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129.井原鉄道とくま川鉄道

説明

1998年冬も青春18きっぷのシーズンがやってきました。
いつものとおり、帰省のため2回分を使うとして、残り3回はどうすればいいでしょう。
成人の日がらみで3連休があるので、この連休に残り3回分を使うことにしました。

それから以下のことを考えました。

・大阪のモノレールが「万博中央公園」と「阪大病院前」の間を延長開業したから、行く必要がある。
・平成11年1月11日に「井原鉄道」が開業するらしいので乗りに行こう。
・スカイマークエアラインズの福岡〜羽田が13700円である期間ももうすぐ終わるので、ぜひ乗ろう。それには井原鉄道から九州まで行く必要がある。
・久大本線に1本だけ、大分〜久留米間を走る客車がある。これにぜひ乗りたい。
・2月に周遊きっぷ・九州ゾーンの旅行をすることを決めている「130.九州完全乗車旅行(1999年2月その1)」。だからその前にいくつか九州の路線を乗っておいて、2月の時点で九州中のすべての列車・ケーブルカーに乗った状態になるようにしたい。
・久大本線の客車を久留米で降りてから約24時間後のスカイマークエアラインズに乗るまでの間に行けるところとして最もふさわしいのはくま川鉄道だ。前回肥薩線に乗ったとき「117.最後の西鹿児島発寝台特急はやぶさ(1997年11月)」は暗くて景色が見えなかった八代〜人吉間を景色が見える時間帯に通り過ぎることが可能だ。
・さかのぼって、ぎりぎり久大本線の客車に間に合う最も東の場所は岩国だ。ここに泊まろう。2日目は熊本に泊まろう。

このようにしてムーンライトながらの指定席も取れて、無事旅行できることになったのです。

東海道本線その1

横浜駅周辺

東横線の電車は、無事横浜駅に到着した。
3ヶ月ぶりにムーンライトながらに乗る。今日も横浜駅は家路に向かう人たちでいっぱいである。
まだ改札を通れる11時50分ごろまでは時間があるので、今日は駅の東に行ってみることにした。駅の西にはそんなに近くにコンビニがないことがわかっているので、東にコンビニがあれば便利だと思ったからだ。

駅を出て階段をのぼる。屋台のラーメン屋があった。なんだか横浜っぽくなくていいなあと思った。 さて、ちょっと歩いてみよう。うーん、コンビニっぽい店はなさそうだ。よし、屋台のラーメン屋でラーメンを食べよう。
ラーメンを注文し、待つとラーメンが出てきた。食べる。うーん、うまいなあ。店で食べるラーメンはたまにものすごくまずいことがあるので、うまいラーメンだとほっとする。また食べたいなあ。

食べ終わるとまたびゅうプラザのとなりのパンフレット置き場で旅行パンフレットを見て過ごす。11時50分になったので改札に行き、ムーンライトながらの指定席券と青春18きっぷを見せて、3日目の所にスタンプを押してもらう。

横浜〜岡崎

ホームに行く。今日もMM21線の工事のため東海道線ホームは片面しか使われていない。
そして定刻にムーンライトながらがやってきたので自分の席に行った。

今日は3ヶ月前と違い、名古屋止まりの車両で小田原までの指定席を取っている。だから小田原に着くと指定席券のない客がどんどん乗ってくる。 まあどうせ岡崎で乗り換えれば米原まで眠れるから無理に眠ることもないだろうと思ったが、意外に眠れてしまい、次に起きたときは浜松だった。ホームに降りていた人たちが乗り込んでまた発車、豊橋でまた長く停車し、岡崎に着いた。ここで降りる。

今日はローソンのクーポン券を持っている。またとろろそばも買うが、ほかにもローソンのクーポン券を使って割引でいろいろ飲み物とか買おう、と思いながら岡崎駅の改札を出た。

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東海道本線その2

旅行記本文

ムーンライトながらを岡崎で降りて改札を出て、左に曲がって階段を下りる。交差点に行って信号を渡るとローソンがある。クーポン券を使っていろいろ買っていく。

本当はカロリーメイトとか安いといいんだけど、カロリーメイトの代わりにウィダーインゼリーという携帯用の食品がクーポンリストにあったのでためしに買ってみる。ほかにもクーポンが使えるお菓子とか飲み物とか買っていく。クーポンは使えないがとろろそばも買う。
岡崎駅に戻り、改札を通ってホームに行き、しばらく待つと2列シートの米原行きがいつものようにやってきた。乗ってとろろそばを食べているうちに電車は発車する。お菓子を食べて飲み物を飲むと眠くなってきたので寝る。

目が覚めた。いつものようにもう関ヶ原を過ぎているようだ。

そう言えば3年前の1月に岡崎から米原まで乗ったとき「123.ムーンライト高知とムーンライト松山(1996年1月)」は、岐阜県から滋賀県まで雪が積もっていたことを思い出す。今日は雪は積もっていないようだ。そして米原着。いつものように向かいに停車している姫路行き新快速に乗り換える。
今日は途中の高槻(たかつき)で降りるので眠らずに行かなくてはならない。今日も京都に行くまでにかなり混雑してきて、京都でかなり降りるが同じくらい乗ってきて空席はできない。まちなかを通って高槻に着いた。ここで降りる。

さあ、3日間の旅の始まりだ。まずは改札を出て阪急の高槻市駅に向かおう。

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阪急電鉄・京都本線

事情

姫路行きの新快速を高槻(たかつき)で降りて、青春18きっぷを見せて改札を出た。

めざすは阪急の高槻市駅である。

なぜこういう乗り換えをするのかと言うと、めざすは大阪のモノレールなのだが、JRとモノレールは交わる地点に駅がなく、一番近い茨木と宇野辺(うのべ)という駅の間でも20分かかるという話だからである。だから阪急の乗り換え駅、南茨木に近くて、しかもJRの駅と阪急の駅が近そうなところで乗り換えようと思ったわけである。それが高槻→高槻市というわけである。

高槻〜高槻市

高槻駅を出たぼくは、目の前にある左右に続いている道を、まずは右に進むことにした。

徒歩

縮尺の小さい地図で見た限りでは、高槻の南方向に高槻市駅はありそうだが、まっすぐ進む道がないのでひとまず右に進み、左に曲がるチャンスをうかがうわけである。

曲がり角を見つけて左に曲がる。またつきあたり、右に曲がる。なんだかおもしろい。

そのうち阪急の線路らしい高架が見えてきた。どうやらこの高架を河原町方向に進めば高槻市に着けそうだ。歩く。

歩いて歩いて、なんとか高槻市駅の入り口に着いた。時間がかかったみたいだが、ほんの10分程度のようだった。ひとまずいい散歩になったなあと思っておく。

高槻市〜南茨木

去年の7月の周遊きっぷ旅行「70.明石海峡大橋を渡る・インターチェンジは大混雑(1998年7月)」以来の使用となるレインボーカードをひさしぶりに取り出し、自動改札を通った。

そして梅田方面ホームに行く。

南茨木は各駅停車しか停まらないので、急行を1本やりすごして各駅停車を待った。やってきた各駅停車はもちろんお客がそんなに乗っていなかった。乗ってしばらく休むうちに住宅地を電車は進んでいく。

そして住宅街がとぎれたころ、電車は南茨木に到着した。降りる。

さあ、がんばってモノレールで阪大病院前に行こうと思い、ぼくはレインボーカードを自動改札に通してモノレールの駅に進み始めた。

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大阪高速鉄道

南茨木駅

3年前「65.最後の往復割引航空券(1996年5月)」は梅田からやってきたが、今度は反対方向の高槻市から南茨木にやってきた。

勝手知ったる阪急→モノレールの歩道橋を通り、モノレールの駅に進んだ。

あの時と同じようにきっぷを買い、同じようにエスカレーターを昇ってホームに出た。
違うのはきっぷが千里中央行きではなく、阪大病院前行きということである。

南茨木〜万博記念公園

しばらく待つと門真市からモノレールがやってきた。お客はそれほど多いわけではない。
もしかしたら京都方面から来る空港客は、各駅停車しか停まらない南茨木では乗り換えず、特急で十三(じゅうそう)に行き、乗り換えて蛍池に行ってモノレールに乗るのかもしれない。

…と書いたが、やっぱり京都からはバスが便利なのだろう。

乗ってすわるとモノレールは発車した。

ゆっくりしたスピードで進んでいく。

また高速道路が軌道に寄り添った。
そして太陽の塔が右手に見えてきた。今回はここで降りなければならない。

芸術

と、太陽の塔の手前から別の軌道が近づいてくるのが見えた。あれが阪大病院前行きの軌道なのだろうと気がついた。そしてモノレールは万博記念公園に到着。ここで降りた。

万博記念公園駅

この駅はホームが2つあり、門真市〜大阪空港を結ぶモノレールが停車する軌道は2つのホームの外側にあり、2つのホームにはさまれた軌道は万博記念公園〜阪大病院前を結ぶモノレールが停車する軌道らしい。どうやら門真市行きホームからも、大阪空港行きホームからも階段の昇りおりなしに阪大病院前行きに乗り換えられるような構造のようである。このような駅は他に営団地下鉄丸ノ内線の中野坂上駅、山陽電鉄の飾磨(しかま)駅、大阪環状線の西九条駅がある。

さて阪大病院前行きの発車時刻はと思って案内板を見ると、どうやら阪大病院前行きは約30分に1本のようだ。ちょっと待つ必要がある。いすにすわってぼ〜っと待った。

そのうち中央の軌道に車両がやってきた。停車すると、まずむこうがわのドアが開き、つづいてこちらのドアが開く。いっぺんには開けられないのだろう。

むこうのホームからも、こちらのホームからも客が乗り込むが、なにしろ路線が路線だけにお客が少ない。ほんとうに軌道を延ばした意味があるのだろうかと思った。

そのうち発車時刻になった。

「2番線から阪大病院前行きが発車します」
「3番線から阪大病院前行きが発車します」

両方のホームから同時にアナウンスが聞こえた。確かにこっちのホームにとってこのモノレールは2番線だし、むこうのホームにとっては3番線だから、これでいいのかもしれないが、なんとなく無駄なような気がした。またドアが片方ずつ閉まり、モノレールは発車した。

万博記念公園〜阪大病院前

しばらく太陽の塔をながめていた。モノレールが進むうちに、太陽の塔が横向きに見えるようになった。そして駅に停車。また発車だ。進むうちに、なんと太陽の塔が後ろ向きに見えるようになったではないか。

すなわち、万博記念公園から阪大病院前までの路線は、太陽の塔をぐるっと迂回する形で作られているのである。だからもし太陽の塔を撤去したらまっすぐ軌道が延ばせるにちがいない。

よほど太陽の塔を大切に守っていこうとしているのだろうということがわかった。

太陽の塔の裏側がモノレールの真後ろに来て、さらにモノレールが進むとほどなく終点の阪大病院前に到着した。まずは降りなければならない。

阪大病院前駅

すぐ折り返す列車に乗るのもなんだから、駅前をぶらつくことにした。

駅前にはローソンがあった。現在岡崎駅前のローソンで買った飲み物がまだ残っているが、この際だからもうちょっと買い足すことにした。

関西のローソンに来たら確認しておきたいものがあった。ロッピーと呼ぶ多機能端末で関西のみのサービスである「お気楽トンボ」と呼ばれる当日のホテル予約システムである。

まずはどのくらいのホテルが用意されているか見てみることにした。

なるほど、多少は安い値段だ。ぼくはいつもホテルは電話予約して泊まっているので、いつかは使ってみたいな、と考えた。

阪大病院前〜万博記念公園

そろそろ発車時刻が近づいたので駅に戻り、きっぷを買って自動改札を通り、モノレールに乗った。お客はあいかわらず1車両に数人しか乗っていない。

またモノレールは万博記念公園に向けて発車した。

ふたたび太陽の塔の裏側が見えてきて、側面が見え、ぐるっとまわってふたたび正面に戻り、万博記念公園に戻ってきた。ここで降りて大阪空港行きに乗り換えだ。今度はさっきほど待つこともなく大阪空港行きがやってきた。乗ってすわる。

万博記念公園〜山田

太陽の塔が見えなくなり、高速道路に沿ってモノレールは進んでいき、山田に着いた。

モノレールを降り、エスカレーターをおり、きっぷを自動改札に通して改札を出た。

さて、もう阪急は完乗しているから、ここから梅田まで乗ることもないだろう。

どこか適当なJRに近い駅で降りてJRに行けば良い、とそう思った。

地図を見た限りでは吹田(すいた)が近そうなので吹田に行こうと思い、ぼくは阪急の山田駅をめざして進み始めた。この前と違い天気も良い。

さっき使ったレインボーカードをもう一度取り出し、阪急へと進んだ。

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阪急電鉄・千里線

山田〜吹田

ぼくは大阪のモノレールの山田駅から阪急の山田駅まで歩いてきた。自動改札にレインボーカードを通した。

淡路方面のホームに行き、やってきた電車に乗った。

車内を見回すと、振り袖を着ている女性がたくさんいる。スーツ姿の男性もいた。
ああそうか、今日は成人式か、と気がついた。

学生たち

10数年前の自分の成人式を思い出そうかと思ったが、たいした思い出はない。
実家に戻って成人式に出る人もいたようだが、ぼくはめんどうだし、それに中学時代の同級生にはなるべく会いたくないので大学のある所の成人式に出たっけなあと思い出した。

そんなわけでわいわいとにぎやかな車内の中、ぼくは吹田駅へと向かった。
吹田に到着すると振り袖の女性、スーツの男性たちが一斉に降りた。

阪急〜JR

このあたりに成人式の会場があるのだろう。ぼくも彼らに混じってレインボーカードを通して改札を出た。

ぼくが行かなければならないのはJRの吹田駅である。成人式組は西の方に進んだが、JRは南にあるようなので南に進んだ。

てくてく進むとJRの線路が阪急の線路をまたぎ越しているのが見えた。たぶんJRの駅は東にあるんだろうと思い、JR線に平行して走る道路を東に進むことにした。

しばらく進むとなんとかJR吹田駅に到着した。吹田は快速が停車しないので、新大阪まで各駅停車で行って、そこから姫路行きに乗り換えようと思い、青春18きっぷを取り出して有人改札に近づいていった。

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山陽本線その1

吹田〜新大阪

JRの吹田(すいた)駅で青春18きっぷを見せて改札に入った。
ここから次の目的地は今度開通した井原(いばら)鉄道の総社(そうじゃ)駅だが、そのためには吹田から新大阪、姫路、そして岡山のあたりの駅で乗り換えなければならない。
がんばって進もうと思った。

まずは新大阪だ。姫路に行くにはどう考えても新快速に乗るのが速そうだが、吹田には新快速は停車しないので一番近い新快速の停車駅、新大阪で乗り換えるのである。

まずは新大阪方面の各駅停車だ。阪急の電車は成人式の客のため混雑していたが、JRは成人式とは無縁らしく、すいていた。このあたりの電車は新快速は混雑していて各駅停車はそれほどでもないのだろう。

各駅停車は発車する。さきほど通った阪急千里線との立体交差を渡り、都会の景色の中を進んでいく。
そして新幹線の高架が近づいて、電車のスピードが落ち、新大阪到着である。
まずは向かいのホームで新快速を待つ。しばらく待つと新快速がやってきた。乗る。さすがに青春18きっぷのシーズンの新快速は混雑している。

新大阪〜姫路

しばらく立っていたが、淀川を渡り、電車が大阪に着くと降りる客がたくさんいたので立った跡にすわることができた。すわれれば姫路までは眠ることができる。今日もムーンライトながらでの疲れを取るため眠った。

目が覚めるともうすぐ姫路であった。旅行は3泊3日の長丁場なので、ここで少しでも眠れたことが大きいのである。
新快速は姫路に到着した。ここで降りる。三原行きの電車に乗り換えである。

ムーンライトながらから直接西に向かう時は姫路ではまだ午前11時で、岡山でお昼を迎えるのが普通だったが、今日はモノレールの阪大病院に寄っているので2時間ほど行程が遅くなっており、もう午後1時である。よし、駅弁でも買おうと思った。

ぼくが買ったのは焼肉弁当である。まずはこれで夜までもつだろう。
駅弁はもちろん電車の中で食べよう。

姫路〜中庄

やってきた三原行きもいつもの東海道線でよく走っているだいだい色の電車ではなく、うすい緑色の電車だった。そして中はロングシートで、まるで東京でよく走っている電車みたいな電車だった。さあ、たとえロングシートでも駅弁はがんばって食べようと思い、駅弁を広げて食べた。食べているうちに電車が発車する。今日も大混雑だ。だけどロングシートの分だけ混雑が緩和されているようだ。

駅弁を食べ終わるとまた眠った。なにしろ姫路から岡山までは1時間半かかるのである。

無事岡山の手前で目覚めることができた。30分くらい眠れただろうか。

さて、どこで乗り換えるか。

ぼくが目指すのは井原鉄道の総社駅で伯備(はくび)線で行けばいいのだが、伯備線は岡山〜倉敷間は山陽本線を通るし、今ぼくが乗っている電車は三原行きなので倉敷を経由する。

だから岡山で乗り換えなくても、岡山〜倉敷間のどこの駅で乗り換えても良い。

おそらく岡山や倉敷だと伯備線には階段の上り下りをしないと乗り換えられないが、途中の駅なら階段を使わなくても乗り換えられそうだと思い、ぼくは中庄(なかしょう)で乗り換えることにした。

電車は岡山に到着した。かなりの人数が降りた。乗って来る人もいるがそれほどでもなく、若干車内はすいた。

そしてまた発車。電車は岡山の市街地を離れていき、田畑がちょっと見える場所に進んでいく。

数駅過ぎて、電車は中庄駅に到着した。ここで降りる。

電車が三原に向けて去っていく。ちゃんと伯備線の電車は来るかなあと思いながら、ぼくはホームで電車を待った。

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井原鉄道

中庄〜総社

山陽本線の岡山と倉敷の間にある中庄(なかしょう)という駅でぼくは伯備(はくび)線の列車を待った。
山陽本線の列車から伯備線の列車に乗り換えるのに、岡山でも倉敷でも階段を昇っておりて乗り換える必要があるが、途中の駅なら階段を使わなくても乗り換えられるだろうと思ったからである。

思ったとおり中庄駅はホームが上り下り共用の1個しかなく、階段を使わなくても乗り換えられそうだ。

伯備線の電車がやってきた。到着し、ドアが開いた。予想通りすわれないが、どうせこの電車は総社までしか乗らないのだし、まあいいかとこの時は思っていた。

ドアが閉まり、発車し、倉敷に着いた。予想通りこの駅では山陽本線と伯備線のホームが別で、階段ののぼりおりが必要なようだった。さらに電車は進む。

電車は山あいにさしかかり、やがて総社駅に近づいた。ドアの前に進み、降りる準備をして総社駅のホームを見た。

ぎゃあ!すごい混雑だ!

総社駅は時ならぬ混雑であった。

なにしろ、井原鉄道の開業が今月の11日なので、今日は井原鉄道が開業してからはじめての休日なのである。そんなわけでものすごい混雑であった。

こんなことならきちんと岡山で乗り換えて、階段をのぼりおりしても総社まできちんとすわって来た方が良かったかもしれない。

総社駅

しかたなく電車を降りた。

まずは階段を昇り、青春18きっぷを見せてJRの改札を出た。
予想通りずらっとお客がたくさんいた。

他のいろいろな第三セクターの駅と同様に、ここ総社駅でもJRの改札と井原鉄道の改札は別にあり、窓口も別にあった。その窓口はお客がいて、何やら時間のかかりそうなことを頼んでいるように見えた。

確か時刻表では何分も待たずに井原鉄道が接続しているはずだから、ぐずぐずしていると間に合わないかもしれないな、と思った。
ひょっとしたらホームでハンディターミナルで発券している車掌さんとかいるかもしれないなと思ったぼくは、無人の改札を通り抜けてホームに行くことにした。

階段をおりると、満員のディーゼル車があり、その前に予想通り車掌さんがいた。車掌さんに「神辺(かんなべ)まで」と言って1070円払い、ひさしぶりのペラペラ補助券を出してもらった。そして列車に乗り込む。デッキは満員なので車内に入るしかない。

総社〜神辺

ボックス席が主体の列車なので、ボックス席の前に立つことになってしまった。なにしろものすごい混雑だ。

とは言ってもさっき伯備線電車から見えた人たちは乗ってこない。どうやらあの人たちは今まで乗ってきていて、これから帰るところらしい。まずは良かった。

さて、発車予定時刻をしばらく過ぎても発車せず、しばらくして発車した。
まずは伯備線と同じレールを倉敷方向に進み、清音(きよね)まで逆に進んでいく。

清音を出ると列車は高架に上がり、大きく大きく右に曲がっていった。川を渡るらしい。
しかし川を渡っても列車は高架から降りる気配がない。
井原鉄道って、ずっと高架の路線らしい。あとでどこかで聞いたところ、一部分地上に降りる区間もあるらしいが、とりあえず今はずっと高架の路線に思えた。

沿線はずっと盆地である。こんな手つかずの盆地が今まで鉄道なしで、今ごろ鉄道をひくとはわけのわからないことである。

お客はほとんど降りず、逆に乗ってくるお客がいる。
すわれないままずっと列車は高架を進む。畑も多いが、けっこう新しそうな公民館みたいな建物も見えた。車通りも多少はあるようだが、大きな道路はないのでそれほどのこともない。

そうこうして、ようやく大混雑の列車は終点神辺に到着した。ほっとした思いでディーゼル車を降りた。

神辺駅

やはり新しい路線というものは、走りはじめは大混雑するものだと実体験した。
もし今後新しい路線ができたとしても、開業から少し時間をおいて乗った方がいいだろうと実感した。

ぜいぜい言いながらなんとかきっぷを渡して改札を出ると、すぐそばにJRの福塩線の神辺駅があった。本来なら今の列車が着くとわずか数分で福山行きの電車に接続するはずであるが、どうも電車が待っている気配がないので、今乗って来た井原鉄道との接続を取らずに行ってしまったのだろう。

しかたなく次の電車を待つことにする。青春18きっぷを見せて改札を通り、福山方面のホームに行った。

それにしても、井原鉄道が大混雑だったにもかかわらず、神辺駅で福山行きを待っている人の数は思ったより少なかった。どうやら見立てどおり、今のディーゼル車には井原鉄道沿線の人ばかり乗っていて、またディーゼル車で沿線に帰っていったのだろうと考えた。

神辺〜福山

しばらく待つと福山行き電車がやってきた。乗って進む。
さすがに井原鉄道ほど混雑はしておらずすわれたが、それでも多少混雑している。

電車はいなかの風景から都会の風景へと移り変わり、福山駅へと到着した。
今日はこれから瀬野駅から出ているというスカイレールという珍しい交通機関に乗ろうと思っている。だから広島方面の電車に乗り換えることにした。快速で、瀬野駅には停車しないので途中の白市(しらいち)駅で乗り換える必要がある。とりあえず福塩線の電車を降りて階段を昇っておりて山陽本線の快速電車のホームへとやってきた。

しかし、今度の電車も混雑している。井原鉄道ほどではないが、すわれなさそうだ。

白市まで立つ必要がありそうだなと思いながら、ぼくは電車に乗り込んだ。

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スカイレール

福山〜白市

福山で福塩(ふくえん)線から山陽本線の快速になんとか乗り換えたが、当然のようにすわれない。つい数十分前までぼくが乗っていた井原鉄道から乗り換えてきたお客もたくさんこの電車に乗っているようである。

そんな中、ぼくは何がきっかけだったか忘れてしまったが、1人の老年男性とおしゃべりを始めてしまった。

この人は名古屋からぼくと同じように青春18きっぷで遠くからやってきて、井原鉄道にも乗ってきたという話だった。
そしてそこから先も成人の日の3連休を利用して旅行を続ける予定だと言う。

ぼくはこれからスカイレールに乗るつもりだと言うと、自分も乗ろうと言ってきた。
さらに、ぼくは今日は岩国のホテルに宿を予約していると言うと、自分も同じ宿に泊まろうと言ってきた。

なんだかよくわからない話になってきたが、まあいいかと思い、鉄道のいろいろな話をして過ごした。
井原鉄道の1日乗車券も見せてもらった。普通に総社から神辺(かんなべ)まできっぷを買うより数十円安いらしい。ぼくはまた損してしまったようだ。電車は三原を出て呉線と分かれ、急勾配を登っていった。

白市〜瀬野

そして電車は白市(しらいち)に着いた。今乗っている快速は、スカイレールが出ている瀬野(せの)駅は通過なので、白市始発の各駅停車に乗り換える必要がある。ぼくと男性は2人して乗り換えた。
こっちの電車はすいているのですわれた。

そして電車は発車し、瀬野に着いた。電車を降りる。もうすっかり暗くなっていた。

まずはホームにあった公衆電話で岩国の「岩国ビジネスホテル」に、だいたいの到着時刻を告げた。
それが済むと男性と電話を交代した。ふつう祝日はビジネスホテルは空いているものだが、今日もそうらしく、ホテルは空室があったらしい。めでたくその男性は予約ができたわけである。

そして2人で青春18きっぷを見せて改札を出た。さてスカイレールの改札はどこだろう。

スカイレール

案ずることはなく、改札の左の方にそれらしい場所があった。
案内人らしき男性がいて、歓迎しているようであった。とは言ってもぼくたちの他にはお客はいないようだった。とりあえず自動券売機できっぷを買って案内を待った。

スカイレールの車両がやってきたようだ。ぼくたち2人は案内に従い進むと、それはほとんどロープウェイみたいな車両だった。これでも間に合うくらいの人数しかお客がいないということなのだろう。

なんともいごこちの悪いまま2人で席にすわると、あとから女性がやってきた。どうやらぼくたちみたいな鉄道ファンではなく、地元客らしい。

どうやらこの3人だけのお客のようで、ベルが鳴ってドアが閉まり、車両が動き出した。
まるでロープウェイのように登っていく。

しばらく景色を見てみる。ここ瀬野は山に囲まれた地形なので、山が四方に見えている。
しばらくすると、瀬野駅のあかりが下の方に見えてきた。昼間来たら景色がいいのかもしれない。

車両は途中の駅で停車した。女性が降りていく。どうやらこの駅が山の斜面を利用して造成されたニュータウンの中央らしい。ドアが閉まり、車両はさらに登りだした。

ぼくと老年の男性は、車両のあちこちから暗い中目をこらして景色をながめた。南の方の山がうっすらと見える。だいぶ山を登っているようである。

みどり中央

そして終点、みどり中央駅に着いた。ぼくたちは開いたドアから外に出た。

そこは造成がまるで進んでいない場所であった。少なくとも家並みだったらさっきの女性が降りた駅の方がずっと進んでいるみたいだった。まだまだ造成途中のニュータウンといった場所なのであろう。

自動券売機を見つけてきっぷを買い、2人でまた同じ車両に戻った。
そして下っていく。今度はほかに誰も客はいない。

暗い景色の中、瀬野駅のあかりがだんだん近づいてくるのがたのもしく思えた。

そしてまた瀬野駅にやってきた。正確には「みどり口」という名前がスカイレールの駅名である。

案内人が出迎えていた。ぼくたちが遠くからやってきたと言うと、案内人はとても喜んでいたようである。ぼくたちはスカイレールのパンフレットをもらって案内人と別れた。

さて、あとはホテルに行くだけである。ぼくと老年の男性は青春18きっぷを用意して瀬野駅の改札に近づいた。

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