時刻表を見ていたら、高崎線・上越線のページにおもしろそうな列車が載っていました。
それは「急行上越スキー号」という列車でした。
なんでも越後湯沢の方から常磐線のいわきまで向かう列車らしいのですが、まあ最短経路は両毛線・水戸線経由でしょう。
しかしこの列車は越後湯沢から大宮まで進んだ後で、いきなり「次のページ」となっていて、次のページは常磐線のページで、なんと大宮の次の停車駅は柏なのです。
いったいどこを通るのでしょう?不思議です。
このあたりには武蔵野線があるので、武蔵野線でも通るのかもしれません。
おととし2月に「南房フラワー号」という快速列車に乗りました。大宮を出て館山の方に向かう電車です。
この列車は大宮を出ると地下に入り、しばらく地下を進んで地上に出て、ぐにゃぐにゃと高架のレールを進んで左に曲がり、なんと武蔵野線の南浦和のホームに出て、そこからは南船橋に行き、京葉線で蘇我に行って内房線に入る、そんな電車でした。
たぶん上越スキー号も南浦和、そして武蔵野線を進んで新松戸付近までは南房フラワー号と同じような経路を通るのでしょうが、新松戸では武蔵野線と常磐線は立体交差で直接行き来できるとは思えません。
だからどこかに「秘密のレール」があるんじゃないかと思いました。
なんとしても上越スキー号に乗りたくなりました。
上越スキー号の新松戸付近に乗るには大宮〜柏に乗れればいいわけですが、おあつらえむきに「東京ミニ周遊券」ではその区間の急行の自由席に急行券なしで乗れるので、東京ミニ周遊券を使おうと思いました。幸い上越スキー号には自由席もあるようです。
とすると、おととし9月みたいに静岡に行ってミニ周遊券を買えばいいわけですが、今回はおととしみたいに西に行く用事がありません。
だから静岡には静岡自体を目的地として行く必要があるわけです。しかし、あまりお得なきっぷもなさそうです。
よし、ここは一般周遊券でもつくろうと考えました。それも小田原発の一般周遊券です。なぜなら、静岡くらいの場所に行くには、小田急で小田原に行ってそこからJRで行くのが効率がいいからです。
ただし、小田原から静岡までの距離は100キロ未満です。ということは往復すると200キロ未満ということになり、小田原と静岡の往復だけでは無理ということになります。
とりあえず周遊指定地を考えましょう。
ぼくは静岡近辺の周遊指定地として、「三保の松原」と「御前崎」を考えました。
三保の松原は東海道本線の途中の清水からバスが出ています。
御前崎は静岡からバスが出ていますが、それとともに静岡から西の菊川からもバスが出ていることに気がつきました。
もしかして、小田原から菊川って100キロを超えているんじゃないかなと思ったら超えているようです。そして「小田原〜静岡」+「小田原〜菊川」も200キロを超えていることがわかりました。
これらをふまえて以下の一般周遊券を計画しました。
小田原→清水(バス)三保入口(バス)清水→静岡(バス)御前崎(バス)菊川→小田原
一般周遊券の条件を検証します。
(1)前述のとおり、JRの乗車距離は201kmを超えています。
(2)経路は連続しています。
(3)出発地の小田原に戻っております。
(4)JR以外のバス区間はすべて指定地接続線ですのでこれもOKです。
(5)周遊指定地は三保と御前崎の2か所に確かに行っています。
ですので条件は満たしています。
いつも一般周遊券を買っている旅行会社に申し込んだのですが、なんとできあがったのはこんな一般周遊券になりました。
小田原→清水(バス)三保入口(バス)清水→菊川(不連続)静岡(バス)御前崎(バス)菊川→小田原
理由はわからないのですが、2枚しかないJR券のうち1枚は、本来は「小田原→静岡」になっていなければならないはずなのに、なぜか「小田原→菊川」となっており、それにもかかわらず御前崎に向かうバスは「静岡→御前崎」になっているのです。
弱ったなあ。指摘して作り直してもらうのは時間がかかって不経済だし、上越スキー号までに間に合うかわからないと思ったのでそのまま買うことにしました。
御前崎に行く日はムーンライトながらで静岡に向かう予定にしていたので、どうせ御前崎に行く始発のバスまでは時間があるし、その間に菊川に行って戻ってくればバスまでの時間つぶしになっていいだろうと考えたほかに、もし「小田原→静岡」だと100キロ未満のきっぷになってしまうので、「79.関西のケーブルカーと水間鉄道(1996年11月その2)」の旅行の芦屋や住吉みたいに「この乗車券では途中下車できません」と清水の駅員さんに言われる可能性もあるなと思ったからです。「小田原→菊川」なら100キロ以上ですのでそういう可能性はありません。
そんなわけで、一般周遊券として成立していない一般周遊券もどきができあがりました。そしてこれを使った旅行計画が以下のとおりです。
(a) 上越スキー号に乗る前日夜に小田原に行き、ムーンライトながらで熱海に行く
(b) 始発列車で清水に行き、三保に行って戻ってくる。静岡に向かう。
(c) 一般周遊券の旅行を中断し、東京ミニ周遊券を使用開始。こだまで三島に向かい、修善寺始発の踊り子で三島から東京に向かう。これで踊り子の特急券は半額になる。
(d) あとは適当に電車に乗って大宮に向かう。
(e) 上越スキー号に乗って柏に行き、その日はアパートに戻る。
(f) 建国記念日が祝日なので、ミニ周遊券の自由周遊区間内のどこかに行ってこよう。
(g) 土曜日に東京に行き、ムーンライトながらで静岡に向かう。ここから一般周遊券の旅行を再開する。
(h) 菊川まで往復し、御前崎に行き、ふたたび菊川に戻り、小田原に向かい、小田原からアパートに戻る。
こんな計画になりました。
このことを、「104.大嶺と仙崎(1997年1月その1)」の旅行でお世話になっているメーリングリストに書いたら、なんといっしょに上越スキー号に乗る人が現れました。
彼はぼくが4年前に武蔵工業大学の学園祭で見てファンになった「Melody」という女の子3人組アイドルのファンでした。
ぼく自身は1997年時点ではほとんどアイドルファンをやめてしまっていましたが、彼はぼくがアイドルファンをやめてもまだファンを続けているようです。「104.大嶺と仙崎」の旅行には行ってないので初対面ということになります。
そんなわけで大宮で待ち合わせすることになりました。
彼はホリデーパスと急行券を買って乗るということで、ぼくもこんなにおおがかりな旅行ではなく、ホリデーパスと急行券の旅行にしてもよかったかもしれないとは思いましたが、三保の松原にも御前崎にも行ってないし、上越スキー号が新松戸近辺でどこを通るのか知りたいし、まあいいかと思いました。
東京ミニ周遊券は当日買っても良かったのですが、「49.近鉄湯の山線の旅行(1997年1月その2)」で名古屋から帰ってくるので、途中の静岡で買っておきました。
「静岡→三島」の特定特急券と「三島→東京」の自由席特急券は旅行会社でなく、当時持っていたVIEWカードで駅で買いました。
こうして上越スキー号に乗る前日となり、ぼくは仕事を終えて小田急で小田原に向かったのです。
たった今思いついたのですが、小田急で藤沢に行って静岡に向かえばもっと安くできたかもしれません。
小田急の電車は、無事小田原駅に到着した。
これからの予定だが、まずはムーンライトながらで熱海に向かい、熱海でしばらく過ごして、始発の電車で清水に向かい、三保行きのバスに乗る計画である。いったん小田急のきっぷを渡して改札を通る。
以前大雄山(だいゆうざん)線に乗るためこの駅に来たことはあるが、たいしたお店はなかった。あれから数年たったがそれほど変わりはない。
さあ、一般周遊券の使用開始である。今回の一般周遊券はJR部分がぎりぎり201キロを超えるだけ、しかも東海道本線しか通っておらず、あとはバスだけという、券の数も少ない周遊券である。
でも特別なきっぷなのだし、じっくり味わって使うことにしよう。まずは「小田原→菊川」の券を改札に見せる。無事スタンプを押してもらう。
そしてムーンライトながらの出るホームに向かう。青春18きっぷの使えない時期であるが、使える時期と同じく、この駅からながらに乗る指定席券を買っていないやつらがおおぜいいる(ぼくもその1人だけど)。
きょうは熱海まで乗るだけだし、別に並ばなくてもいいだろう。適当に過ごす。だんだん客が増えてくる。いつもの風景だ。
ムーンライトながらがやってきた。5号車や8号車は喫煙可能な車両だから行かないようにする。
青春18きっぷが使えない期間だが、さすがに席はいっぱいだ。デッキで過ごそう。熱海で降りるからそれほど苦にもならない。
電車は発車した。さすがに車内は静かである。熱海か沼津で降りるらしいサラリーマンも多少はいるようだ。
湯河原のあたりでは海も見えるようだが、さすがに暗いのでよく見えない。そんなふうにしてトンネルを通ってスピードを落とし、たちまち熱海に到着した。ここで降りよう。
ムーンライトながらを降りて改札に行き、「小田原→菊川」の周遊乗車券を見せた。101kmを超えているきっぷなのでなにごともなく途中下車できた。
さて、大垣行きの電車を熱海で降りるのは、ムーンライトながらになる前も含めるとこれで5度目である。またいつものようにお宮の松のところのすかいらーくに行こう。
改札を出るとなんと、駅前にファミリーマートができているではないか。駅前にコンビニがないのは不便だなあと思っていたが、これで少しは熱海も便利になるようだ。ちょっとだけ買い物していこう。
ファミリーマートを出て、いつものようにアーケードを通る。車が来ないのは便利だ。すぐにアーケードが終わる。
それから道を渡り、急な下り坂をおりていく。この道がお宮の松までの近道である。
ずんずんおりて、どこかのホテルの裏を通る。すると海岸通りに出る。すぐそばにお宮の松があり、ちょっと歩くとすかいらーくもある。2年2ヶ月ぶりに寄ることにする。
3年前は東京行きに乗ったので3:10までに熱海駅に戻る必要があったが、きょうは5時までに戻ればいいので、客が少なければゆっくりしていこうと思っていた。
しかしここのすかいらーくはおもいのほか深夜の客が多い。深夜のすかいらーくは会計が1割増しであることはみんな知っていると思うが、それでも24時間営業の店は人気があるのである。
団体客も多いが、ぼくみたいな1人の男性客もいる。こりゃあんまり長居はできないようだ。
もちろんこんな時は注文した食事はすぐにやってくる。
夜の海を見ながらゆっくり食事といきたいが、あとからあとから団体客がやってくる。すごいなあここのすかいらーくは。
もちろんムーンライトながらの客なんてぼくのほかは少ないだろうし、ほとんどは車の客だろう。熱海は高速道路のインターチェンジから遠いのでそれほど車が便利とも思えない。
熱海の近所の住民なのだろう。なんにしても客が多ければ店がつぶれることもないだろう。
しょうがないので普通に食べて、食べきったら店を出ることにするか。でもそうすると清水に行く電車が出るまでとても時間がある。どこで過ごそうか。
そうだ、おととし熱海から十国峠のケーブルカー登り口までバスに乗った。だから熱海駅前のバス停のベンチですわって過ごそう、そう考えた。
そんなふうにして食事が終わる。いつものように1割増しの会計である。
さて、すかいらーくを出てどうしよう。3年前初めてここのすかいらーくに来た時は、来るとき通った急勾配の道より伊東寄りの、やや勾配のゆるい道を経由して熱海駅に戻ったものだが、今回は逆に、湯河原寄りの道を進んでみることにした。
道を進む。のぼり勾配である。伊東寄りの道とは違い、住宅とか全然ない道である。
そのうち左に向かう分かれ道がある。行ってみよう。
行ってしばらく進むとあっけなく熱海駅に着いてしまった。伊東寄りの道に比べて遠回りでコンビニもないし、進んで通る道でもなさそうだ。まあ時間がある時だけの道だろう。
熱海駅に着いた。まだ東京行きムーンライトながらも着いていない時刻である。予定通りバス停に行こう。
熱海駅の改札からちょっと離れたところにあるバス停のベンチにすわる。さすがにだれもいない。
だれか警察官でも来て質問されたらどうしようかと考えながら約2時間を過ごした。そしてようやくもうすぐ清水方面の電車の出る時刻になり、改札に向かう。
「小田原→菊川」の周遊乗車券を見せて改札を通り、ホームに向かう。さすがに客はほとんどいない。電車に乗って出発。丹那トンネルを通る。しばらくまどろむことにする。
2月だからずっと暗いまま電車は進んでいく。沼津、富士を過ぎ、うっすらと明るくなったところで目的地、清水に到着である。
周遊乗車券を見せる。熱海に続いてすんなりと降りられた。
3年前に酒井美紀ちゃんと握手するため静岡に来て以来の清水駅である。酒井美紀ちゃんとは去年2月にも握手しているが、清水駅で改札を通るのは3年ぶりである。
さあ、三保行きのバス停を探そう。
なお、この日食事した熱海のすかいらーくは、2011年現在ジョナサンになっている。
清水駅の改札で一般周遊券の「小田原→菊川」の券を見せて途中下車して、バス停を探した。
どうやらそれっぽいバス停を見つけた。そしてしばらく待つ。
バスがやってきたので乗る。また待つ。客はぼくだけということはなく、あと数人はいるようだ。そして発車。
バスは多少広い道に出る。そして狭い湾になった海に出て進んでいく。
じきに海は見えなくなり、住宅地に出る。途中で何人か客が降りていき、そして目的地の三保入口に到着した。「清水駅→三保入口」の周遊船車券を運転手に渡して降りる。
さて、すぐに三保の松原に行きたいところだが、その前に行くべきところがある。
青春18きっぷの書籍に載っているのだが、なんでもこのあたりに「清水港線」という国鉄の路線があって、廃止されてしまったそうだ。その終点の三保駅が近くにるようなのだ。
たぶんバスが行ってしまった方向に歩くとあるんじゃないかと思い、少し歩いた。
おお、こりゃすごい。
鉄道のホームが残っている。でもまわりにレールは全然ない。
ホームにベンチがあり、植え込みの植物も残っているので、誰かがきちんと整備しているのかな、と思った。鉄道ファンが来るのかもしれない。
さあ、ここで朝食といこう。このあたりにはコンビニとか全然ないが、ぼくはなんとカップラーメンを持ってきている。ただしお湯はない。
3年前の12月に、宇野線の茶屋町の駅前で、小僧寿しで買ったお茶漬けに自動販売機の熱いお茶を入れて食べたので、今度も自動販売機の熱い飲み物を入れて飲むつもりなのだ。ということで自動販売機を探す。
あった。今回湯を入れるのはお茶漬けではなくカップラーメンなので、できれば緑茶でない、レモンティーあたりが良かったのだが、緑茶しかないようだ。まあいいかと緑茶を買う。
三保駅跡のホームのベンチにすわり、緑茶をカップラーメンに入れる。3分待ったがもう少し待とうと思った。そしてふたを開ける。
うーん、温度がそれほど高くないせいか、メンがかたいようだ。まあいいか。ぼくはカップラーメンをぼりぼり食べた。食堂で食べたことのある一番まずいラーメンよりはうまい。
食べ終わった。ごちそうさま。まあ、カロリーメイトよりもおなかにたまっていいかもしれない。
なんだか変な実験になってしまった。まあ熱海のすかいらーくで食事していることもあるし、これで夕方まで食事しなくてもいいかもしれない。
最後にもう一度まわりの景色を見ておくことにする。日本にはほかにも廃線跡ってありそうだ。1月に行った美祢線の大嶺(おおみね)もそのうち廃線になるけど、ホームは残されるだろうか、そう思った。
カップラーメンを食べ終わると、いよいよ三保の松原に向かうことにした。
どっちが北か南かもわからないが、これと思う方向に進む。するときっちりと松が植えられている道に出た。松に沿って進む。ところどころ売店がある。
するとそのうち海岸が見えてきた。海岸に向かおう。
海である。ついさっき熱海で海を見たばかりだが、こんな砂浜は見ていないので新鮮である。清水の海もいい。
砂浜の途中に、かこいに囲まれた松が見えた。
とても古そうな松で、枝は曲がりくねっている。そして、いたるところ「補強」のように細い板とひもで結ばれている。
どても古い松のようである。こんなふうに松を補強する意味って何かあるのだろうか?
植物のことはよくわからないが、新しい松だらけにせず、古いものを残しておく意味っていうのが「芸術的」な意味であるのかもしれない。いずれにしても「芸術的」っていうのはぼくには全くわからない世界である。
砂浜の向こう、海の中にコンクリートっぽいものが見える。あれはテトラポットであろう。砂浜を守っているわけである。あれは芸術的には相反するものだろう。どちらかというと「実用的」である。ぼくはどちらかというと実用的なもののほうが好きである。
そんなふうにして、しばらく松と海をながめていた。あたりに客はほとんどいない。なにしろまだ朝早いからなあ。
さあ、三保入口のバス停に戻ろう。
また松の道を通り、客のいない売店の前を通り、ようやくバス通りにやってきた。時刻表通りだともうすぐ清水駅行きバスの来る時間だ。なんとかバス停まで来た。
バスがやってきた。乗る。今度も客は少なく、無事すわれて出発。
バスは住宅街を通り、やがて港っぽい場所を通る。休日朝早いので客は全然乗ってこない。
そして大通りに入ってしばらく進み、ようやく清水駅に到着した。「三保入口→清水駅」のバス券を渡してバスを降りる。
まだ午前9時を過ぎたところだ。さあ、東海道本線で静岡に行ってこだまで三島に行こう。
三保の松原の近くからバスに乗って、なんとか午前9時ちょっと過ぎに清水駅まで帰ってきた。
小田原からムーンライトながらに乗ったときに使った「小田原→菊川」の周遊乗車券をふたたび取り出して改札に見せて通る。このあたりは電車が多い。じきに静岡に向かう電車がやってきた。
さすがにすわれないが青春18きっぷシーズンほど客はいないようだ。発車。
いつものとおり、貨物駅みたいな場所を通り過ぎ、静岡駅に到着した。ほんの1ヶ月ぶりの静岡駅である。
おととし9月に東京ミニ周遊券を使ったときは使う日に買ったが、今回は先月すでに買っている。「小田原→菊川」の周遊乗車券を見せて在来線改札を出ると一般周遊券はしまい、東京ミニ周遊券を取り出す。
そして新幹線改札で東京ミニ周遊券のA券と「静岡→三島」の自由席特急券にスタンプを押してもらって新幹線ホームに向かう。
何か駅弁でも食べたい気がするが、さっきカップラーメン(缶のお茶をかけた)を食べているので食べなくてもいいだろう。
新幹線ホームはやっぱりいい。東海道新幹線は東北新幹線と違って乗り放題のきっぷがないだけに貴重な乗り物のような気がする。
これから乗るこだまも、たとえ各駅停車でも乗るとビシッとした気分になるものだ。
こだまがやってきたので乗る。きょうもたいして混雑していない。そして発車。
きょうは三島までなのであまり長い時間乗ることはできない。しっかりリクライニングシートの感覚を味わっておこう。
右手に海が見えたりしながら、たちまち新富士に着いた。そしてまた発車。また海が見える。さっき三保の松原の海岸で海はさんざん見ているけど、交通機関から見える海はやっぱりなんとなく違うような気がする。
そんなふうにして目的地、三島に着いた。こだまを降りる。
ちょうどいい時間のこだまに乗れたので、たいした待ち時間もなく、修善寺からやってくる特急踊り子に乗れそうだ。ぼくは中間改札で自由席特急券を渡し、東京ミニ周遊券を見せて通った。さあ、在来線ホームに行こう。
静岡から乗ってきたこだまを三島で降りて、中間改札に特急券を渡し、東京ミニ周遊券のA券を見せて通る。そして東海道本線のホームに行く。
踊り子が出るホームは一番南のホームだ。すぐ近くにおととし行った伊豆箱根鉄道のホームがある。改札は別々だ。
今度来る踊り子は修善寺(しゅぜんじ)が始発、すなわち伊豆箱根鉄道から来るわけだから、あっちからこっちに踊り子がやってくるわけだろう。どう進むのかな?
到着時刻が近づいた。
踊り子らしき電車がやってきた。あ、あれは15年前に乗ったことのある、リクライニングしない電車だ。特急でもリクライニングしない電車ってあるんだなあ。
踊り子は、確かに伊豆箱根鉄道の方からやってきた。東海道本線に合流してくる。
しかし、合流するポイントが、なんと三島駅のホームの中間付近にあるのだ。
踊り子は合流ポイントを通過し、ホームのかなり前方に停車した。あわてて前の方に行く。
考えてみれば時刻表にも書いてある通り、修善寺を出る踊り子は熱海で伊豆急下田から来る踊り子と併結して進むわけだから、三島の時点ではわずか3両なのだ。だからポイントが中間地点で、その前方にしか停車できなくてもだいじょうぶなのだろう。
とにかく自由席にすわる。外から見た通り、リクライニングしない席だ。3両しかないけどけっこう空席がある。たいていの東京方面に行く人はこだまを使うのだろう。
踊り子に乗る人は、新幹線が停車しない駅に行く人ばかりだろう。ぼくみたいに乗り継ぎ割引で特急料金を半額にしようなんていう人はそんなにはいないだろう。
踊り子は発車する。たちまち眠ってしまった。
気がつくと東京駅に近づいていた。そして東京到着。
どうせ眠るなら普通列車でも良かったかもしれないが、やっぱり踊り子に乗ると静かだろうし、普通列車はうるさいかもしれない。だからこれで良かったのだろう。
さてこれからどうしよう。まだお昼にもなっていない。ぼくが乗ろうとしている上越スキー号が大宮を発車するのは夕方だ。
せっかく東京ミニ周遊券があるのだから、どこかまわってみたいなあ。
ぼくは中央本線にでも乗ろうと思った。踊り子を降りて中央本線のホームに向かう。すでに中央本線のホームは高いホームになっている。ぼくはホームの階段をおり、中央本線ホームのエスカレーターに向かった。
三島から乗ってきた踊り子を東京で降り、階段をおりてエスカレーターをのぼって中央本線のホームにやってきた。
停車していた電車は青梅特快だった。空席もある。
まあ、もし終点まで連れて行かれたとしてもなんとか上越スキー号の発車までに大宮には行けるだろうと思い、青梅特快に乗り、ロングシートにすわる。そして眠った。
目が覚めた。
ありゃ。もう青梅線に入っている。
青梅行き青梅特快は、立川と西立川の間の青梅特快用の線路(正確には貨物線みたいなもの)がおもしろいのだが、もう西立川を過ぎていた。さすがに眠りすぎたようだ。でもまだ拝島には来ていないようだ。
このまま青梅まで行こう。
青梅線には国鉄最後の3月に乗って以来何回か乗っている。御獄のケーブルカーにも乗った。
きょうはあまり時間がないのでとんぼ返りになりそうだが、しっかり乗っていこう。起きている時間だけでも景色をながめよう。
拝島を過ぎてもしばらくは平野が続く。なぜかこのあたりは都営バスが通っているのでこのあたりのバスに都営の一日乗車券で乗ったこともある。
河辺(かべ)を過ぎると山あいに入っていき、終点青梅に到着である。とりあえず立川に引き返すのでいったん改札を出なければならない。
東京ミニ周遊券のA券を改札に渡して、B券でふたたび通り、ホームに戻る。せっかく青梅に来たからお店とか寄ってみたいが急がなくてはならない。立川行きに乗る。
日曜だけど客は少ない。そして発車。ふたたび平野に入っていく。
あまり来ない青梅線だけどたまにはいいなあと思いながら電車は進んでいき、拝島を過ぎた。拝島は階段がせまくて乗り換えにくい駅である。都心に出るには西武の方が安そうだ。そのまま立川まで進む。
西立川から立川までは、青梅行き青梅特快が通らない方の線路を進み、遅れることもなく電車は終点立川に到着した。お昼をかなり過ぎたが上越スキー号の発車までは余裕がある。大宮に向かおう。
青梅から乗ってきた電車を立川で降りた。
あとは大宮まではけっこう乗り慣れた道である。東京行きの電車にはうしろの方に乗る。そして西国分寺に向かう。
階段を上がると改札前に出る。さらに階段を上がると武蔵野線ホームだ。
武蔵野線は、武蔵浦和に行くならばうしろ(府中本町寄り)に行き、南浦和に行くなら前(南浦和寄り)に進む。
きょうは目的地が大宮だし、埼京線は京浜東北線より本数が少ないので南浦和に行こう。前に進む。じきに電車がやってきた。
多少混雑はしているが、それほどでもなく、なんとかすわれた。発車。いつものようにしばらくトンネルを進む。何駅かすると高架に出て、広い場所を進んで武蔵浦和に着く。またトンネルをくぐって南浦和着。
なんとか京浜東北線に乗り換える。京浜東北線はもうすっかり新しい不便なすわれない電車になってしまった。きょうもすわれずに進む。そして終点大宮着。
さあ、無事上越スキー号の発車前に大宮駅にやってきた。さあ、Melodyファンの男との待ち合わせ場所に行こう。
待ち合わせ場所で迷ったが、すでに大宮駅は自由通路の広い駅に改装されている。そういった場所は人が多く、待ち合わせには不向きだろう。
ぼくは男との待ち合わせ場所に変な場所を指定した。埼玉新都市交通の大宮駅の改札前だ。
こんなJRから離れた場所でいいかなと思ったが、男はOKと言った。そんなわけでダイエー側に進み、小山方向に進み、埼玉新都市交通の改札をめざした。
無事到着。はたして男は無事ここに現れるだろうかと思いながら待った。
南浦和から乗ってきた京浜東北線を大宮で降り、東京ミニ周遊券のB券を見せて改札を通り、ダイエー側に曲がってさらに右に曲がり、埼玉新都市交通の大宮駅へと向かった。改札で待つ。
やがてそれっぽい若い男がやってきた。うーん、彼かな?ためしに東京ミニ周遊券のB券を手にとって見せてみた。
「あなたが○○さんですか。」
やはり彼だった。つもる話もあるが、まずはJRの方の大宮駅の改札に向かうことにした。彼はホリデーパスと急行券を用意しているらしい。まあ、ちゃんと列車が運行する予定なのだから大宮→柏の急行券も買えるだろう。
改札を通り、上越スキー号が出るホームに行く。どんな列車かわからないが、やっぱりボックス席ばかりの電車なんだろうなあ。
しばらくおしゃべりしていると、そのうち発車時刻が近づき、アナウンスがあった。
「『団体列車』がまいりますのでおさがりください」
「団体列車」って何だ?上越スキー号は時刻表に載っているし、ホリデーパス+急行券とか、東京ミニ周遊券で乗れるから「臨時列車」のはずで、団体列車っていうのは「主催旅行」「手配旅行」みたいに、通常のきっぷで乗れないものをさすんじゃないかなあと思った。
まあ、大宮の駅員は、上越スキー号のことを特別な列車と思っているのだろう。
とにかく列車がやってきた。時刻表に「全」マーク(全車指定席の意味)がないから自由席はあるだろう。
乗ってみた。ボックス席の電車だが、みごとにがらがらである。やっぱり急行だからかなあ。
ぼくたちはなんとか自由席車両をさがした。やはりがらがらで、楽にすわれた。そして出発。
彼はメールアドレスを知っているし、その気になればまた交流できるので、とにかく景色をながめることにする。
とは行ってもぼくは少なくとも大宮から新松戸近辺までは、おととし快速南房フラワー号で乗っているので、景色は知っているわけだ。
でもその先に乗れるわけだし、あの時は朝だったけど今は午後だし、なにしろ仲間がいる。だからこんなのもいいんだろうと思った。
さあ、何度か通った貨物線だ。上越スキー号は大宮からちょっと南に進むと、一気に地下にもぐっていく。
地下をしばらく進むと地上に出て、さらに高架に上がっていく。埼京線らしい高架も見える。もちろん東北新幹線の高架といっしょだ。
そして右に進めばホリデー快速鎌倉号やホリデー快速むさしの号、左に進めば南房フラワー号という分岐点にやってきた。当然上越スキー号は左に曲がっていく。ぐいぐい曲がる。
やがて見慣れた武蔵野線のレールが近づいてきて、合流する。友人もわくわくしながら景色を見ていた。そして電車は南浦和の武蔵野線の方のホームを通り過ぎていく。
それにしても、全然車掌がやってこない。なにしろ越後湯沢近辺を発車して、いわきに向かう電車である。まさか大宮で乗って柏で降りる客がいようとは思わないのだろう。でも、大宮で乗って柏で降りるのは、鉄道ファン的には理にかなった行動だと思うのだが。なにしろがらがらの電車だし。
あとは多少は見慣れた武蔵野線のレールである。120円の首都圏大回り旅行でもよく通る場所である。4月からは130円旅行になるわけだが。
新越谷、新三郷に来ると景色は閑散としてくる。ここまではいつもの景色だ。そして新松戸の1駅手前の南流山が近づいた。
ぼくは南房フラワー号ではなく、3年前に河口湖から大宮まで乗った、ホリデー快速むさしの号のことを考えていた。
あの電車は立川を出るとなぞの地下のレールを通り、いつのまにか新小平駅に出ていた。だからもしかしたら上越スキー号が武蔵野線から常磐線に行くときも、地下に入るのかもしれないなあと思った。
電車は南流山を通過し、スピードを落としていった。左手に団地が見える。しかしいつまでたっても地下に入るふんいきではない。
よくよく前後を見ると、いつのまにか電車は大きく左にカーブしているのである。
下を見ると流山鉄道のレールが見える。これも3年前に通った。
そしてさらに左に曲がっていく。団地と反対側を見ると、おお、常磐線だ。
そして常磐線にガッチャンコと合流する。合流してしばらくするとこのレールにはホームがない北小金駅が見える。
なんだか不思議なレールだ。全部地上にあるレールなので、いつか新松戸で降りてこのレールを確認してみたいなあと思った。
北小金を過ぎると、いつもの常磐線快速の景色である。特急も走るレールをちょっとだけ進み、じきに目的地の柏に到着である。2月なので日は短く、もう暮れてきた。
ネットの友人といっしょに上越スキー号を降りた。また変なレールを通る列車があったら乗ってみたいものだと思う。
さあ、アパートに帰るため上野行きの電車に乗り換えだ。
大宮駅から乗ってきた急行上越スキー号を友人と柏で降りた。
本当に夢のような体験であった。ほとんど客のいない電車で、しかも南流山からはふだん通ることのないレールを通っての常磐線入りであった。
興奮さめやらぬまま階段を上がっておりて上野行きのホームに進む。上野行きがやってきた。けっこう乗り慣れている電車である。乗ると発車。もちろん快速なので、すいすい松戸に向けて進んでいく。新松戸で武蔵野線の下をくぐる。
アイドルファンと鉄道ファンという共通の趣味を持つ友人であるが、残念ながら彼が応援しているMelodyというグループとはその後疎遠になってしまった。まあ、鉄道の趣味があれば特に今後アイドルを応援していくこともないだろう。
上越スキー号と違い、常磐線ではさすがに他に客がたくさんいるのでそんなにおしゃべりするわけもいかず、電車は松戸を過ぎて北千住へと進んでいく。日も暮れた。
そして電車は日暮里に着いた。ぼくたちはここでお別れすることにした。
あしたは会社なのでどこかに寄り道していくわけにもいかない。とっぷりと暗くなった中、電車を乗り継いでアパートに帰ることにした。
東京ミニ周遊券は7日間有効だし、あさっては建国記念日なので、どこか出かけることにする。でも特に自由周遊区間に接続した場所で乗りたい私鉄もないし、そうだ、横須賀線は鎌倉や久里浜で降りたことはあるが、途中の横須賀で降りたことは一度もないから横須賀にでも行ってみようと思った。
あさっては横須賀に行こう。