かなりすいていた。
そのまま新快速は市街地を走り抜け、新大阪にやってきた。ここで降りる。
さあ、今日乗るのは4月にひかりに乗った時に岡山で見た500系のぞみである。今回の旅行の第一の目的は岡山から郡家(こおげ)までもうすぐ廃止される急行砂丘に乗ることだが、砂丘のついでに500系のぞみに乗れることがわかったのでここで乗っていくのである。
北近畿ワイド周遊券のA券と新大阪→岡山ののぞみの特急券を見せて中間改札を通った。
エスカレーターでのぞみの出るホームに行き、駅弁を買った。「八角弁当」という弁当だ。
のぞみの中で食べることにしよう。
ちょっと時間があるようで、しばらく待つ。
そしてのぞみがやってきた。4月に見たのと同じ、とがった先端の列車である。
ドアが開いて、乗り込んだ。さすがに高いだけあって、そんなに乗る人はいない。
八角弁当を食べることにする。なかなか豪華な弁当であった。
新幹線ホームの駅弁というのは他の場所の駅弁よりもちょっと豪華な駅弁が多いなあと思う。
そしてしばらくするとのぞみは発車した。
八角弁当を食べ終え、しばらく景色をながめて過ごす。神戸の付近のトンネルを過ぎるとしばらくはトンネルのない区間を通る。
500系のぞみには現在の速度を示す速度計が客室にもついていて、速さをアピールできるようになっている。のぞみは速度をどんどん上げていく。270km、280km、290km。
そしてのぞみはついに速度300kmに達した。
しかし、こんなにスピードが出ているのに、とても静かである。
確か4月に秋田から乗ったこまちは、盛岡から仙台までの区間とか、もっとガタガタして、いかにもスピードが出ているっていう感じがしたものだった。それに比べるとこののぞみは、こまちより静かな上にこまちよりスピードが出ている。
ひょっとして、技術の進歩とは、たとえスピードが出ていてもお客にそれを感じさせないのが本当の技術なんじゃないかという感じがした。
さて、300kmも出ているので、本当に岡山はあっと言う間に近づいてきた。
スピードを落とし、景色が田園風景から都市の風景になり、岡山に静かに到着である。
なごりおしい気分でのぞみを降りた。
さあ、ここからは最初で最後の乗車になる急行砂丘の乗車である。北近畿ワイド周遊券なら急行券いらずで乗ることができる。津山線も因美線も乗ったことのある区間だが、津山線は夜に通っただけなので昼間の景色はぜひ見てみたい。
がんばって乗ろうとエスカレーターを降り、中間改札に北近畿ワイド周遊券A券を見せ、特急券を渡して砂丘の出るホームを探した。
なお、現在岡山から郡家に行くには、特急スーパーいなばに乗る必要がある。智頭急行経由なので津山経由より運賃が高いようだ。
岡山駅で500系のぞみを降り、中間改札を通って在来線ホームに向かう。急行砂丘の出るホームはどこだろう。
博多方向を向いて一番右側のホームだった。新幹線ホームからは距離があるが余裕のあるダイヤだったので楽に自由席にすわれた。
発車時間が近づいたがそれほどお客が乗ってくるわけでもない。砂丘は岡山駅を発車した。
津山線は3年前に乗ったが、日が暮れてからだったので昼間の景色を見てみる。
小高い丘の間の谷間をぬって進む路線であった。そんな景色を見ながら津山に着いた。たいして乗り降りもないまま津山を発車する。
津山から智頭(ちず)までは去年昼間に通った場所である。東津山を過ぎ、姫新線と分かれて盆地を進んでいく。
そして何駅か過ぎた場所で、停車駅でもないのに砂丘は減速した。
ホームを見ると鉄道ファンらしい人たちがたくさんこっちに向けてカメラを構えている。
そう言えば急行砂丘は「タブレット受け渡し」をする列車だと聞いたことがある。
おそらくこの鉄道ファンたちはタブレット受け渡しを撮りに来た人たちで、乗客からは見えないがたぶん外からはタブレット受け渡しが見えたんだろうなあと思った。そのまま砂丘は山の中に進んでいく。
智頭からは今年の4月に特急スーパーはくとで通った区間だ。やはり小高い山の間を進んでいく。
そして砂丘は目的地、郡家(こおげ)に到着した。ここから若桜(わかさ)鉄道に乗る予定なのである。
砂丘を降りて、もう乗ることのないその列車を見送る。悲しいなあ。
さて、いったん改札を出ることにしよう。まだ北近畿ワイド周遊券の自由周遊区間に入っていないからA券を見せて「途中下車」する必要がある。
しかしここの改札の人はA券を回収してしまおうとしている。
ぼくは時刻表を改札の人に見せて、北近畿ワイド周遊券の自由周遊区間は鳥取から先で、郡家は自由周遊区間ではないということ、そして自由周遊区間までの経路に「津山線+因美線」が含まれており、郡家は経路上であることを示した。そしてようやくA券に途中下車印を押してもらった。
さあ、若桜まできっぷを買おう。
岡山から乗ってきた急行砂丘を郡家(こおげ)で降り、改札を通って若桜鉄道(わかさてつどう)の自動券売機を探す。
なんとか若桜までの乗車券を買った。そしてまた改札を通り、ホームに行く。鳥取まで乗り入れているのでホームはJRと共有である。
そのうち若桜行きディーゼル車がやってきた。けっこう新しいディーゼル車である。乗って発車。
JRと分かれて進んでいくが、山が迫るわけでもなく、大きな川の近くを通るわけでもない。
トンネルもなく、ながめの単調な景色が続いていく。そんな景色の中を進んで、終点若桜に着いた。ここで降りる。
若桜では折り返しの鳥取行きの発車まで30分ほどあったので、駅の近くに店でもないか探してみることにした。
コンビニっぽい店はないが、雑貨店みたいな店を見つけた。そこでサンドイッチでも買っていくことにする。駅に戻って、まずは郡家まできっぷを買う。北近畿ワイド周遊券があるので、郡家まで買えば鳥取まで行けるのだ。
まだサンドイッチを食べる時間があるようなので、待合室で食べていくことにした。
弁当は車内で食べるものと決めている人も多いのだろうが、車内はゆれるので、ゆれない場所で食べていくのがぼくのやりかたである。食べ終わると鳥取行きの改札が始まったのできっぷを見せて通り、30分前に乗っていたディーゼル車に戻った。そして発車。
「写真撮ってください」
いつもならこう言ってカメラを渡すのはたいてい2人以上の客が多いのだが、今回はぼくより年上の男性1人だった。座席にすわっている男性を撮ると、なぜか今度はぼくを撮ると言う。そして座席にすわり、カメラで撮られた。
「写真送りますので住所教えてください」
そんなわけで住所を教える。そのあとで自己紹介である。なんでも男性もぼくと同じ鉄道ファンなのだが、目的地までは軽トラで行き、駅に軽トラを停めて鉄道に乗るそうである。
今回も若桜駅に軽トラを停めて、郡家まで往復するとのことである。車に乗れるとこういうことができていいなあと思った。
そしてぼくは北近畿ワイド周遊券を見せて、ぼくは東京から来ているところで、これから鳥取砂丘に行って福知山で泊まり、あした天橋立に行くと言った。
それからいろいろ話しているうちにディーゼル車は郡家に着いて男性は降りていった。
こんな出会いがけっこうあるが、必ずしもいい人だけでないのがつらいところである。
いつのまにか車内は混雑している。4月にも鳥取は通過しているので景色はわかっている。そのうち高架に上がっていき、終点鳥取に到着した。
今日は特急エーデル鳥取で福知山に行く予定だが、けっこう発車まで時間があるので鳥取砂丘にでも行こうと思い、北近畿ワイド周遊券のA券を取り出して改札に向かった。
なお、若桜鉄道車内で会った男性は、その後年賀状を何年かぼくに送ってきていた。いろいろおもしろい文面で、いい人だったようだ。
若桜(わかさ)から乗ってきたディーゼル車を鳥取で降りて駅前に出た。鳥取砂丘行きのバスは左手のターミナルから出ているようだ。行ってみよう。
バスは20分おきのようだ。ちょうどテレビで毛利元就が映っていたので見てみる。
京本政樹さんが演じる武将が殺されるところだった。「人生はすごろくじゃ!」が最期の言葉だった。それだけ見てバスに乗る。
バスは市街地を少しだけ進むと郊外に出た。小高い山の間を進み、海沿いにやってきたようである。
そして海に近いドライブインみたいな場所でバスは停車した。ここが終点、鳥取砂丘のようである。
さて砂丘にはどうやって進んだらいいだろう。
まっすぐ海岸に向かうと砂丘に行けそうな気がしたが、それよりバスの通った道をさらに進むと道が下り坂になっているのが見えた。この道を進んでも海岸に行けそうだ。
道を進んで海岸に出て、海岸沿いに砂丘に戻ってこようと思った。
道を進む。バスが通らない道だがしっかりした道で、海岸に近づいていく。よし、ここから道をはずれて海岸に行こう。無事行けた。あとは逆方向に海岸を進めば砂丘に行けるだろう。
てくてく海岸を歩いていく。砂丘の砂の量が増えてきた。
砂浜を歩いていると、ふと岡田有希子ちゃんの「ロンサム・シーズン」という歌を思い出した。
アルバム「十月の人魚」の5曲目に収録されている歌で、最近中嶋美智代ちゃんがカバーしている歌だ。
内容は、失恋して、別れた彼氏と歩いた砂浜のことを思い出す、というものだが、まあそういった砂浜は普通海水浴場で、鳥取砂丘みたいな場所ではないのだろう。
でもふだん海とか行かないと、ちょっとした砂浜でも砂浜の描写のあるこの歌のことを思い出すのである。
そんなことを考えながら歩いているうちににぎやかな場所に着いた。
遊泳禁止のはずなのに泳いでいる子供たちがいる。そしてラジコングライダーを飛ばしている人たちもいた。連休なので鳥取砂丘はお客がかなりいるようである。
さて、ここからバス停まで戻らなければならないが、巨大な砂の斜面を登らないと戻れないようだ。ずるずる滑りながら斜面を登る。
前の方を見ると馬車が斜面を降りていくのが見えた。どうやら馬がブレーキの役目をして斜面を降りているらしい。珍しいものだなあと思った。
ようやく斜面を登りきった。あとはなんとか砂丘を進み、行きのバス停に戻ってきた。
さてバスの発車時刻は…あれ?行きは20分おきだったのに帰りは40分おきしかバスがない!
これはたぶんどこかターミナルが2つに分かれていて、鳥取駅方向に歩いているとどちらのバスも停車する停留所があるのかもしれないと思い、鳥取駅方向に急いで歩いた。
なにしろ今はちょうど40分おきのバスの発車時刻のちょうど中間、だからもし別のターミナルから鳥取行きが出ているとしたらまさに発車時刻なのだ。
しかしかわいいねこがニャーニャー鳴いているのが見えた。そーっと近づくとなでさせてくれた。いいこだなあ。
なでているうちに鳥取行きのバスがぼくの横を通り過ぎていった。しばらくなでて、まあいいかとバス停に戻った。
見上げるとリフトのような乗り物が、道路をまたいで砂丘の方から海岸と反対方向に続いているのが見えた。
そう言えばどこかに書いてあった。鳥取砂丘に向かうバスの会社には「日の丸自動車」と「日本交通」があって、日の丸自動車の方のバス停は直接砂丘に行けるが、日本交通の方は砂丘に向かうのにリフトに乗らなければならないということだった。
なんとも不便な場所だなあと思いながらバスを待つ。日の丸自動車の方のバスがやってきたので乗る。
あれだけ砂丘は混雑しているのにバスはすいている。やっぱり自家用車で来る人が多いのだろう。すいすい進んで鳥取駅に着いた。
まだちょっとエーデル鳥取の発車まで時間があるので、駅の中の喫茶店で食事していく。若桜で買ったサンドイッチだけではちょっと足りなかったようだ。
そして発車時刻が近づいた。北近畿ワイド周遊券のB券にスタンプを押してもらって改札を通り、階段を上がる。
けっこう立派なディーゼル車だった。自由席に入る。ほとんどお客はいない。お客が少ないまま発車となる。
去年の10月に山陰本線に乗った時は、鳥取駅を少し離れると海が見えてきたものだが、海が見えてくる前に日が沈んで景色が見えなくなってしまった。
さて、車内改札がやってきた。もちろんぼくは北近畿ワイド周遊券のB券を見せるだけだったが、近くの席になぜか外国人がいた。英語を話す国から来た人らしい。
なにやら車内改札ともめているようだが、この外国人は日本語が話せないようだ。いったい何をもめているのだろう。
ぼくも英語は苦手なのでよくわからなかったが、この旅行が終わって数年後に鉄道雑誌を見ると、なんでも乗車券と特急券が分かれている日本のシステムは日本独自のもので、外国は分かれていないとか書いてあったようなのでそんなことなのかもしれない。
どうなったのかなあと思っているうちにエーデル鳥取は無事福知山に到着した。ここで降りる。外国人はまだ乗っていくようである。
さて、今日泊まるホテルはどこだろう。案内を見たら少し歩くと見つかった。
いったんチェックインして荷物を置いてまた出かけた。どこかの食堂で夕食を食べようかと思ったが、結局コンビニで買ってホテルに戻って食べた。
あとは風呂に入る。この部屋の風呂はちょっとせまい。
あしたは天橋立に行こう。おやすみなさい。
「ロンサム・シーズン」は2002年に発売された岡田有希子「ALL SONGS REQUEST」の10曲目にも収録されています。