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64.はじめての一般周遊券

説明

背景

1994年は長い旅行をたくさんした年でした。1995年1月にもハートランドフリーきっぷを使って岩泉線に乗ってきました。

さて、2月は青春18きっぷが使えない時期です。ここでぼくは、かねてから、とある書籍に載ってはいるが得体の知れないものにチャレンジしてみたいと思いました。

それは「一般周遊券」というものでした。なんでもJRの運賃が2割引になるきっぷらしいのですが、条件がとてもややこしいもので、しかもみどりの窓口では買えず、旅行会社で買う必要があるというものらしいのです。

旅行会社らしい窓口はアパートの近くの駅のそばにあったので、まずはその「条件」に合った計画を立てることにしました。

計画

まあそんなに遠くに行く気にはなれず、できれば日帰りですむような、関東近郊がいいなあと思い、時刻表を見て、「条件」の1つである「周遊指定地」を選ぶことにしました。
そして、関東の周遊指定地として「筑波山」と「御岳山」なんかいいなあと思い、以下の計画を立てました。

出発駅→土浦駅(バス)筑波駅(バス)筑波神社前(歩)宮脇(ケーブル)筑波山頂(ケーブル)宮脇(歩)筑波神社前(バス)筑波駅(バス)土浦駅→御獄駅(バス)ケーブル下(歩)滝本(ケーブル)御岳山(ケーブル)滝本(歩)ケーブル下(バス)御獄駅→出発駅

検証

一般周遊券の条件を検証します。

(1)JRには、出発地→土浦、土浦→御獄、御獄→出発地と乗っており、出発地がどこかは秘密ですが、ほぼ土浦→御獄の2倍の距離となっており、201kmを超えています。
(2)経路は連続しています。実は筑波神社前と宮脇の間は数百メートル離れているのですが、同じつくば市内ですので問題有りません。
(3)出発地に戻ってきています。
(4)JRの他の区間ですが、土浦駅→筑波駅、筑波駅→筑波神社前、宮脇→筑波山頂、筑波山頂→宮脇、筑波神社前→筑波駅、筑波駅→土浦駅、御獄駅→ケーブル下、滝本→御岳山、御岳山→滝本、ケーブル下→御獄駅、これらはすべて指定地接続線もしくは経由社線となっており、一般周遊券に使えます。
(5)周遊指定地は筑波山と御岳山の2か所に確かに行っています。

ですので条件は満たしています。

購入

さて、一般周遊券はJRでは買えないそうなので、まずはとある旅行会社に行ってみました。そしてさきほどの計画表を見せると、

「すみません、ここではできません。ここの『御獄駅→ケーブル下』のバス会社が『うち』と『契約』していないんですよ。」

と言われました。しかたなくその旅行会社を出ました。

なんだかわからないけど一般周遊券ってよくわからないルールだなあと思いました。どこでどんな一般周遊券がつくれないのか時刻表にくわしく書いてあれば手間がかからなくてすむのに不親切です。でも別の旅行会社がすぐ近くにあるので次の店に行ってみました。

そこでは無事買えることになりました。そしてしばらく待ち、ようやくもう一度その店に行って一般周遊券を受け取りました。

それはぼくの見たことのない、まさに「特別な」ものでした。

表紙があり、表紙をめくると「出発駅→土浦」のJR券があります。みどりの窓口で買うような緑っぽい色の券なのですが、もちろん裏は磁気になっておらず、当時の青春18きっぷみたいなどことなく安っぽいものでもありません。まさに「クーポン券」です。
さらにめくると今度は白い券で「土浦駅→筑波駅」と書いてあります。バスの券でしょうが、去年お世話になった高速バスの券みたいな雰囲気の券でした。
そんな券がもう1枚あった後、なぜか黄色い券で「宮脇→筑波山頂」と書いてあるのです。それもJR券やバスの券みたいな活字ではなく、ボールペンの手書きなのです。
そんな券が何枚かホッチキスでたばねられた、そんな特別なものが目の前にあるのです。やっぱり特別なものっていうのはいいなあと思いました。

問題点

さて一般周遊券とは別に、気になる列車が時刻表に載っていたので乗ることにしました。それは「南房フラワー号」という臨時列車でした。
大宮から館山まで行く列車だそうですが、大宮から南浦和まで行った後で西船橋に行くそうです。そこから南船橋、蘇我、木更津とまわるけど千葉駅は通らないそうです。

ぼくはこれを見て、以前乗った「ホリデー快速鎌倉号」と似たような、貨物線を通るような気がしました。去年からホリデーパスは土日なら1年中使えるようになっておりましたので、ホリデーパスが使える木更津まで乗ることにしました。
そんなわけで大宮から南浦和までは予想通り地下を通るおもしろい区間で満足して木更津で降り、特にすることもないので川崎行きフェリーで川崎に渡り、なんとなく東京駅に行って、去年12月に広島行きの夜行バスに乗った八重洲南口のバスターミナルまでやってきたのです。

そう言えば筑波に行く一般周遊券を作っているけど、このターミナルからもつくば行きのバスが出ていたよなあと思いながらターミナルの中をながめていると、なんとそこには、

「筑波のケーブルカーは2月末まで運休です」

と書いてあったのです!

ここで判明したのは運が良かったです。筑波に行ってみて運休だったら徒労になるところでした。

もう一度旅行会社に行ってみましたが、「有効期間は1ヶ月ありますから、きっぷはこのままで3月に行ったらどうですか」と言われるだけでした(詳細は「32.ひさしぶりの木更津フェリー」に記述されております)。

しかたがないので筑波の旅行も御岳の旅行も3月にすることにしました。筑波を土曜、御岳を日曜にして、休日出勤の多かった会社で仲間にあしたとあさっては休日出勤できないと言って金曜日に帰り、土曜の朝を迎えたのです。

バス・土浦〜筑波駅〜筑波神社前

土浦駅〜筑波駅

常磐線の電車は、無事土浦駅に到着した。電車を降りる。11ヶ月ぶりの土浦駅だ。
改札に行く。きょう渡すのはアパートもより駅から土浦駅までの周遊乗車券だ。特別な券を使うってのはいいものだなあと思いながら、はじめて使う券をながめる。改札に券を渡すと無事通れた。

さあ、これからはバスだ。一般周遊券は乗り物によって券の色が多少違う。JRの券はJRの長距離の乗車券みたいな緑っぽい色だが、バス用の券は白い券である。11ヶ月前に乗ったのは下妻行きだが、筑波行きは似たようなバス乗り場かなあ。
なんとか見つけた。この前はCDショップに行ったけどきょうは時間が早いし、特に店に寄ることもないだろう。

バスがやってきた。お客は少なく、全員すわれるようだ。そして出発。
バスは土浦の市街地を離れ、畑の広がる景色になる。

バス

去年の下妻行きはものすごく人家の少ない場所を通ったが、筑波行きはそこまで人家は少なくないようだ。でも人家以外はほとんど畑で、いい景色だなあと思いながら3月の景色のいいながめを見て時間を過ごす。

右手に多少高い山が近づいてくる。あれが筑波山のようだ。
なにしろケーブルカー以外の鉄道は通っていないし、縁のないところだ。
鉄道のない場所の方がある場所よりながめがいいような気がするが、自家用車を持っていないぼくはどうしても鉄道が中心の旅行にならざるをえない。こういう場所に来たらしっかりと景色を楽しんでおこう。

そのうちバスはあまり大きくない集落に入っていく。そして鉄道もないのになんだか駅っぽい建物の前でバスは停まった。ここが終点、「筑波駅」だという。
一般周遊券の「土浦→筑波駅」の券を渡して無事バスを降りることができた。

筑波駅〜筑波神社前

さて、この建物をながめてみよう。うーん、確かに鉄道の駅っぽいふんいきの建物だ。待合室になっているようなので入ってみた。
あれ?あそこっていかにも「鉄道のホーム」といった感じの場所じゃないか?

もしかしたらここって鉄道が土浦かどこかから来ていて、それが廃止になった跡なんじゃないか、そう思った。
そうかあ、こうやって廃止になった鉄道の駅がバスターミナルになっているって場所が全国にあるのかなあ、そう思った。
国鉄も全国たくさんの路線を廃止にしているようだし、だから廃止になった鉄道の駅もけっこうあるのだろう。まあ列車に乗れるわけじゃないから進んで行く場所じゃないけど、来ることができたらながめを楽しみたい、そんな場所だ。

さて、ここから筑波のケーブルカーに乗るにはもう1本バスに乗らなければならない。一般周遊券にも「筑波駅→筑波神社前」の券がある。これに乗るのだろう。それほど待たずに筑波神社行きがやってくるようだ。

バスが来たので乗る。たいして乗ってくる客はいない。こりゃケーブルカーもすいているかなあと思いながらバスに乗る。出発。
バスは山に向けて走っていく。そしてのぼり坂だ。
すいすいとのぼり、多少のぼった所が終点のようだ。筑波駅→筑波神社前のバスの券を運転手に渡してバスを降りる。

そこはみやげもの屋がいくつか固まった場所だった。みやげもの屋には駐車場がある。
しかしケーブルカーの駅は見あたらない。ここからけっこう離れた場所にあるのかもしれない。

でもちゃんと案内図があった。ぼくは案内図のとおりに進み、ケーブルカーの駅に向かうことにした。

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筑波観光鉄道

乗車

「筑波駅」から乗ってきたバスを筑波神社前で降りたが、バス停前にはケーブルカーの駅は見あたらない。でも案内図はあったので、案内図どおりに進んでみることにした。えーとまずはこっちか。
ふえー。急な坂だなあ。ずいぶんと離れているなあと思いながら坂道をのぼっていく。

ようやくケーブルカーの駅っぽい場所にやってきた。ん?なんだか駅の中にたくさん人がいるぞ!
なるほどなあ。行きのバスの客の数には見合わない人数だ。ということは、筑波のケーブルカーは、自家用車でふもと駅(宮脇)に行って乗るのが普通なんだろうなあ。そう考えた。

車

駅に入ると行列が並んでいる。ぼくはすでに一般周遊券のケーブルカーの券を持っているからこれで乗れるだろうなあと思い、行列に並んだ。

そして女性の係員が来て、ようやく改札となった。並んでいる客がチケットを見せてケーブルカーへと進んでいく。ぼくの順番が来て、一般周遊券の黄色い券を見せた。

係員はぼくの券を見ると、券を持ったまま、行列をそのままにしてチケット売り場に引っ込んでいった。そして1〜2分機械を操作して、ぼくに黄色い券とは別の券を渡した。この券でないとケーブルカーには乗れないということらしい。

どうやら本来、ぼくはまずチケット売り場に進んで一般周遊券の黄色い券を渡して、現金で買うのと同じ券に引き替えてもらわなければならなかったらしい。
なかなかこういう交通機関やきっぷのルールというのはどこでもよくわからないものだ。これまでもいろいろなところでいろいろ間違っているから、きょうもその間違いの一部なのだろう。

のぼり

そんなふうにしてケーブルカーに進む。なにしろ自家用車で来た客が90パーセント以上だ。座席の数も少なく、すでにいっぱいである。とりあえずながめのいい前方に立とう。

いっぱいになったケーブルカーでしばらく待つとようやくドアが閉じられ、発車時刻になった。そして車両が動き出す。
あたりまえだがケーブルカーなので、車両は標高が上がっていく。車両が動いてはいるが、直接モーターの音が聞こえるわけではない。ケーブルカーは車両自体にモーターがあるわけではないからだ。車輪が回転する音とかだろう。

そのうち左右を見ると見晴らしのいい景色が見えてくる。やっぱりケーブルカーは景色が大事だよなあ。そのまま車両はぐいぐいのぼっていく。

途中、線路が左右に分かれている場所に来た。この車両は左に進んでいく。
上の方からも車両がやってきた。そちらは右に見える。そしてちょうどいい具合にすれ違っていく。

よくわからないが、ケーブルカーっていうのはこういうものなのだろう。

ケーブルカーには去年、箱根登山鉄道に乗ったが、あそこにあった途中駅は筑波にはなく、筑波のほうは山麓駅と山頂駅があるだけである。まあ箱根と違って見る限り途中に人家なんかないし、これでいいんだろうなあ。

ふとうしろの方を見ると、線路がゆるやかにカーブしているらしく、ふもとの駅がカーブで見えない。ケーブルカーは線路がまっすぐでなくてもなんとかなるのだろう。それにしてもだいぶのぼったなあ。
目を上に向けると、うわあ、いいながめだなあ。茨城県は関東で平地が一番広い県だからながめもいい。いや、いいところに来たもんだ。

そんなふうにして客の多い車両に乗っていると、ようやくスピードを落とし始めた。前を見ると山頂駅が見えてきた。そして到着。ゾロゾロとたくさんの客に続いて車両を降りた。

頂上

まずは駅を出る。とりあえず散歩してみよう。

ケーブルカーの駅を出るが、林に囲まれた場所である。それほどながめがいいわけではない。
時刻表ではそれほど近くない位置にロープウェイの駅があるように書かれているが、そんな駅も見あたらない。けっこう離れているのかもしれない。

まあ、きょうは筑波山を歩き回るのが目的ではなく、あくまでもケーブルカーに乗るのが目的なのだから、このまま帰ってしまおうかと思った。なにしろあしたも御岳山に行くのであまり疲れるのもなんだなあと思ったからである。よし、帰ろう。ぼくはまた駅に戻った。


くだり

そして宮脇で引き替えられた券を渡してくだりの車両に乗る。行きにあれだけいた人たちはあまりいない。それほど多くない客を乗せて車両は発車する。快適に車両はおりていく。

そしてさきほどと同じようにレールが左右に分かれ、今度もこちらの車両は左に進み、すれちがうのぼりの車両は右に見えてのぼっていく。向こうはこちらより客が多いようだ。
そのまま見晴らしのいい景色を見ながらおりていき、やがて終点宮脇に到着した。車両を降りて改札を通る。

さて、バスの時刻を確認していないことに気がついた。今度はくだりなのでそれほどのこともないが、やはり多少の距離を歩いてバス乗り場に向かう。さて、「筑波駅」行きのバスの時刻は?
げっ、1時間後だ。ケーブルカーはけっこうひんぱんに出ているが、バスは全然出ていないんだなあ。

しかたない。腹も減ったし、食堂があれば食事していこう。
さすがに観光地なので食堂はあった。それにそれほど客もいない。入ろう。やっぱりご飯ものがいいだろう。注文する。

食堂

食事が出てきた。観光地の食事はうまい。どうせいつも外食だし、いつもと変わらないがきょうもおいしい食事が食べられた。
もうそろそろ筑波駅行きの出る時刻だと思い、食堂を出た。

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バス・筑波神社前〜筑波駅〜土浦

筑波神社前〜筑波駅

昼食を食べ終えて食堂を出る。もうそろそろ筑波駅行きのバスの時刻だ。バス停に向かう。
ちゃんと時刻通りにバスがやってきた。バスの客は今度もたいしたことはない。ケーブルカーのにぎわいに比べるとこんなもんだ。やっぱり自家用車で来る人ばかりなんだろうなあ。

まあ、駐車場代が高そうだからバス代と比べてもたいして安上がりにはならなそうだが、こんな1時間待ちとかにならないから自家用車に乗れればその方がいいだろうなあ。

バスはすいすいと山をおりていく。山をおりると平地をちょっとだけ進み、人家の少ない筑波駅に到着した。一般周遊券のバスの券を渡してバスを降りる。

さて土浦行きのバスは・・・わーっ!また1時間待ちだ!

自転車専用道

さすがにどこかまた食堂でも入ってめしを食べるわけにはいかない。こりゃ散歩だろう。
これじゃ、茨城県の人はみんな車を買うだろうなあ。茨城県って、人が住める場所のうち駅から遠い場所が日本で一番広い県じゃないだろうか。
とりあえず南に歩いてみよう。

筑波駅近辺の集落はせまく、すぐに畑が広がる場所になる。
今歩いているのは自転車専用道だ。いい道だなあ。
あれ?さっきの筑波駅が鉄道の駅の跡だとすると、この自転車専用道って、その鉄道のレールが通っていた場所なんじゃないだろうか。

うーん、確かにここは鉄道廃線跡のようだ。こんな場所ってけっこうあるんだなあ。
全国にこういう場所があるようなので、おりを見て回ってみたいなあと思った。とりあえずもう少し散歩していこう。なんにせよながめはいい。このながめだけで筑波に来た意味はあるだろう。

筑波駅〜土浦駅

さて、そろそろ土浦行きのバスが来るころだ。筑波駅に戻る。
しばらく待つとバスがやってきた。客は今度も少なく、全員すわれた。そして発車。
バスは数時間前に通った場所を逆方向に進んでいく。

120円の鉄道おおまわり旅行ばかりしていると、あくせくした乗り継ぎになってしまうが、きょうはまだまだ太陽は出ているし、もうアパートに帰るだけだし、土浦に着いたらまっすぐ帰ってあしたの御岳登山鉄道行きに備えようかと思った。
そんなことを考えているうちに、バスは市街地に入っていき、無事土浦駅に到着した。運転手さんに「筑波駅→土浦駅」のバスの券を渡して降りる。

次に使うのは「土浦→御獄」のJR券である。改札を通ってホームに行く。もうすぐ上野行きがやってくる。きょうはこの券でアパートに近い駅まで行こう。
そしてあした御獄に行ってケーブルカーに乗ろう。そう考えた。きょうはいい日だったなあと思いながら、アパートに帰っていった。

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青梅線その1

立川〜青梅

筑波山のケーブルカーに乗った翌日、ぼくは立川にいた。これから青梅線の御獄(みたけ)駅に行ってケーブルカーに乗る予定なのだ。
ぼくが今持っているのは一般周遊券で、「土浦→御獄」のJR券を使っているところである。まずは青梅線の電車ホームに向かう。

青梅線には去年の4月に終点の奥多摩まで乗っているからそれほど気負うこともない。青梅行きに乗る。けっこう客がいる。そして発車。
電車は去年と同じように、拝島(はいじま)までは多少広い平野を走る。河辺(かべ)までそんな平野が続くが、青梅が近づくと山が迫ってくる。そして終点の青梅に到着。

青梅駅

奥多摩行きまでしばらく時間があるので、土浦→御獄のJR券を見せて途中下車してみた。そしてなにげなく待合室のパンフレットを見てみる。
そこには梅まつりの案内があった。「日向和田」とか「二俣尾」とかの駅が書き込まれた地図があり、梅林の位置も書き込まれている。

「日向和田」や「二俣尾」はちょうど青梅と御獄の間にある駅のようだ。ただ、この2駅は多摩川の北にあり、梅林は南にあるので橋を渡る必要がある。どちらの駅も梅林からは多少歩くようだ。「二俣尾」の方が若干近いかもしれない。

ぼくはこれから御岳のケーブルカーに乗る必要があるが、もしもケーブルカーの先でそれほどおもしろいものがなく、寄り道する時間があるようならこのパンフレットの梅林に行ってみようと思い、パンフレットをしまった。

青梅〜御嶽

さあ、もうそろそろ奥多摩行きの電車の発車時刻だ。ホームに戻る。
電車がやってきた。乗って発車。確かにけっこう客が多い。梅まつりの客がけっこう乗っているのかもしれない。

そのうち多摩川が電車から見えてくるようになる。去年と同じ景色だ。やっぱりこういう景色っていいなあ。
途中、かなり客は降りるようだが車内ががらがらになることはない。もしかしたらぼくと同じようにこれから御岳のケーブルカーに乗る客がいるかもしれない。山はせまり、いかにも奥多摩といったふんいきになったころ、電車は目的地の御獄に到着した。電車を降りる。

去年4月には通過した御獄にやってきた。さあ、電車を降りてケーブル下行きのバスに乗ろう。ぼくは改札に土浦→御獄の券を渡して通った。

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御岳登山鉄道

バスのぼり

青梅(おうめ)から乗ってきた電車を御獄(みたけ)で降りた。

さて、ケーブルカーののぼり口の駅、滝本(たきもと)行きのバス乗り場はどこだろうか。駅前にあった。お、筑波と違ってけっこう客がいるなあ。
筑波は交通の便が悪いからケーブル乗り場まで自家用車で行くけど、ここは青梅線が来ているからその分バス客が多いのだろう。こりゃすわれなさそうだ。まあいいか。

待っているとバスがやってきた。まあおそらく筑波のバスと同じで運賃は降りる時に払うはずだから一般周遊券のバスの券も降りる時に渡せばいいだろう。立ったままバスは発車する。
バスは急な斜面をのぼっていく。やっぱりこのくらい混雑するのが普通のバスなんだろうなあ。
けっこうな時間がかかってバスは終点に到着した。バスを降りる。

バス停から多少坂をのぼったところにケーブルカーの駅らしき建物があった。入ってみると窓口があった。

ケーブルのぼり

さて、きのう筑波のケーブルカーでは、一般周遊券のチケットを違うチケットに引き替える必要があったが、ここでもそうじゃないだろうかと思い、窓口に並んで一般周遊券の御岳のケーブルカーのチケットを見せてみることにした。
順番がまわってきて、チケットを窓口に渡す。すると現金で買うのと同じチケットが渡された。うーん、よくわからないけど一般周遊券にはいろいろなルールがあるのだろう。

しばらく待つといよいよ改札である。チケットを見せてケーブルカーに乗る。客はけっこう多いが筑波ほどではない。筑波とは違いバスで来た客が半分以上のようである。そのうち発車だ。

ケーブルカーはのぼっていく。緑が多く、いい景色である。

そのうちきのうの筑波のケーブルカーと同じように、レールが分かれている場所でくだりのケーブルカーとすれちがう。
前ばかり見ているのもなんなので、うしろをふりかえってみた。わあ。いいながめだなあ。

山

ここは奥多摩の山深い場所のはずだが、関東平野がずっと見渡せるいい景色だった。きのう行った筑波山もずっと向こうに見えるのかもしれない。
いやあ、やっぱりケーブルカーっていいものだなあ。このながめこそがケーブルカーの魅力なんだろう。そのうちスピードが落ちて、頂上駅に到着である。どやどやとケーブルカーを降りる。

とりあえずあたりを見渡してみたが、さっき見た関東平野のながめ以外に、それほどたいしたものも見あたらなかった。駅の近くはそれほどの名所ってわけでもないのかもしれない。
さてどうしようか。ここがどういう場所かわからないし、とりあえずケーブルカーには乗ったし、これから二俣尾に行って梅を見るという目的もあるので、もうおりてもいいかと思った。よし、おりよう。しばらく山の上の景色をながめるとくだりの車両に向かう。

くだり

滝本で一般周遊券のケーブルカーの券から引き替えてもらった正式なケーブルカーの券を係員に見せて改札を通り、くだりの車両に乗る。関東平野の景色が正面に見える。客はさきほどより少ない。そして発車。
緑の木々を見ながら車両はおりていく。レールが左右に分かれ、のぼりの車両とすれちがっていく。全国にいくつかケーブルカーはあるけど、みんなこういうつくりなのかなあ。おもしろいなあ。

すれちがうとだんだんと関東平野のながめが森にかくれていく。こういうながめはいいなあ。きのうときょうで2つケーブルカーに乗ったけど、全国にはまだまだケーブルカーがあるから、どんどん乗って行きたいなあ。そしてながめを見てみたいなあ。
さしあたり、関東には高尾山と、小田急の伊勢原の近くにケーブルカーがあったから、ことしじゅうに乗ってみたいなあと思った。そんなことを考えているうちに車両は終点の滝本に到着した。車両を降りて改札を通る。

駅を出るとバス乗り場に向かう。バス乗り場には何人か客がいた。それほど待たずにバスが来るようだ。何分もせずにバスがやってきた。
バスに乗る。さっきと違いすわることができた。
とは言え、筑波とは違い御獄駅まではそれほど距離もなく、すぐにバスは御獄駅に到着した。一般周遊券の最後から2番目の「ケーブル下→御獄駅」のバス券を渡してバスを降りた。残った券は御獄からアパートもより駅に向かうJR券のみとなった。

さあ、梅まつりを見に二俣尾に行こう。

後日談

なお、あとでまたここのケーブルカーには乗る機会があった。

なんでも都営地下鉄1日乗車券を使うと、西武新宿線の西武柳沢(せいぶやぎさわ)駅から青梅行きのバスに乗れて、さらに青梅から玉堂美術館(ぎょくどうびじゅつかん)行きに乗ると御獄駅のすぐそばに行けるという話なので、ある日都営地下鉄1日乗車券を使ってバスを何本も乗り継いでケーブルまでやってきたわけである。

一般周遊券を使った日は山頂駅から全然散歩せずに引き返したため、今度は多少散歩してみたが、道が長そうで疲れたのでやっぱり引き返して、結局たいした散歩もせずにバスで帰ったのである。

(2018年現在、青梅行きバスは西武柳沢ではなく2駅西の花小金井発となっている。)

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青梅線その2

御嶽〜二俣尾

ケーブル下から乗ってきたバスを降りて、御獄(みたけ)駅に入る。青梅線は青梅から奥多摩までは本数が少ないので多少待つ。なんとか電車がやってきた。
電車は進む。青梅駅から持ってきたパンフレットにある、梅の見られる場所に近そうな「二俣尾」という駅で降りることにしよう。
電車は二俣尾に着いた。二俣尾は「ふたまたお」と読むようだ。電車を降りる。改札は・・・ここは無人駅か。

電車に整理券とか付いてなくて、巡回する車掌もいないのに駅を無人駅にするなんて不用心だなあと思いながら駅を出る。さあ、パンフレットの地図に沿って歩こう。
最初は住宅街だ。多少くだり坂になっているような気がする。ようやく多摩川を渡る橋に出た。橋を渡る。

橋を渡っても住宅街が続く。梅の見られる場所はこっちの方向だな。

梅林

ふと道の左手を見ると、住宅街には似つかわしくないお店があった。お店を見ると「梅みそラーメン」と書いてある。
うーん、あまりピッカピカじゃないし、なんだかうまそうな店だなあと思った。でも今は梅の木を見るという目的があるし、先を急ごう、もしつまらなさそうだったらここに戻ってこようと思い、ラーメン屋から先に向かった。

(ピッカピカでない店がなぜうまそうかというと、以前ピッカピカなお店に入ったらものすごくまずかったことがあったからである。田舎ならともかく東京23区のことであった。)

住宅街をなおも歩く。多摩川沿いの盆地はそれほど広くもない。そんな左右の山々のながめは気分がいい。

そしてようやく梅がありそうな場所にやってきた。
それなりに観光客がいるようだが、それほど混雑といったふんいきではない。

小高い丘の上に梅林があるようで、多少客がいるようだ。しかし大混雑といったわけではなさそうだ。

梅

日曜だし、酒盛りとかをしている客も多少はいるようだが、それほどでもない。

露店とかが出ているわけでもないし、ざっと見て回ったが、さきほど通ったラーメン屋のことも気になった。そこより良さそうな食べ物屋がなさそうなのである。梅よりラーメンが食べたい。
ぼくはそう考えると、梅を見るのもそこそこに、二俣尾の方向に戻り、あのラーメン屋へと向かった。

昼食

てくてく歩いてラーメン屋にやってきた。お昼には遅い時刻である。営業しているかな?
入り口を開けてみた。いらっしゃいと声がする。良かった。営業しているようだ。入ってみる。満席ではないが多少客がいる。

メニューを見ると、そのものずばり「梅みそラーメン」というものがある。何だろう?たのんでみた。そしてできあがりを待つ。

ふと見ると、こんな山奥に似つかわしくない女の子がウェイトレスをしているようだ。
うひゃー。かわいい女の子だなあ。

ぼくはかわいい女の子がいる普通の食堂が好きである。ついつい何度も通ってしまう食堂が2店ほどあった。
でも2度目に行ったときはその女の子はいなかった。それでも10回に1回くらいは女の子に会えることもある。そんなふうにして通って(かよって)しまうのだ。

この店もそんな店の1つになるかなあと思いながらラーメンを待つ。

ラーメン

ラーメンがやってきた。確かに「梅みそ」っぽい香りがする。食べてみよう。
うん、ほんのりと梅っぽい味がするが、メインはみそラーメンのようだ。かなりうまい。
小さな店だし、ずっと続く店かわからないが、かわいい女の子はいるし、また来てみたいなあと思った。ごちそうさま。

二俣尾〜立川

ラーメンを食べ終えたので、なごりおしいがアパートに帰ることにする。さあ、二俣尾駅に戻ろう。
さっき通った道を思い出しながら、なんとか多摩川の橋までやってきた。橋を渡る。
そしててくてく歩いて、なんとか二俣尾駅に同着。それほど待たずに青梅の方に向かう電車がやってくるようだ。無人駅なのでそのままホームに向かう。

そして電車がやってくる。それなりに客はいるが満席になるほどではない。電車は発車。このまま青梅までは左右に山の見える景色だ。そして青梅を過ぎると多少平野が広くなり、拝島を過ぎて住宅も増え、西立川を過ぎると一気に市街地に入り、終点立川に到着である。

さあ、あとはアパートもより駅まで行けばはじめての一般周遊券の旅も終わりだ。まあいろいろあったけど、やっぱりケーブルカーっていいものだなあってことが最初の感想だ。
山登りの交通機関と言えばロープウェイが大多数を占めるけど、ケーブルカーは数が少ないだけにロープウェイとは違ったおもむきがあっていいなあと改めて思ったのである。

まあ、ケーブルカーは一般周遊券が使えるものがきょう乗った2路線以外にもあるから、また乗ってみよう。そう考えてアパートに帰ったのである。あしたからまた仕事だ。

後日談

なお、この日に食べた梅みそラーメンの店にいた女の子があまりにもかわいかったので、あとで青春18きっぷでまた二俣尾に行って店に行ってみたが、女の子はいなかった。

どうやら梅の季節だけのバイトらしい。それじゃつまらないなあと思い、3度目はまだない。

でも3月だったし、いつかまた行ってみたいなあと思いながら2013年を迎えている。

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