ついに新幹線から食堂車がなくなるというニュースが飛び込んできました。なくなるのは2000年3月だそうです。
ちょうど2000年2月には建国記念日前後で3連休があるので、この日を利用して東海道新幹線に乗ろうと考えました。
さて、どこに行くのがいいでしょう。食堂車がついているのはひかりなので、ひかりが停車しない駅に行っても仕方ありません。
新規開業してまだ乗っていない路線が集中している名古屋近辺が良さそうです。乗っていない路線には、名古屋市営地下鉄名城線の大曽根〜砂田橋間、それから名鉄の新関〜関間があります。
となると周遊きっぷの三河湾・日本ラインゾーンがいいでしょう。
特にこのきっぷは明治村までのバスも含まれていることがあげられます。
明治村と言えば、去年秋に買った恋愛することを目的としたセガサターンのゲーム、「センチメンタルグラフィティ」の「山本るりか」ちゃんが明治村で明治の貴族の衣装を着たっけなあと思い出しました。ぜひ、山本るりかちゃんが来たことのある明治村に行ってみたいと思いました。
名古屋で2泊して、いろいろな交通機関に乗ってから帰りに新幹線に乗ろうと思いました。なにしろ、食堂車のついている新幹線の東京発が午後1時と遅いのは「130.九州完全乗車旅行(1999年2月その1)」の旅で経験済みなのです。
時間が限られているので行きは夜行にしようと思いました。大垣行き夜行よりは夜行バスの方がいいでしょう。
そんなわけで名古屋の宿、夜行バス指定席券、周遊きっぷを申し込みました。帰りが新幹線なのでかえり券の割引率が5%になってしまうのは仕方有りません。
無事申し込めたと思いましたが、新幹線の自由席券を見ると豊橋→東京になっていました。どこかで名古屋→東京に変更してもらわないといけません。
まあどこでもできるかと思い、出発日の夜が来て、八重洲のバスセンターに向かったのです。
有楽町線の電車は、無事有楽町駅に到着した。ここで降りる。
今日は東京駅から名古屋駅まで夜行バスのドリーム号に乗るのだが、ぼくのアパートもより駅からは東京駅に行くより有楽町駅に行く方が30円安いのだ。そしてバスの出る八重洲のバスターミナルは有楽町駅からけっこう近い。だから有楽町駅から歩いて行くことにする。
地下鉄の駅を出ると東京国際フォーラムがある。そこを通り抜けると京葉線の入口に出る。そこから地上に出て北に進む。
無事八重洲のターミナルまでやってきた。
あとは発車時刻まで待つ。けっこう近距離の客が多く、夜行の客はそれほどでもない。近距離のバスにどんどん客が乗り込んで発車していく。3年前に乗った京都行きが発車して、だんだん客が少なくなったころ、いよいよ名古屋行きのバスが案内される。
京都行きと同じく2階だてのバスだが、今日の席は1階席だ。天井が低いことがわかっているので荷物は預けることにした。そして発車。
名古屋行きは発車時刻が遅いので、すぐに消灯となり、しばらく進んで高速に上がる。そしてしばらくすると軽快に進んでいく。
さすがに旅行初日なのでそれほど眠くない。それでもなんとか眠ろうとする。しかしJRのバスはそれ以外のバスと違ってこまめに休憩がある。もっともトイレに起きる人はほとんどいない。
多少は眠れたようである。2月なので、明るくなる前に名古屋駅に到着した。ますは降りて荷物を受け取る。
ここはおととし新幹線に乗る前にためしに寄っている名古屋駅のJRバスターミナルである。テルミナのあるビルの下にある。これから乗る名鉄の新名古屋駅までは多少歩く必要がある。
ぼくはターミナルをぐるっと見渡してみた。すると便利なものを見つけた。なんと今日泊まる予定のホテルキャッスルナゴヤまで、ここから無料バスが出ているのである。
これで今日はこのバスに間に合うようにすれば自動的に宿まで運ばれることが確定した。まずはめでたいと思いながら、ぼくは新名古屋駅までいつもの道を歩いていった。
東京駅から乗ってきた夜行バス、ドリームなごや号を降りて、バスターミナルから名鉄の新名古屋駅に向かった。
5年前に雛形あきこちゃんと握手したテルミナの下を通り、地下におりて進む。何度も通った道なので迷うこともなく新名古屋駅に着いた。
きょうは周遊きっぷの三河湾・日本ラインゾーンを持っているのできっぷを買う必要はない。ぼくはゾーン券を取り出した。しかし名鉄は自動改札である。通れるのかな?
「すいません、これなんですが、自動改札通れますか?」
「うーん、わかりません。ためしに通してみてください。」
通してみたが、キンコンキンコン音がして扉が閉まったままである。とりあえず駅員に見せて有人改札を通してもらった。そしてホームに向かう。
これから向かう場所は河和(こうわ)である。河和から船に乗って伊良湖岬(いらごみさき)に向かうのである。船も三河湾・日本ラインゾーンに含まれているのでゾーン券を見せれば船に乗れるのである。
以前はNATT(名古屋の時刻表)を見て名鉄の電車の時刻を確認していたのだが、最近はもうNATTが売っていないので時刻が確認できない。とりあえず河和に行く電車に乗ろうと思う。
さて次の電車は・・・ありゃ、全席ミューチケットが必要な電車だ。
ミューチケットは確か300円くらいだったから、たいした追加じゃないんだけど、やっぱりいらない電車に乗りたい。電車を見送る。
しかし次の河和行きも全席ミューチケットが必要な電車のようで、その前に内海(うつみ)行きの電車がある。これに乗ってみようか。
内海行きだと河和に行くには途中の富貴(ふき)で降りて乗り換えだからめんどうだけどまあいいかと思った。内海行きに乗る。朝早いので客はほとんどいない。出発である。
電車は地下から地上に出て、名古屋の中心部を東に進んでいく。金山を過ぎる。名鉄とJRの乗り換えは名古屋より金山の方が便利だから、午後に乗り換えるときは金山で乗り換えよう。
神宮前を過ぎ、いよいよ河和に向けて名古屋本線から分岐していく。だんだん中心部を離れ、家並みが少なくなっていく。
以前内海に行った時は名古屋までぐうぐう寝ていたし、河和に行ったときは武豊(たけとよ)までJRに乗って歩いて知多武豊まで行って河和に行ったから、このあたりの景色は全然見ていない。きょうは夜行明けだがバスではけっこう眠れたからしっかり景色を見ておこう。
家並みはどんどん少なくなり、空き地が目立つようになる。でも農作物をたくさん作っているという雰囲気ではない。やっぱり2月だからかな。
そんな景色がずっと続いた。名古屋の人は東京と違ってものすごく遠くから通勤する人は少なく、ある程度離れるともう名古屋通勤圏ではなくなるのだろう。それとも道路がそれほど混雑しないから自家用車で通勤する人が多いのかな。
ずっと客が少ないまま電車は知多武豊を過ぎ、富貴に到着した。ここで降りる。電車が内海に発車していく。
さて河和行きの電車は?すぐにやってくるようだ。
河和の方から電車がやってきた。それが河和行きに変わるようだ。けっこう短い編成である。客は今度も少ない。河和行きに乗る。
河和には4年前に行ったことがあるのでそれほど景色を見ておく必要はないのだが、眠くないので見ておこう。電車は出発する。
ずっと似たような景色がしばらく続き、そのまま終点河和である。電車を降りる。自動改札が使えないことがわかっているので有人改札にゾーン券を見せて通る。改札前には4年前にも見た売店が見える。
さて、このあたりの港は、河和からバスに乗った師崎(もろさき)からも船が出ているが、今度の船は河和の近くの港らしい。
いったいこの駅の近くのどこに港があるのだろうかと、ぼくは海岸らしい方向に向けて歩き出した。
名鉄の河和(こうわ)駅の改札を出る。時刻表の周遊きっぷの三河湾・日本ラインゾーンの説明が正しければこの近くに港があるはずである。歩いてみた。
案ずることなく港が見つかった。伊良湖岬行きの船が出ているようだ。三重県の鳥羽から伊良湖岬までの船なら5年前に乗っているが、その船より若干小さな船のようだ。
本当に乗れるか半信半疑で改札に三河湾・日本ラインのゾーン券を見せたら、はいどうぞと言われて船に通された。やっぱりこのゾーンは乗れる交通機関が多くてお得なゾーンのようだ。
祝日ではあるが、こんな朝早くに船に乗る人がそんなにいるわけはなく、わずかな客を乗せて船は出発した。天気も良く、快適な船旅である。
おだやかな海を見ながら進んでいく。船がゾーンに含まれているのは本当にお得である。
この航路は島々に停泊しながら伊良湖岬へと進んでいく。島々で乗り降りする客もいるようだ。
島々の港に寄港していく。知多半島と渥美半島にはさまれたそれらの島々は、とても自然が豊かそうな島々で、できれば寄っていきたいが、さすがに3日間の旅ではちょっと寄れない。
あとで島の1つの中にある宿のことを雑誌で見て、やっぱり寄ればよかったかなあとも思ったが、さすがに島に2泊するわけにもいかず、島に1泊・名古屋に1泊だと疲れそうなので、やはり名古屋に2泊は必然なのである。
そんな天気の良い中を船は進み、ようやく伊良湖岬が近づいた。そして到着。
5年前に到着した場所とは若干違うようだが、見覚えのある建物もあるし、まずは無事スケジュール通りに進めるようでめでたい。
ぼくは豊橋行きのバスが発車するまでの間に岬のまわりの景色をながめることにした。
河和(こうわ)の港から乗ってきたフェリーを伊良湖岬(いらごみさき)で降りた。5年ぶりの伊良湖岬である。
5年前は10月、今は2月であるが、2月にもかかわらずこのあたりは温暖そうな土地であった。
バスまで多少時間があるのであたりを歩いてみた。港とバス停のほか、観光施設っぽい建物があり、何か展示しているようである。まあ岬だからいろいろあるのだろう。とは言ってもまわりの海のながめこそが一番の観光だろう。
さて、バスがやってきた。5年前と同じくバスを今度も田原萱町(たはらかやまち)で降りて豊橋鉄道の三河田原まで歩けばいいだろう。乗って進む。お客は10人以上乗っている。ぼくと同じフェリーに乗った人も多そうだが周遊きっぷを使っている人は少なそうだ。
しばらくの間は、2月でも菜の花が咲いている場所を進んでいく。いい場所である。
そのうち渥美半島の北側に出たようで、海が見え、その向こうに陸地が見える。おだやかな土地である。客は多いままである。かなりの人が豊橋まで乗ると思うが、けっこう乗り降りがある。住民の足にもなっているようである。
前方のバスの運賃表を見ていた。5年前は確か伊良湖岬から田原萱町まで約1000円かかった。だから運賃表が1000円に近づいたらもうすぐ田原萱町だろう。もっともきょうは三河湾・日本ラインゾーンのゾーン券を見せるだけでいいので気楽である。
そして運賃が1000円を超え、次が田原萱町になった。ぼくはゾーン券を取り出して降りる準備をした。見覚えのある風景だ。そして田原萱町に到着。運転手にゾーン券を見せてバスを降りた。
道を渡り、右に進む。脇道を進んでいるうちに、今降りたバスがぼくを追い抜いていった。あれ?豊橋行きのバスって三河田原駅には寄らないんじゃなかったっけ?
進んで5年ぶりの三河田原駅に着くとさっき降りたバスが停車していた。5年前はここには寄らないで豊橋の方に走っていったが、今はもう駅に寄るようになっていたようだ。時代は刻々と変わっているんだなあ。
さあ、ひさしぶりの電車だ。ぼくは三河田原の駅に入っていった。
伊良湖岬(いらごみさき)から乗ってきたバスを田原萱町(たはらかやまち)で降り、豊橋鉄道の三河田原駅まで歩いてきた。5年ぶりである。きょうは三河湾・日本ラインゾーンの周遊きっぷがあるのできっぷを買う必要はない。
ゾーン券を見せて改札を通り、電車に乗る。5年前はものすごく古い電車が走っていたが、きょうの電車はそれほど古くない。でも新車というわけでもなさそうだ。
そう言えば鉄道の本に、豊橋鉄道は「昇圧」を行い電車を換えたと書いてあったような気がする。おそらく「昇圧」したときにものすごく古い電車は使わなくなったけど、相変わらず東京都内かどこかの電車を購入して使っているのだろう、だから「昇圧」後も新車じゃないのだろう。
客の数は5年前と変わらず、3連休なのに少ないまま電車は三河田原駅を発車する。景色も5年前と変わらず、渥美半島の北の海が見える。のんびりした景色が続く。
そのうち客が増えてくる。やはり豊橋は大都市なのだ。そして電車は終点、新豊橋に到着した。ゾーン券を見せて改札を通る。5年前とは多少景色が違うようだ。JRの豊橋駅も橋上の駅になったし、豊橋鉄道も変わったのだろう。
これからの予定だが、4年前に乗った市電に乗ろうと思う。市電の終点に8番らーめんというラーメン屋があり、富山駅前にもあったからちょっとしたチェーン店のようだ。
けっこううまかったからまた行ってみることにしたのである。4年前と比較すると市電の豊橋駅前駅が多少移設されたということもある。さあ、新しい市電の駅を探そう。
三河田原から乗ってきた、5年前より多少新しくなっている電車を新豊橋で降りて、通路を進んだ。そして5年前にはなかったペデストリアンデッキに上がる。
市電の方にも4年前に乗ってはいるが、あの時は豊橋駅前の停留所は駅前広場から大通りを若干進んだところだった。しかし今は数十メートル線路が延びて、駅前広場の中、ペデストリアンデッキの下にある。
ペデストリアンデッキから市電乗り場に通じる階段をおりる。ずっと前からあるように停留所があったのでしばらく待つ。市電がやってきた。
4年前は赤岩口行きに乗って、線路沿いに運動公園前まで歩いた。今度は運動公園前行きに乗って駅前の8番らーめんで食事しよう。
市電に乗る。さすがに人口の多いところを通るだけあってすわれない。電車は発車する。
4年前に豊橋駅前の停留所のあった場所を通る。安全地帯があった痕跡は全く残っていない。そのまま通り過ぎる。商店の建ち並ぶ大通りを電車は進んでいく。
停留所ごとにお客が降りていき、すわれるようになった。だんだん商店がまばらになっていく。
そして終点の直前らしき場所で運転手が交替した。女性の運転手さんになった。そしてまた発車。しばらくして直進すれば赤岩口行きに行く曲がり角に来た。右に曲がる。そしてまっすぐ進むと終点、運動公園前だ。すっかり客は少なくなっていた。運賃を払って電車を降りる。
駅前には4年前に来た8番らーめんがつぶれずにそのままあった。さあ、食事だ。
4年前にも見たチャーハン用中華なべ回転装置もちゃんとある。これで作ったチャーハンを食べたい。注文しよう。
チャーハンがやってきた。さすがにうまい。中華なべ回転装置で作っただけあって、ごはんにむらがないのである。またこの店、もしくは富山駅前などに行くことがあったらチャーハンを注文しよう。
さて、赤岩口に向かう。4年前は赤岩口から運動公園前まで市電に沿って歩いてきた。ちょうど長方形の2辺を進むかっこうだ。
だから今年は市電に沿わないほうの2辺を進もうと思う。さあ、市電と垂直に進もう。
東に向かう。住宅地である。住宅「街」と言うほど住宅は密集していないようである。空き地と住宅が見える景色を進む。
もうそろそろ北に曲がってもいいだろう。左に曲がり、細い道を進んでいく。
なんとか赤岩口の通りに着いたようだ。多少赤岩口より西に着いたみたいである。東の方に終点の停留所が見える。無事到着。豊橋駅前行きを待つ。
やってきた。今度も客は少ない。電車に乗ってすわって待つ。発車する。
さっき運転手が交替した場所で今度も交替だ。ここに詰め所があるのだろう。
あとはどんどん客が乗っていき、無事豊橋駅前に到着した。3日間の旅行の1日目の半分が終わったことになる。さあ、市電を降りてJRに乗り換えだ。
赤岩口から乗ってきた豊橋の市電を豊橋駅前で降りた。4年前の市電の駅から西に十メートル移動しているが、なんとなく移動しなくてもいいような気がする。まあいろいろあるのだろう。さあ、JRの豊橋駅に向かおう。
通路を進んでJRの豊橋駅の改札にやってきた。名鉄の自動改札は使えなかったゾーン券だが、JRの自動改札は使えるのだろうか?
ためしに自動改札にゾーン券を通してみたら無事通れた。JRはOKのようだ。
そう言えば豊橋から新快速に乗るのは初めてじゃないだろうか。
3年前の正月に京都に向かった際は浜松から米原まで乗ったし・・・と思ったら、5年前に菅野美穂ちゃんと握手した時に豊橋から岡崎まで乗っていたんだった。これがあったか。
ムーンライトながらから降りて早朝に移動する時より、このあたりの東海道本線はのんびりしているような気がする。新快速に乗って西へと進んでいく。ふだんは名古屋近郊で乗って東京に向かう電車だが、今回はまだ旅行初日である。愛知県のなだらかな山々の続く景色を見ながら進んでいく。
さて、今日の次の目的地は名鉄の関である。なんでも5年前に新岐阜から美濃まで乗った名鉄の路線だが、美濃から新関までが廃止され、そのかわりに長良川鉄道の関から新関までが新たにレールが引かれたということである。すなわち新設路線ということだ。これは乗る必要がある。
三河湾・日本ラインゾーンでは新岐阜から関までの名鉄には乗れないが、長良川鉄道はなんと北濃(ほくのう)まで乗ることができるので有効に使える。
だからまっすぐ美濃太田に向かっても良いのだが、今回一度通ってみたい場所がある。それは名鉄の犬山遊園〜新鵜沼(しんうぬま)の区間である。
この区間を以前通った4、5年前は、木曽川を渡る橋の区間が電車と道路の併用橋だったが、そのうち新しく橋ができて電車と道路が別々になるという話だからである。
だからどこかで名鉄に乗り換えて犬山に向かい、新鵜沼まで行って高山本線に乗り換えればいい。
そして乗換駅だが、名古屋から新名古屋までは歩いて10分くらいかかる。
でも金山駅ならすぐとなりのホームである。だから名古屋でなく金山で降りることにしよう。
新快速は無事金山駅に到着した。ここで客をかきわけ電車を降りる。そしてゾーン券を自動改札に通して通る。
金山の名鉄の改札はすぐそこだ。新名古屋で自動改札が使えなかったから名鉄の金山でも使えないだろう。さあ、有人改札に向かおう。
豊橋から乗ってきたJRの新快速を金山で降り、JRの改札を出て名鉄の有人改札に向かい、駅員に「三河湾・日本ラインゾーン」のゾーン券を見せた。駅員は、
「えーと、これ金山でも使えるのかなあ?うーん・・・」
と、ゾーン券を見てしばらく考え込んでいたがゾーン券の図に「新名古屋〜河和」の名鉄路線があることに気づいたようで、
「あ、これこっちにも行けるんだ、ってことは神宮前にも行けるわけで、ってことは金山もOKか。はい、いいですよ。」
と、やっと通してくれた。この人がこんなに迷うくらいだから、周遊きっぷって使う人が少ないんだろうなあと思った。
さて名鉄のホームに行く。金山は名鉄ホームが1つしかないので楽だ。あっちに東海道本線、こっちに中央本線のホームがある。JRホームにはさまれていてなんだか不思議だ。もっとも豊橋も似たようなものだが。
これから新鵜沼(しんうぬま)まで進むわけだから、乗るべき電車は「犬山まわりの新岐阜行き」だ。間違えないように乗ろうと思った。
ちゃんと電車がやってきたので乗る。客が多かったがなんとかすわれるようだ。電車は発車。地下におりていき、新名古屋で客が入れ替わる。それほど乗ってくる客はいなかった。そしてまた発車、地上に出た。
そして家並みの多い名古屋近郊を電車は進んでいく。この路線に乗るのもずいぶんひさしぶりだ。5年ぶりだ。
あの時は半分くらい眠ったまま犬山遊園まで乗ったから、もしかしたら景色を見るのはきょうが初めてかもしれない。しっかり見ておこう。
ぼくは旅先のめずらしい風景を見ながら犬山へ、そして犬山遊園へと進んだ。旅先の景色はどんな景色もめずらしいものである。
そして犬山遊園を過ぎて電車はスピードを落としていった。なんでも新しく橋ができるとか本に書いてあったがどうなっただろう。
橋が見えてきた。名鉄のレールは相変わらず右手にある道路と兼用の橋に向かっていくが、その左に建設中の橋があった。道路専用の橋である。あれができると車は新しい橋を通るから古い橋の方は名鉄専用になるのだろう。
今はまだ建設中だから車も名鉄の通る橋を通る。電車は徐行しながら橋に進み、車は電車をよけて停車し、車のわきを電車は進んでいく。この風景もここではもうすぐ過去のものになるのだろう。
橋を渡りきると道路からはずれて線路を進み、やがて目的地、新鵜沼に到着した。このゾーン券で名鉄に乗れるのはここまでで、あとは岐阜に行くのもJRを使わなければならないルールだ。もっとも今日はこれから美濃太田に向かうわけだが。
ぼくは電車を降りるととりあえず、JRとの連絡通路を進むことにした。
金山(かなやま)から乗ってきた電車を新鵜沼(しんうぬま)で降りた。4年前は名鉄の方の出口から降りてJRの駅を探してうろうろしていたが、今日は最初から連絡通路を通ってJR鵜沼駅に行く。美濃太田行きのディーゼル車までは時間があるので三河湾・日本ラインゾーンのゾーン券を見せていったん改札を出た。
降りて駅前をながめてみると、意外と都会であった。とは言ってもお店がたくさんあるわけではない。銀行とかがあり、その他ちょっとしたオフィス街って感じのまちなみであった。
特に買うものもなさそうなので駅に戻る。
またゾーン券を見せてディーゼル車を待った。やってきた。さすがに3連休なのでけっこう混雑している。美濃太田まで乗ればいいのでまあいいかと立って過ごす。
2月ではあるがけっこう過ごしやすい週末、ディーゼル車は今日も平野をかけぬけ、美濃太田にやってきた。ここでディーゼル車を降りる。
ひさしぶりの長良川鉄道である。三河湾・日本ラインゾーンは北濃(ほくのう)まで乗ることができるがなぜか高山本線は美濃太田から先には乗れない。なぜなのかわからないが深いわけがあるのかもしれない。
今日は関まで行って新岐阜まで名鉄に乗る。あとは名古屋に行って泊まる。あと数時間、がんばって乗ろうと思い、長良川鉄道に向かった。
鵜沼(うぬま)から乗ってきたディーゼル車を美濃太田で降り、長良川鉄道のホームに向かった。長良川鉄道に乗るのは5年ぶりである。
3連休の初日の午後であるが、長良川鉄道のディーゼル車はあまり混雑していなかった。がらがらの列車が発車する。
5年前はとっぷりと終点の北濃(ほくのう)まで乗ったが、今日は何駅も乗らず、関で降りた。
いちおうここは関市の市街地の駅であるはずなのだが、なぜか降りる客は数えるほどしかいなかった。「中京圏」では自家用車が発達しているのでたとえ市の駅でもお客は少ないのだろう。
降りるときに運転手に三河湾・日本ラインのゾーン券を見せたが、もちろん何も言われずに降りることができた。たまに周遊きっぷのことを知らない人がいるので、何も言われないのはありがたい。
ぼくは名鉄の電車の出るホームを探すことにした。
美濃太田から乗ってきたディーゼル車を関(せき)で降りた。降りるときに三河湾・日本ラインゾーンのゾーン券を見せる。
さて新岐阜行きの電車はどこだろう。
長良川鉄道のレールからそれほど離れていないところに、けっこう新しそうな電車があった。乗ってみる。お客はぼくしかいない。
きっぷはどこで買うのかわからないが、車内で買うのだろう。そのまましばらく待つ。かなり時間が過ぎる。
ようやく運転手らしき人がやってきた。そしてぼくだけ乗った電車は発車する。
なにしろ関から新関までは初めて乗る区間なので、しっかりレールを見ておかなければならない。
電車は関を出ると道路を横切る。真新しそうなレールだ。そして道路を横切ると、たちまち古そうな駅に着いた。新関の駅である。途中、どこかからレールが合流するような感じはなかったので、美濃に続いていたレールはすっかり撤去されていたのだろう。
あとは5年前に通った区間である。あの時は朝だったが、今は夕方だ。左右に山が見える場所を進んでいく。
きっぷをどこで買ったか忘れてしまった。車掌がどこかから乗ってきて、車掌から買ったような気がする。
お客はそれほど多くない。さすがに5年前ほど少なくはないが、やはりあまりこの路線は使われていないようだ。
道路の右側を走っていたレールは、そのうち道路の中央に来る。
5年前は野一色(のいしき)で乗り換えだったが、今日は新岐阜まで乗り換えなしである。競輪場前で左に曲がり、進むと右に曲がって道路から出る。そして各務原(かかみがはら)線と合流して新岐阜に到着した。電車を降りて、きっぷを渡して改札を出る。
岐阜駅まで歩く間に、そうだ、あさっての帰りの新幹線の自由席特急券がまだ「豊橋→東京」のままだったと思い出した。たぶん岐阜駅の窓口で差額を払えば「名古屋→東京」に変更してくれるだろう。
そう思いながら岐阜駅に着いた。2月なので日は短く、もう暗くなっていた。さあ、窓口に行こう。
名鉄の関から乗ってきた電車を新岐阜で降り、JRの岐阜駅まで歩いてきた。そして窓口に行く。
「豊橋→東京」の自由席特急券を「名古屋→東京」に変更してもらうのである。券はクレジットカードで買った券なので、クレジットカードを出さないといけないなんてことになったらめんどうだが、幸い現金追加でいいようで、券とお金を渡すと無事「名古屋→東京」の券が出てきた。これでよし。
「三河湾・日本ラインゾーン」の周遊きっぷのゾーン券を見せて改札を通り、エスカレーターで名古屋方面のホームに行く。青春18きっぷは使えない期間だが、3連休の初日なので電車は混雑しており、すわれないまま電車は名古屋に向けて進んでいく。もう暗く、景色は見えないがきょうの旅のしめくくりの電車なので大事に過ごそう。電車は遅れずに名古屋に到着した。ここで降りる。
さて、名古屋に来たらいつも言っている唐揚げセット定食の店に行こう。まずは行ってみる。
しかし夕食どきなので席はいっぱいだ。こりゃどこかで時間をつぶしてきた方がいいな。また来ますと言っていったん店を離れた。
よし、この名古屋駅のタワーに登ってみようと思った。こういうタワーはたぶん有料でのぼれるエレベーターとかあるのだろうと思った。まずは探してみる。
駅をいろいろ探してみた。ようやくそれらしい場所を見つけた。エレベーターの近くにチケット売り場があったので買う。そして順番にエレベーターに乗り、のぼっていく。
着いた着いた。展望台だ。
うわー、いい景色だなあ。
なにしろ名古屋は、そんなに高い建造物がないのである。名古屋城くらいだ。
土地が広いので低い建物でもやっていけるのである。だからけっこう遠くまで見渡せるのだ。もう暗いのでそんなに建物は見えないのだが、なにしろ明かりがきれいである。
函館の夜景や、神戸のケーブルカーの夜景も良かったが、こういう市街地の景色もいいなあとしみじみ思った。さあ、もうそろそろ食堂に行こう。
タワーをおりて食堂に来た。空席があったのですわり、唐揚げセット定食を注文した。
卵豆腐を食べていると定食がやってきた。もちろんおいしく食べる。
そう言えば、以前いた腰の曲がったおばあさんの給仕がいないなあと思った。今日は休みなのか、それともやめてしまったのかなあと思った。
あまりそういう立ち入ったことをきくのもなんなのできかないことにした。腰の曲がったおばあさんはいないが、相変わらず給仕はおばさんばかりできさくでいい店である。
すっかりおなかもいっぱいになったところでJRのバスターミナルに向かう。ここから今日泊まるホテルキャッスルナゴヤに向かう無料送迎バスが出ているのだ。バス乗り場で待つ。
やってきた。マイクロバスである。しかし乗客は10人もいない。やっぱり連絡バスを使う人は少ないのかな?バスは発車する。
東京や大阪みたいなねんがらねんじゅう渋滞している場所と違い、名古屋では車はすいすい進んでいく。道幅はそれほど広くもない道だが、交通量がそれほど多くないのである。
「キャッスル」と名前にあるくらいだから名古屋城の近くだろうと思ったらやっぱり名古屋城が見えてきた。そしてそのそばに大きなホテルがあり、無事到着した。バスを降りる。
ホテルにチェックインする際に、ホテルから名古屋駅に向かうバスはあるのかきいたら、朝10時半が最初のバスだと言う。それじゃ役に立たないなあ。
あしたは朝早く起きて地下鉄の砂田橋にでも向かうことにしようと思いながら風呂に入る。
壁の向こうから子供の声が聞こえる。さすがに3連休なので家族旅行客でもいるのだろうなあと思いながら、ぼくは眠りについた。おやすみなさい。