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119.最後から二番目の逃亡旅行・5日目

石勝線その2

発車

釧路駅を出て南に続く道路を進んでみたものの、入りたい食堂は見つからず、結局ローソンが見つかったので今日もローソンで夕食を買うことにする。

夕食を買って釧路駅に戻り、待合室で食事である。
食べ終わるとぼーっとしていた。駅の中を見て回ると古本屋らしい店があったが、とくにほしい本もなさそうだったのでながめるだけにしておいた。

さて、おおぞらの発車時刻が近づいた。改札が開いたので北海道フリーきっぷと指定席券を見せて入り、ホームに来て座席を探してすわった。

おとといほどたくさんのお客はやって来ず、そこそこの客の数でおおぞらは釧路を発車した。

きょうは途中駅、追分でこのおおぞらを降りる予定なので眠るわけにはいかないな、と思ったのでずっと起きていることにした。おおぞらは札幌めざして進んでいった。

帯広

おおぞらは暗い中を札幌に向けて進んでいった。

そのうち列車が高架に進んだようだった。どうやら帯広のようである。

6年前の旅行では確か高架ではなかったような気がする。時代は帯広でも移り変わっているようだ。

ぼくはいつも帯広は昼間か夜に通過してきたので、いつか観光してみたいと思っている。

列車は帯広を過ぎた。

そう言えば、6年前は帯広貨物駅で乗務員が交代したよな、と思い出した。
しかし、今回はいつまでたっても帯広貨物駅に停まる気配がない。
う〜ん、あの時だけなんらかの理由で特別だったのかな、と考えてみた。

追分到着

そしてさらに暗い中を進む。ちょっとだけ眠った気がする。起きたがまだ追分には着いていないようだ。そのまま時間が過ぎる。

ようやくおおぞらは追分に停車した。列車を降りた。もちろん降りたのはぼく1人だけのようだ。
おおぞらは札幌へと去っていった。さて、ぼくは約1時間後の夕張(ゆうばり)行きで夕張に行くことにしている。ちょっと寒いけどがんばって待とうと考えた。

だれもいない改札を外に出てみた。15年前の旅行ではこの駅の近くのそば屋で肉そばを食べたはずだが、どう探してもそれらしい店は見つからない。やはり追分も時代が進んでいるんだな、と感じた。

こうしてぼくの逃亡旅行は5日目を迎えたのである。

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石勝線その3

追分〜新夕張

追分駅の無人の改札を抜け、ホームで待っているとようやくディーゼル車がやってきた。
どうやら夕張行きのようだ。

ドアが開くのを待って乗る。
車掌さんがやってくる。別にぼくを見てびっくりしたりはしない。

列車はお客が来るのを待っているのだ。たとえ普段空気しか運ばない列車だとしてもたまにはお客もいるだろう。

それにここはフリーきっぷが売られている北海道だ。ぼくと同じように釧路からやってきて、ここで夕張行きに乗り換える客くらいゴマンといるだろう。
そう考え、すわって発車を待った。

ようやくアナウンスがあり、ドアが閉まって発車していく。

列車は盆地を進んでいく。
石勝線は追分〜新夕張間はけっこう駅があり、各駅停車はたんねんに停車していく。
しかしお客は全く乗ってくる気配もない。
そのまま列車は新夕張に着いた。

新夕張〜夕張

しばらく停車しているうちにあたりは明るくなってきた。こうやって明るくなるのを列車で迎えるのももう数え切れないほどになった。発車時刻になり、発車した。
列車は新得方面のレールと分岐して左へと曲がっていった。

たちまち沿線はどことなく古びた感じになっていった。
石勝線は、南千歳〜新得間は貨物列車も走る、優遇された路線なので立派なレールだが、新夕張〜夕張間はいまにも廃止されそうな路線なのである。それでも谷間の、植物のおいしげった中をレールは進み、列車はレールに沿って進んでいく。

そして列車は終点、夕張に着いた。

なんでも夕張駅は何回も移転を繰り返しているそうである。だから今あるこの駅もけっこうホームが新しい。

北海道フリーきっぷを見せて改札を出ると、待合室がある。ここも新しい。
そして待合室から外に出ると、右手に大きなホテルがあった。さらに右手になだらかな斜面があり、雪が降ったらゲレンデになりそうな場所が続いていた。おそらくここのホテルもここのゲレンデを使うスキー客用のホテルだろう。

スキー場

正面には「セイコマート」というコンビニがあり、左手には夕張駅がここに来る前に、さらに奥に夕張駅があったころにレールがあった跡らしい細い自転車道が続いていた。

ぼくはセイコマートで買い物するのは後にして、まずはこの自転車道を進んでみることにした。
自転車道はなだらかな上り坂となっていた。

散歩

夕張駅から続く自転車道を登っていく。
右手に見えていた、冬になればゲレンデになるらしい丘がだんだん低くなっていく。
そして、左上に見えていた夕張の街に続く道路がだんだん自転車道と同じ高さに迫ってきた。ときおり車が通る。

自転車道が街の入り口にさしかかった時、右手に何か建物を撤去したらしい跡があった。
おそらく以前の夕張駅の跡であろう。

さらに進むと街にさしかかった。とは言え今は午前7時ちょっと過ぎであるから人通りもほとんどない。
建物をぬけて進む。相変わらず鉄道が通っていたらしい跡は続いている。

そのうち街の中央に来たみたいだ。右の方に上り坂が続いている。
登ってみようかと思ったが、ちょっと登っただけで疲れてしまった。やっぱりおりて北をめざそう。

また意味ありげな建物があった。今度も昔の夕張駅っぽい建物であった。大昔はこのあたりに夕張駅があったのだろう。

童話

そのうち変なものを見つけた。高さ2メートルほどの板状のものが約2メートルおきに何枚もあり、その1枚1枚に白雪姫のストーリーが1枚に1場面ずつえがかれているものだった。
しかもその裏には3びきのこぶたのストーリーがえがかれている。

童話

なんだか変なオブジェだなあと思いながら、そのまんがを見てみた。
白雪姫を全部見て、Uターンすると3びきのこぶたのストーリーがはじまり、3びきのこぶたのストーリーが終わると最初の位置に戻ってきていた。

よくわからないけど、夕張には変なものがあるなあと思った。まあ、夕張の旅の目的地としては、この白雪姫と3びきのこぶたくらいがちょうどいいんじゃないかと思い、ここで夕張駅に戻ることにした。

まちなかを通り、古い夕張駅跡、最新の夕張駅跡を見て、下り坂をおりて駅前のセイコマートの前まで戻ってきた。
セイコマートに入り、朝食の弁当と飲み物、まんがを買っていく。

夕張駅に戻り、ベンチにすわって朝食を食べた。時刻は午前8時を過ぎ、新夕張に向かうディーゼル車の折り返し列車が到着した。多少お客が降りてくる。

ちょうどぼくも朝食を食べ終わったので、北海道フリーきっぷを出して改札に入ることにした。

夕張〜新夕張

北海道フリーきっぷを改札に見せて夕張駅のホームに入り、停車していた追分行きの列車に乗った。

朝8時だが、何人かお客が乗っている。やがて発車時刻が来た。

ディーゼル車は発車し、植物が左右におおいかぶさっているような路線を進んでいく。

何分もしないうちに列車は新夕張駅に到着した。ここで降りる。

これから新得まで乗る予定の釧路行きのおおぞらまでは約50分の待ち合わせなので、いったん改札の外に出ることにした。

ホームから階段をおりて通路を進み、改札を…改札は無人であった。

新夕張駅前

改札の外のきっぷ売場は閉まっている。今日は休日なので休みますという看板が下がっていた。

同じように新夕張駅で列車を待つ人たちが男ばかり約10人いて、きっぷ売場のそばのいすにすわっていた。
ぼくはちょっと外に出てみようかと思った。

外はおりる階段があり、階段をおりた南の方には東西に通じる大通りがあった。大通りに出てみよう。

大通りに出ると西の方にセブンイレブンがあった。便利な世の中だなあと思う。

また待合室に行き、旅行者たちと釧路行きおおぞらを待った。夕張の街をかなり長く歩いたこともあり、今回は特に駅から歩いてどこかに行こうとは思わなかった。

案内の人がいないから、持っている北海道時刻表に載っている時刻のちょっと前になったらみんなでホームに行く必要があるな、と思った。

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石勝線その4

旅行記本文

新夕張駅の待合室で釧路行きおおぞらを待っていると、発車時刻が近づいたので無人改札を通り、ホームに上がった。

自由席の停車位置に行き、おおぞらを待つ。そのうちおおぞらがやってきてドアが開いたので入った。

そう言えばこのおおぞらの指定席は取っていなかったなあ、席がいっぱいだったら立っている必要があるな、と思ったが、案ずることはなく、座席は半分も埋まっていなかった。すわってセイコマートで買ったまんがを見てすごした。

石勝線を昼間通るのは15年ぶりだが、あの時はけっこう高い山が左右にあったような気がした。
今回もそうで、高い山を見ながら過ごした。

さて、もうすぐ新得というところになって、ものすごく長いトンネルを通った。
たしかどこかの本に、このトンネルを越えるとけっこうきれいな景色が広がっていると出ていたような気がする。

トンネルを出た。けっこう見晴らしのいい景色だったが、それほどのこともない。
なんでもこのトンネルを出ると線路が右に左に曲がるとのことだが、そう言われてみれば線路がカーブしているような気がする。

そんなふうに時間が過ぎた。だんだんおおぞらから見える景色が平坦になってきたような気がする。

そしておおぞらは無事新得駅に到着した。ここで降りる。

これから乗らなければならない列車は滝川行きだが、階段を昇っておりる必要がありそうだ。

なんとか階段を抜けるとめざすディーゼルカーがあった。ぼくはディーゼルカーに乗り込んだ。

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根室本線その3

新得〜富良野

新得駅で滝川行きのディーゼル車に乗り込んだ。あまりお客はいない。いちおう帯広と旭川を結ぶメインルートではあるが、観光シーズンではないため観光客もおらず、そんなわけで客が少ないわけである。

発車時刻が来てディーゼル車が発車する。しばらくは石勝線と同じレールを登っていく。
トンネルに入り、出るといきなり列車がガタガタ言い始めた。特急の通る石勝線に比べて滝川〜新得間の根室本線は列車数が少ないためあまり整備も進んでおらず、そんなわけでガタガタするのである。

またトンネルを抜けると山の上の方から谷を見下ろす地形となる。新得から富良野(ふらの)までは6年前に通っている。確かダム建設のためレールが水没し、新しい路線ができたという話だ。
そういうレールはたいてい長いトンネルとなっている。トンネルを抜け、やがて盆地にやってくると富良野着である。

富良野〜滝川

また列車が発車する。実はぼくは富良野から滝川まで乗ると全JR線を完全乗車するのである。
もっとも山形から新庄まで新幹線に乗っていないので「準完全乗車」ではあるのだが。

6年前に乗った富良野線は、北海道のローカル線の中では最も恵まれた路線で、お客も多く観光地もたくさんあるのだが、富良野〜滝川間は富良野線ほど人家は多くないようだ。とは言え谷間を走る路線であり、ながめのいいところである。列車はあまり景色が変わらないまま進んでいく。

そして滝川が近づいた。ちょっとした小都市である滝川に近づくと多少大きな建物も多くなってきた。
JR線の最後をしめくくるにはあまりいい場所ではないかもしれない。

そしてディーゼル車は滝川に到着した。JR準完全乗車である。しかし、逃げ回りながらの旅行なので、かなりうしろめたい感じのする乗車である。
さらにぼくはまだ無事に戻るかどうか決めていない。もし「旅立つ」ことに決めたらこの完全乗車も闇と消えてしまう。

そんなことを考えながらディーゼル車を降りた。ぼくが滝川から乗る予定の特急スーパーホワイトアローまでまだ時間があるため、ぼくは北海道フリーきっぷを見せていったん改札を出ることにした。

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函館本線その2

滝川駅

滝川駅で改札を出たぼくは、また指定席券を入手することにした。とは言っても今までのように北海道フリーきっぷを見せると無料で引き替えられるものではない。
これから買うのは「ゾーン539カード」と言うもので、青函トンネルができた時にできた世界一標高の低い駅、吉岡海底駅もしくは竜飛海底駅が見学できるという特別のきっぷである。
今回買うのはそのうちの「竜飛海底駅・青函トンネル記念館見学コース」というもので、なんとケーブルカーで海底駅から地上に出られるというお買い得のきっぷなのである。

あした快速ミッドナイトで函館に着いたらすぐ出る快速海峡号で行けるコースにした。

滝川のみどりの窓口で券を頼んだら無事空いていたので金を払って受け取った。

そうするうちにスーパーホワイトアローの発車時刻になった。北海道フリーきっぷを見せて改札を通り、ホームに行き、指定席の位置で待った。やがて札幌行きスーパーホワイトアローのピッカピカの車両がやってきた。ぼくは今までいつも札幌から旭川の間を昼間特急に乗る時はライラックばかりだったから、スーパーホワイトアローに乗れて良かったなと思う。

滝川〜札幌

停車し、ドアが開く。

指定席に行くと、なんと5人くらいしか乗っていない。

ぼくの乗る席におじいさんおばあさんが乗っていた。空いている席にすわっても良さそうだったが、いちおう札幌までの間に他の誰かが乗ってくるかもしれないのでどいてもらってすわった。

スーパーホワイトアローは発車する。石狩平野を軽快にかけていく。

結局ほとんどお客が来ないまま札幌へと向かっていった。

ひょっとしたら自由席は混雑しているのかもしれないが、今まで乗ったライラックがいつも大混雑していたのに比べるとこの差はなんなのだろうと感じた。

景色は畑の風景から家並みが多くなり、やがて札幌近郊の都会の風景へと移り変わっていく。
そして札幌が近づくと列車は高架に昇っていった。去年3月以来ひさしぶりの札幌である。

列車はすいたまま、札幌駅へと到着した。

ぼくは列車を降りた。まだ午後3時である。ぼくはJRはすべて乗ったが、私鉄はまだまだ乗っていない場所が残っている。そのうちの1つ、この札幌の地下鉄と市電に乗ろうと思い、まずは地下鉄に乗るついでに著名な観光地である羊ヶ丘展望台に行くことにして、北海道フリーきっぷを見せて改札を出て地下へと向かった。

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札幌市営地下鉄・東豊線

さっぽろ駅

JR札幌駅を出て地下へ向かうとぼくは南東方向に向けて歩き始めた。

めざすのは札幌市営地下鉄の東豊(とうほう)線のさっぽろ駅である。
南北線のさっぽろ駅より東の方にあるらしいからである。デパートの女性服飾売場らしい場所を通り抜けて進んだ。

なんとか地下鉄の入り口らしい場所にやってきた。

自動券売機に向かい、まずは地下鉄・市電1日乗車券を買うことにする。
市電に乗れないものだと800円だが、今日は市電にも乗る予定なので1000円の方の券を買うのである。

去年3月に使った地下鉄用のウィズユーカードが190円分残っていたのだが、1日乗車券には使えないような気がしたので現金で買った。そして改札に通して階段をおりてホームへと進んだ。

さっぽろ〜福住

1日乗車券を見ると「さっぽ」という文字が打ち込まれている。ここの1日乗車券は乗った各駅が券に打ち込まれるようになっているのだ。大阪市営地下鉄の1日乗車券もそうだったなあと思い出す。

今日めざすのは札幌の観光地である羊ヶ丘展望台だ。そこに進むには東豊線で福住(ふくずみ)に行くとバスが出ているらしいので、まずは明るいうちに行っておくことにするのである。
ひょっとしたらこの市電にも乗れる1日乗車券が使えるかもしれない。まずは行ってみようと思った。

福住方面のホームで電車を待つと電車がやってきた。東豊線に乗るのは初めてだが、去年乗った中では、南北線よりも東西線の方に似た車両だなあと思った。
ドアが開いたので乗る。やはり去年乗った南北線よりもお客が少なそうだなあと思った。電車は南へと進んでいく。

大通でもそれほどお客は入れ替わらず、南へと進んでいく。各駅でお客が少しずつ降りていき、しばらくして福住到着である。
エスカレーターを昇って1日乗車券を自動改札に通して外に出た。

羊ヶ丘展望台1

そしてさらに階段を昇るとバスターミナルになっていた。羊ヶ丘展望台行きのバスはどれかなあと見回すとちょうどあったので乗った。
東京近郊のバスと同じような方式ならばここでカードを通す必要がありそうだなと思って1日乗車券を通した。無事通った。どうやらこのバスには1日乗車券で乗れそうだ。

空いている席にすわるとドアが閉まり、発車だ。バスはバスターミナルを出ていく。
地下鉄の端の駅をバスターミナルにするのは効率が良さそうだなと思ってみる。

バスは住宅街を通り、徐々に標高を上げていく。羊ヶ丘展望台にバスで行く客はこの時刻だとあまりいないようで、終点に近づくとお客はみんな降りていく。近所の主婦が多いようだ。

そして羊ヶ丘展望台らしい場所の入り口まで来るとドアが開き、女性がやってきた。

「入場料金の500円いただきます。」

よくわからないが、バスに係員がやってきて入場料金を徴収するものらしい。500円払う。
女性は降りていく。そしてバスは門をくぐり、最後の登りに入った。

そして登り切ると終点だ。丘が広がっており、丘と反対側にはみやげもの屋っぽい建物がある。
ぼくはバスを降りた。ガイドマップなどで見た羊ヶ丘展望台はここのようだ。

さすがに実際目の前にすると違うな、と思った。ぼくは丘の方を見て、札幌市街を見下ろしてみた。

羊ヶ丘展望台2

羊ヶ丘展望台で、札幌市街を見下ろしてみた。ここは地下鉄の福住(ふくずみ)駅からそれほど離れていないし、それほど標高も高いわけではなさそうだが、なぜか札幌市街がけっこう低い位置に見えた。けっこう登っていたらしい。なかなかながめが良い。

まずはバス停の、帰りの福住行きの時刻を調べてみる。あれ、あと1時間で終わってしまう。夜も楽しめるところかと思っていたが、午後5時ちょっと過ぎでおしまいらしい。まあどうせこれから地下鉄に乗りまくる必要もあるし、早めに回ろうと思った。

それが済むとクラーク博士の像を見てみた。

外国人

ものの本に載っていたとおり、右手を水平に伸ばしている。観光客がクラーク博士を背に写真を撮っている。ぼーっとして過ごした。

ものの本には丘に羊が放牧されていると書いてあったはずだが羊は見えない。まあ、午後4時過ぎだからかもしれない。朝早くだと羊もいるのだろう。

クラーク博士をひととおり見終わると、みやげもの屋に入ることにした。

買い物

さすがに観光地なので、「これぞ羊ヶ丘展望台」というみやげものもあるにはあるが、たいていのみやげものは千歳空港でも買えそうなものばかりだ。とりあえずキーホルダーを買っておく。

それからまたひとまわりして、結局ソフトクリームを買った。今日は昼食を食べていないのでここで食べてもいいのだが、どうせなら夕食を豪華にしようかと考え、ここではたいして食べないことにした。

ソフトクリームを食べながらみやげもの屋を出た。出るとクラーク博士と反対側にもう1つ建物があった。おそらく結婚式とかできる場所なんじゃないかと思った。

こういう丘の上で結婚式とかしたら楽しそうだなあと思った。

さて、もう帰りのバスの時刻だ。

羊ヶ丘展望台は、なんだかちょっとした観光地って感じでいいなあと思った。やっぱり来てよかった。

バスがやってきたので乗り込んだ。また1日乗車券を通した。あまり混雑していない福住行きバスはもと来た道を逆に進み、混雑しないまま福住駅のターミナルに到着した。

さあ、がんばって地下鉄に乗ろう、まずは東豊線の終点の栄町に行こうと思い、1日乗車券を出してバスターミナルから地下鉄の改札口へとおりていった。

福住〜栄町

1日乗車券を通して福住(ふくずみ)駅の自動改札を通ると、1日乗車券の「さっぽ」と書いてある行から2行空白が空いて、その下に福住と印字された。

どうやらバスで羊ヶ丘展望台まで行ったのがいちおう記録はされているが、印字はされていないらしい。なかなかおもしろいシステムだなあと感じながらホームに降りていった。

停車していた電車に乗る。そして電車は発車する。
予想される通り、さっぽろに近づく間はあまりお客が増えず、さっぽろで乗ってきた。そして栄町に行く途中で徐々に減っていき、それほど多くない客数になって終点栄町に到着した。

1日乗車券を持っているからこのまま乗っていてもいいとは思うが、それじゃつまらないからいったん降りてみよう。

自動改札を通り、階段を昇って外に出た。

そこは福住みたいなバスターミナルではなく、ただの車通りの多い道路だった。高い建物はないが、まだまだ市街地で、ちょっとした建物が並んでいた。
いちおうバスも福住みたいに通ってはいるようだが、停留所が散在するだけで福住みたいに便利なわけではなさそうだった。だからおそらくこのあたりでは、地下鉄の駅にとても近い家の人だけ地下鉄を使って、そうでない人は自家用車を使うのかな、などと考えてみた。

何もしないで帰るのもなんなので、自動販売機でジュースでも買っていこう。
ぼくは全国の列車に乗っているのだが、自動販売機でジュースを買って折り返す駅がとても多いのである。
ただし、まだ夕張のセイコマートで買った飲み物が残っているのでこのジュースは函館行きミッドナイトの中で飲むことにして、リュックにしまっておくことにした。

栄町〜大通

また階段をおり、自動改札に1日乗車券を通してホームに行き、福住行きの電車に乗る。
今度は大通で降り、東西線に乗り換えて西に進んで宮の沢に行こうと考えた。反対方向の新さっぽろ方面は去年乗っているからだ。

そして、大通で乗り換える時に時計台に行ってみようと考えた。時計台は大通がもより駅だからである。

電車が発車する。また客が少ないままさっぽろまで来て、さっぽろで客が多少乗ってくる。
そして大通に着いた。ここで降りる。

時計台に行くにはどの出口から出ればいいかわからなかったが、なんとなく他の人と逆方向に歩くと行けそうな気がしたのでそのとおり歩いてみた。出てから道を進んでなんとか時計台の前までやってきた。

いろいろな案内で見たとおり、まちなかにあるためそれほど情緒のある建物ではなかったが、なにしろぼくが生まれる前からずっと札幌にある建物だと思うとすごいなあと思う。ちょうど午後6時となり、リンゴン鳴った。

時計

実はぼくは悠久の時を重ねる寿命の長い建造物よりも、決められた期間が過ぎると取り壊されることが決められている寿命の短い建造物の方が好きなのである。でも、寿命の長い建造物にはそれなりの威厳があり、謙虚に見つめなければならないものだと思っている。

時計台は道を渡って道の向こうから見てみた方がかっこいいとどこかに書いてあったのでそうする。見栄えはこっちの方がいいような気がする。
ひととおり見たので宮の沢に行こうと思い、ぼくは地下鉄の入口を探すことにした。

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札幌市営地下鉄・東西線

大通〜宮の沢

時計台から南に進む。東西線は大通公園の真下にあるはずだから、ひとまず大通公園まで行こうと考えた。

大通公園まで行き、階段をおりる。そして通路を進んでなんとか大通駅の改札に着いた。1日乗車券を通し、東西線ホームへ向かった。

宮の沢行きがやってきたので乗る。どことなくお客が少ない。駅ごとにお客が降りていった。
そして車内はがらがらになり、宮の沢に到着した。ここでもまずは地上に出てみよう。

階段を昇って地上に出てみた。もうすっかり暗くなっている。ここはもともと地下鉄が来ていなかった所だと言われてなるほどと思う。いちおう住宅街にはなっているようだが、車通りは少なく、お店も少ない。どこかうまそうなものが食べられるお店があったら寄ろうとは考えてみたものの、そんな店もない。自動販売機はあったので栄町に続いてここでもジュースを買うことにする。
さて、階段をおりて1日乗車券を通してホームに来る。また大通まで乗る。だんだんお客が乗ってきたが、それほど混雑もせず、電車は大通に着いた。

計画

さあ、もう7時過ぎである。夕食を食べる必要がある。普通ならすすきのとか行くのだろう。
しかしぼくは考えた。すすきのにもまずいラーメン屋があるかもしれない。
うまい店のかくれみのを着たまずい店があるかもしれないのだ。

それより、これから札幌に唯一残る市電に乗ろうと思っているのだが、市電の通るルートの途中にラーメン屋でもあったら寄ってみたいと思った。
すすきので安穏として店をかまえるよりも、わざわざすすきのから離れた場所で1軒でがんばる店の方がここで寄るにはふさわしいのではないかと考えたのだ。

ほんと言うとすすきのは客引きがとてもこわいといううわさを聞いたことがある、と言うのも理由の1つである。

さて、改札を出て階段を昇り、地上に出た。市電の乗り場はどこだろう。

交差点からちょっと南に進むと、右手に停留所が現れた。さあ、市電に乗ろう。

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札幌市電

乗車

札幌市電の西4丁目の停留所に向かい、停車していた電車に乗り込んだ。

1日乗車券を車内のカードリーダーに通すと、乗車券には「電車」と印字された。
よくわからないけど市電だとこう印字されるらしい。

車内は多少混雑している。ぼくがすわってしばらくすると席はいっぱいになり、立ち客がちょっとだけ出た。
市電はいつでもこのくらいお客がいるのだろう。全国各地の市電に乗っていて、札幌は最後になってしまった。
なんとかここの市電は残りそうだな、と感じた。

西4丁目〜西線14条

発車時刻になり、電車は西4丁目を発車した。
そのまま西へ進んでいく。

停留所ごとにお客が降りていき、そのうち電車は南へと向きを変えた。
この路線はほかの地域の市電と同じように道路のまんなかにレールを敷いて進んでいくものだが、他の市電より車通りの少ない場所を進んでいるようである。JR札幌駅からまっすぐ南に通じる道路、大通公園に沿った道路よりも車通りが少ない。

お客は降りていく。さすがに乗ってくる客は少ないが、お客が多くてなによりである。
札幌駅からかなり離れているにもかかわらず、家並みは混雑している。札幌は大都市なんだなと感じる。

ぼくは目をこらしてまわりを見て、ラーメン屋がまわりにないか探した。

あった!ぼくはラーメン屋を見つけるとただちに出口に向かい、ドアが開くと電車を降りた。

夕食

そこは「西線14条(にっせんじゅうよんじょう)」という停留所だった。停留所のすぐそばにラーメン屋がある。安全地帯から横断歩道を通って歩道に向かい、ラーメン屋に向かった。

ラーメン屋に入り、ラーメンを注文する。ラーメンがやってきた。食べる。やった!ここはうまい店だ!

ラーメン

すすきのを避けて市電沿いにあるラーメン屋に向かったぼくは正しかった。こうやってぼくはまた1つ、うまい店を見つけたのだ。旅行先でいろいろなラーメン屋に行ったことがあるが、まずいラーメン屋に行ったことももちろんたくさんある。だからこそうまかった時の喜びは大きいのである。
もしみなさんが札幌の市電に乗る機会があったら、ぜひ西線14条のラーメン屋に寄ってみて欲しい。

とにかくラーメンを食べ終わり、満足してラーメン屋を出た。さてもちろんぼくは同じ方向に市電を乗り続け、すすきの停留所に行かなければならない。安全地帯に向かい、電車を待った。

西線14条〜すすきの

電車がやってきた。ドアが開いた。電車に乗り、またカードリーダーに1日乗車券を通すと、ここでも「電車」と印字された。
電車はお客はいるが空席があり、空席にすわった。ドアが閉まり、電車が発車する。

しばらくするとロープウェイ入口に着く。このロープウェイは藻岩山(もいわやま)に登るロープウェイで、夏場は午後7時過ぎでも運行されているのだが、11月は夜間は運行されていない。だから降りる客も地元の客だけだった。
電車は東へと曲がり、ちょっと進んで北へ曲がった。すると乗る客の方が多くなった。とは言え乗る客はわずかで、満席にならないまま電車は進んだ。

電車がもう1度東に曲がり、しばらくすると電車はいままでの住宅街から商店街へと進んでいった。
そして終点、すすきのに電車は到着した。ここで降りる。

さあ、東西線の大通〜新さっぽろ間には去年乗ったから、あとは南北線に乗ればいいなと思いながら、ぼくは電車を降りて地下鉄の入口を探した。

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札幌市営地下鉄・南北線

すすきの〜真駒内

すすきのの停留所で市電を降りると、急いで南北線の入口を探した。
なぜなら客引きにつかまるとまずいからである。
しかしすすきのの繁華街までは距離があるのでここまでは客引きはやってこないようだ。

横断歩道を渡って入口から階段をおりていった。
そして自動改札に1日乗車券を入れて進み、エスカレーターをおりて真駒内(まこまない)行きのホームに出た。

電車がやってきてドアが開いたので乗った。混雑はしているが、すわれないほどではなかった。
電車は発車し、各駅でお客を降ろしていく。

うわさに聞いていたとおり、途中でレールは地上に上がり、高架になった。
しかも高架はシェルターに囲まれているのだ。長い冬の雪への対策なのだろう。

真駒内〜麻生

お客は降りていき、だいぶ少なくなったころ終点真駒内に到着である。
6年前に雪祭りで札幌に来た時は真駒内には来なかったが、また雪祭りに来る機会があったら真駒内にも行ってみたいなと思った。

まずは改札を出てみる。
そこは福住(ふくずみ)と同様か、それ以上のバスターミナルとなっていた。ここで地下鉄から乗り継いで遠くへ向かう人が多いのだろう。なかなかたいへんである。

バスターミナルが見られたのだから、栄町や宮の沢みたいに飲み物を買うこともないだろうと思い、また自動改札を通って地下鉄に戻った。さて、今度はもう一方の南北線の終点、麻生(あざぶ)に行こう。

電車は発車する。すすきのまで全然お客が乗ってこない。すすきので乗ってくる。大通、さっぽろで客が入れ替わり、入れ替わった客が麻生に近づくにつれ、徐々に降りていき、少なくなっていく。

そして電車は終点、麻生に着いた。これで全国の地下鉄に乗ることができた。
神戸で新しい地下鉄が建設中とのことだが、もしそれができたら乗ってみたいなあ、でもぼくは今、この世から「旅立つ」かどうかまだ決めていないんだったっけ。

麻生〜さっぽろ

旅立つかどうかはともかく、麻生でもいったん外に出てみた。
栄町とほぼ同じくらいの車通りのある交差点であった。JRと接続していない地下鉄の終点で、バスターミナルになっているのは真駒内と福住だけ、ということになる。

なぜなのかいろいろ考えたが、札幌は駅の南に市街地が広がっているため、もし札幌から真駒内や福住を経由してずっとバスを南に通すことになると渋滞にひっかかって定時運行が難しくなる、だからバスターミナルを真駒内や福住に置いてお客を乗り継がせる、それに比べて北の方は渋滞しないから直接札幌からバスを通しても定時運行が可能である、といった差なんじゃないかと思っている。

また飲み物を買っていこう。ちょっとリュックが重くなったが、快速ミッドナイトの中ってのどがかわくからこのくらいすぐに消費できるだろう。

階段をおり、麻生駅に戻る。そして今日最後の地下鉄に乗る。
自動改札を通って真駒内行きの地下鉄に乗ると発車する。お客はあまりいないまま進み、ついにさっぽろ着である。

ぼくは電車を降り、エスカレーターを昇って自動改札に1日乗車券を通して外に出た。
1日乗車券は記念にとっておこう。

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