一般周遊券が廃止されるというニュースがとびこんできました。
それは予想通りだったのですが、ワイド・ミニ周遊券もいっしょに廃止されるということで、これは予想外でした。
最後の一般周遊券旅行に行こうと思いました。冬なので九州に行こうと思いました。
ほんとうは往復航空機のニューワイド周遊券にしようかとも思ったのですが、とある所で航空券25パーセント引きの券を手に入れていたのでそれを使うことにしました。それならば、福岡発福岡着の一般周遊券を作った方がしゃれていていいなあと思ったわけです。
そう考えると、にちりんとか、つばめとかに乗って宮崎や鹿児島に行く旅行はあまり一般周遊券向きではありません。
九州ワイド周遊券のかわりになるものはできそうなので、それを使って後で行けばいいです。
どちらかというと長崎が良さそうです。長崎の近辺には、いろいろ乗っていない路線がたくさんあるので、なんとかそれに乗ってしまおうと思いました。その結果、以下のような一般周遊券を作ることにしました。
姪浜→西唐津→久保田→有田→たびら平戸口→佐世保→諫早→島原外港(フェリー)三角→熊本(バス)山鹿温泉(バス)瀬高→二日市(バス)太宰府→西鉄福岡
一般周遊券の条件を検証します。
(1)JRには、姪浜→西唐津、西唐津→有田、佐世保→諫早、三角→熊本、瀬高→二日市とこまぎれに乗っていて、1つ1つは201kmを超えている区間は1つもありません。しかし合算して201kmになるのでこの条件はOKです。
(2)経路はすべてまちがいなく連続しています。
(3)実は厳密には出発地に戻ってきていません。出発地は筑肥(ちくひ)線の姪浜、終着地は西日本鉄道の西鉄福岡駅です。しかし、特例で、同一市内ならだいじょうぶというルールがあり、姪浜も西鉄福岡も福岡市にあるのでこれもOKです。
(4)JRの他の区間ですが、有田→たびら平戸口、たびら平戸口→佐世保、諫早→島原外港、島原外港(フェリー)三角、熊本(バス)山鹿温泉、山鹿温泉(バス)瀬高、二日市(バス)太宰府、太宰府→西鉄福岡、これらすべて指定地接続線ですのでこれもOKです(なお、JR以外の駅で出発地、終着地にできるのは経由社線と指定地接続線の両端の駅だけです)。
(5)今回の一般周遊券には、実は1か所だけで一般周遊券を作れる場所、島原外港が含まれています。
ですので条件は満たしているのですが、他にも西唐津、たびら平戸口、山鹿温泉など、あわせて4か所も通っています。ですので条件は満たしています。
宿泊をどうするか考えましたが、ふつうなら佐世保、長崎、熊本に宿泊するべき所です。
しかし、受験シーズンでもあるので大学のある都市のホテルは学生が使うはずだから、ここは観光地にしようと思いました。ですので今回の宿泊地は平戸の平戸観光ホテル蘭風(らんぷう)、島原の九十九(つくも)ホテル、山鹿温泉の山鹿ホテルにしました。
まずは25パーセント引きの航空券です。東京駅まで行かないと買えないらしいので、青春18きっぷを使って帰省する際についでに東京駅に寄って買いました。
最後の一般周遊券も無事受け取りました。今までの6回と多少形式が違い、周遊乗車券がホチキスでとじられずにばらばらのままで渡されました。
どうやらミシン目入りの券が出せなくなってしまったのが理由のようです。ちょっと悲しいです。実はぼくは、自動改札が使えない券の裏側が磁気対応に黒くなっているのが嫌いなのです。これから青春18きっぷをここで買う時も、裏の白い券ではなく、磁気対応券になってしまうのです。つらいです。
でもせっかくの最後の一般周遊券だから、大切に使おうと思いました。ただし記念に残そうとは思いません。ぼくはきっぷを記念に残すことが嫌いなのです。きっぷは使い終わったら駅員に渡すべきだと信じています。
今回も最後の周遊乗車券はきちんと表紙ごと西鉄福岡の駅員さんに渡しました。
モノレールは無事羽田空港駅に到着した。
この旅行のため2日休暇を取るので、きのうは午前1時まで残業して、眠らずに始発でアパートもより駅を出て羽田空港に来たのである。しかしまだ搭乗手続きは始まっていないようだ。ぼくは出発ロビーから到着ロビーに来てみた。ねらいどおり閑散としていた。
そこでしばらく待つとバス乗り場に行ってみた。最近開通した東京湾アクアラインの木更津(きさらづ)行きバスがどこから出ているか確認しようと思ったからである。去年乗った蒲田からのバスが着いた場所からちょっと離れた場所に乗り場はあった。川崎からは先月乗ったので、横浜や羽田空港からもあとで乗ってみようと思った。もうそろそろ手続きできるだろう。出発ロビーに行ってみよう。
今日は東京駅八重洲口近くにある日本エアシステムの窓口で25%引きの航空券を買っているので、それを使って手続きし、X線検査を通った。そして待合室でぼーっと待つと搭乗である。
今日もレインボーセブンで、窓側の席だ。そして離陸。疲れていた僕はたちまち眠ってしまった。
うーん、何か言わなければならないような気がする。目を覚ましてぼくは言った。「ウーロン茶!」
となりでちょうどお茶のサービスをしていた乗務員が、
「はい。」
とウーロン茶を差し出した。
もし福岡まで目が覚めなかったらウーロン茶1杯損するところだったので、目覚めたのは運が良かったなあと思った。そのうち着陸である。たいして景色も見られなかったが、4日間の長丁場の旅なので初日はこんなもんでいいだろう。
レインボーセブンは無事所定の位置に着き、航空機を出た。
去年は何回も九州に来たが、また来たわけである。今後もっと来ることがあるだろうが、がんばって旅行しようと思い、空港を出て地下鉄の駅に向かった。
25%引きで乗ってしまったレインボーセブンを降りて、また地下鉄に向かった。今日は博多や中洲川端(なかすかわばた)や天神ではなく、姪浜(めいのはま)を越えて唐津(からつ)まで行くのだ。
姪浜からは一般周遊券を持っているので、姪浜までのきっぷを自動券売機で買った。
改札を入る。
ホームには姪浜行きの電車がいた。しかしもう少し待つと唐津行きが出るので、それまで待つことにした。
西唐津まで行ければ楽なのだが、この時間帯は佐賀発の唐津線に乗らないと西唐津には行けないようだ。
やってきた唐津行きに座る。今日もそんなに混雑しているわけではない。
そして発車だ。博多までは多少長い。
博多で多少の降りる人と、それ以上に乗る人がいる。これもいつもの通りである。
多少混雑した状態で天神まで進む。
やっぱり天神でかなり降りる人がいる。しかし天神を過ぎても多少は降りる人がいる。車内はすいてきたが、ものすごくすいている、というわけではない。もうほとんど降りる人はいない。みんな唐津まで行くのかもしれない、と思った。
地下鉄なのでロングシートなのだが、唐津まで直通なので、唐津でさすがにロングシートはないんじゃないかという意見があるかもしれないが、ぼくは座高が高いのでロングシートの方が好みなのだ。箱型4人席だと頭の後ろに後ろの席の人の頭とかあってつらいのである。その点ロングシートだと頭の後ろは窓だから寄りかかることができて楽なのだ。
姪浜が近づくと、不意に光がさしこんできた。地上だ。いきなり地下鉄が高架に上がっている。
ここからJRの筑肥(ちくひ)線が始まるのだ。そして最後の一般周遊券の旅行の始まりでもある。
ぼくは一般周遊券を取り出し、「姪浜→西唐津」の周遊乗車券をじっと見つめた。さあ、4日間の旅行のはじまりだ。
福岡空港からやってきた電車は、姪浜(めいのはま)を過ぎると地上に出た。レインボーセブンの中でぐーぐー寝たとは言え、2日休暇を取るためにきのうは夜中の1時まで残業していたのだ。だから今もとても眠い。
まぶしい光の中、ついに最後の一般周遊券の旅行が始まったんだなあと感慨にふけり、「姪浜→西唐津」の周遊乗車券をながめてみた。きっぷは使われているときこそ美しい。使い終わったら改札に渡す必要がある。記念に残そうなんて思っちゃいけない。
地下鉄線内では博多や天神から乗ってきたお客がかなり降りたが、姪浜を過ぎると全く降りなくなった。どうやら今乗っているお客は唐津までは行きそうだ。けっこうこの路線は博多〜唐津間でかなり良く利用されているんだな、と思った。
そのうちやたらきれいな砂浜が右に見えてきた。
なんでもこのあたりに「虹の松原」という場所があって、めっぽうきれいな砂浜だという話を聞いたことがある。
でもまあ無理に降りることもないだろう。一生のうちで行ける場所は限られているのだから、しぶることもないだろう、そう思った。
あまりお客も降りないまま、電車は唐津に近づいた。
電車は高架をかけ昇っていった。西唐津まで乗り入れていれば楽なのだが、あいにく唐津止まりなのでひとまずディーゼル車に乗り換える必要がある。唐津は高架で地上に改札口がある駅で、かなりのお客がここで降りるようだ。あまり西唐津行きに乗り換える客は多くなかった。
唐津駅で福岡空港からやてきた電車を降りて、階段を下りて昇って西唐津行きのホームに出た。
しばらくすると佐賀からやってきたディーゼル車がやってきた。去年佐賀から山本まで乗った列車と同じような列車である。
ディーゼル車に1駅、西唐津に向かう。高架を降りて到着した。駅員のいる駅である。福岡空港→姪浜のきっぷと姪浜→西唐津の周遊乗車券を渡して改札を出た。
この駅は唐津の市街地の一部ではある。右にコンビニが見えたので行ってみた。
しかし、「都合により店を閉めさせていただきます。長い間ご愛顧ありがとうございました」という張り紙が見えた。なるほど、西唐津は駅前のコンビニがやっていけない場所なのか、そう納得する。九州も車社会なのである。
駅に戻ってさらに進むと雑貨屋があった。コンビニではないので弁当なんか売っているわけもない。パンはあったがあまり買う気もしない。
どうせ今回の旅行は3泊とも夕食・朝食つきなのだから、昼食はこんなもんでもいいだろうと思い、ポテトチップスを買った。
駅に戻るとちょうどいい時刻だ。西唐津→有田の周遊乗車券を見せて佐賀行きに乗り込んだ。
どこにでもあるロングシートと4人がけシートのあるディーゼル車である。発車する。
また高架を昇っていき、唐津に着いた。そして唐津を発車して高架を下りると、とたんに都会から畑が見え、山が見える風景となった。
そのまま去年来た山本駅に到着する。
ポテトチップスを食べながら景色をながめる。山本を発車すると伊万里行きのレールが分かれていく。
いったん左に分岐し、唐津線のレールと立体交差して伊万里の方にレールが向かっていく。
あとは去年見た風景である。初日はこんなもんでいいのだろう。
そのうち乗り換え駅の久保田が近づいたので席を立ち、周遊乗車券を取り出した。車掌がやってきたので見せた。
「あ、そうですね。乗り換えですね。」
と言った。佐賀まで行って乗り換えてもいいはずだが、途中下車できないルールである。
久保田なら途中下車してもよいだろう。
ディーゼル車から長崎本線の架線が見えてきた。そして乗り換え駅にしては閑散としている久保田の駅に到着した。
念のため車掌さんにもう一度西唐津→有田の周遊乗車券を見せてディーゼル車を降りた。
久保田の駅はのほほ〜んとした田舎の無人駅であった。
のほほ〜んとしすぎて、書くことがない。
とにかくしばらく待っていたら、肥前山口行きがやってきたので乗った。
畑の中を進んでいく。肥前山口に着いた。
かなり大きめの駅である。さくらやあかつきはこの駅で分離・併合しているのだ。
この文を書いている2000年現在、夜行列車の分離・併合はないが、昼間の列車は分離・併合しているようで、なによりである。
肥前山口は、大きな駅に似合わぬ田舎の駅である。
しばらくぼ〜っとして過ごした。
肥前山口で電車をしばらく待っていたら、佐世保行きがやってきたので乗った。
長崎本線のレールが分かれていく。どんどん進む。
久保田からの平野の風景とは違い、山の中を進む風景となった。とは言っても、去年乗った有田〜早岐ほど山の中というわけでもない。
同じような景色のまま、武雄温泉(たけおおんせん)を過ぎていく。さらに進む。
高すぎず、低すぎず、山は続く。有田が近づいていく。
そして電車は有田駅に到着した。今日の宿はここから松浦鉄道に乗ったたびら平戸口がもより駅なのでここで降りた。
しかし、伊万里(いまり)行きの松浦鉄道までしばらく時間があるので、いったん駅の外に出ようと、「西唐津→有田」の周遊乗車券を改札に渡して外に出た。