2000年11月・2日目


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津軽海峡線その1


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[福井駅]
福井駅の中をうろうろすると、待合室を見つけた。

いかにも地元っぽい人たちがみんなでテレビを見ていた。

とりあえずぬれてしまった靴下を持ってきたものと交換する。そしてファミリーマートで買ってきた弁当を食べた。

そのうち地元の番組が終わり、キャイーンの番組になった。

キャイーンの2人と大澄賢也さんが運動して、先に所定のカロリーを消費した人から3つある食事メニューのうちどれがカロリーが低いか選ぶ番組だった。

おもしろいなあと思いながら見ていた。ぼくは旅先でテレビを見るのが好きなのである。
そんなふうにして時間を過ごすともうすぐ午後8時である。ぼくは日本海1号の出るホームに向かうことにした。

きっぷを見せて改札を通り、階段を昇っておりてホームに向かう。きっぷに書いてある寝台の車両が来る位置にやってきた。しばらく待つ。きっぷによれば今日の寝台は上段のようだ。
ぼくはいつも寝台は下段だったから、上段ははじめての経験になる。
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[就寝]
やがて寝台車がやってきた。

中に入り、寝台を探す。

にぎやかそうに笑っている家族が下段にいた。JRの寝台は、寝台1つにつきおとな1人とこども1人が一緒に寝ることが可能なのである。そのルールをうまく利用した4人家族であった。

失礼しますと言って荷物を上に上げ、はしごを広げて上に昇り、横になった。

下からこんな母親の声が聞こえる。

「こら!静かにしなさい!上の人に迷惑でしょ!」

なんだかぼくは今日ここに寝ることにより、平和な家族の安息を乱してしまったような気がした。

ファミリーマートで買った飲み物を飲んだり、野球の本を読んだりしているうちに眠くなってきた。
知らないうちにぼくは眠ってしまったようだ。
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[起床]
目が覚めた。

ゴトゴト走っている。ここは寝台特急日本海1号の中だ。お昼ちょっと前に函館に到着する。

時計を見ると…ありゃ、もう午前11時を過ぎている。

ぼくは福井で日本海1号に乗って、12時間以上も眠っていたのである。もう列車は北海道に入っている。左手には見覚えのある江差線の風景が広がっていて、右手には、前方に函館山が見えてきている。

寝台の下段はからっぽである。青森までに4人家族は降りたのだろう。

もうすぐ函館なので荷物をまとめて降りる準備をすることにした。函館山は近くなり、列車は右にまわりこんだ。

そして函館駅のホームに到着した。列車を降りる。15年前に来て以来、もう5〜6回来ている函館だ。きっぷを渡して改札を出る。ああ、本当に逃げ出してきたんだなあと思う。それとともに、会社にしばられている自分よりも、自由な自分としての方が自然な感じがした。

さて、これから北海道を乗り回る予定なので、当然北海道フリーきっぷを買う必要がある。ぼくは出口左手にあるツインクルプラザに向かった。

そして北海道フリーきっぷを買う。これで7日間北海道のJRは乗り放題である。

以前この北海道フリーきっぷを買った6年前の旅行では、指定席券は急行利尻に乗った指定席だけで、あとはずっと自由席に乗ってきていたが、今回の旅行では指定席にたくさん乗ろうと思い、まずは納沙布岬(のさっぷみさき)をめざすことにした。それで、今日最終の札幌行き北斗を南千歳まで、それから夜行の釧路行きおおぞらを南千歳から釧路まで指定席を取った。まずはこれで北斗の発車する時刻まで函館を散歩できそうだ。
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[昼食]
つづいて食事である。以前見かけた青春18きっぷを紹介している本に、札幌から函館行き快速ミッドナイトで函館に着いてから、青森行き快速海峡に乗り換えるまでの時間に函館の朝市に行って「巴丼(ともえどん)」を食べるというのを読んだことがある。
ぼくもその本の通りに巴丼を食べてみようと思った。朝市は朝でなくても営業しているらしい。

函館駅から海沿いを函館山の方向に歩き、市場のような店が続く一角にやってきた。

青春18きっぷを紹介している本で紹介している店がどこかわからないが、どこで食べても同じようなものだろうと思い、目に留まった店に入ることにした。

その本では「巴丼」と紹介されていたが、そこの店のメニューにはずばり巴丼というメニューはなかった。
その代わり、それらしき「うに・いくら・ほたて丼」というものが売っていたのでそれを頼んだ。

しばらく待つとやってきた。食べる。うまい。

やっぱり海のそばのとれたての海産物は何でもうまい。ぼくは舌が肥えていないので、「うまいもの」と「ものすごくうまいもの」の区別はできないが、これはきっとものすごくうまいものなのだろう。やっぱり朝市でものを食べて良かったなあと思う。

すっかり満足してお店を出た。
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函館市電その1


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函館駅前〜湯の川
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函館駅前〜十字街
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[函館駅前〜湯の川]
函館の朝市の食堂を出たぼくは、JR函館駅の南にある函館市電の停留所にやってきた。

これからぜひ行ってみたい場所がある。それはトラピスチヌ修道院だ。

なんでも市電を終点の湯の川まで乗って、そこから歩くと行けるらしい。

実はここには15年前にも行ってみようとしたことがあるのだ。しかしあの時は、湯の川からではなく函館駅から歩こうとしてしまい、湯の川まで歩いたところでギブアップして市電で函館に戻ってきたのである。いわばリベンジである。

待っていると湯の川行きがやってきた。乗る。混雑はしていたがすわれた。

右に左に電車は曲がり、市街地を通り過ぎていく。

そして市街地のまま、市街地の一角に湯の川の停留所がある。ここで終点である。

ぼくは市電を降り、かさをさして北の方角に向けて歩いていった。
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[買い物]
ふと公衆電話を見つけ、あることに気がついた。ぼくは116に電話し、タイムプラスとテレホーダイを解約しておいた。
今後家に戻るか戻らないかわからないが、しばらくの間ネットはしないと思われるのでここで解約しておくのだ。そしてまた北に歩いた。

分かれ道にさしかかった。まっすぐ行くべきか右に曲がるべきか。
ぼくは右に曲がってみた。

しばらく歩くとダイエーがあった。それとともにバスの停留所があり、路線図もあった。
ありゃ、トラピスチヌ修道院はさっきの道をまっすぐ進めばよかったか、と気がついた。

ひとまず買い物していこう。

まずはこれから必要になるだろうと思い、北海道時刻表を本屋で買った。そして飲み物を買っていく。

それから北海道時刻表を広げ、公衆電話であしたの網走の宿を予約した。あした根室まで行って納沙布岬(のさっぷみさき)を見た後で網走に行く予定だからである。無事予約できた。
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[到着]
ふたたびトラピスチヌ修道院に向けて歩き出した。

てくてく歩いて、また右に曲がる曲がり角を見つけた。今度の曲がり角は上り坂だ。今度こそトラピスチヌ修道院に行けそうだ。

坂をのぼって行く。かなりの上り坂だ。修道院ていうのはやっぱり坂の上にあるんだなあと思う。

途中車が追い抜いて行くが、意外と車は少ない。トラピスチヌ修道院と言うくらいだから観光バスくらい来ると思われるが、ひょっとしたら観光バスは今のぼっているやや細い道ではなく、もうちょっと太い道を通るのかもしれないな、と思った。

ふと視界が開けた。左手に広い駐車場がある。おそらくトラピスチヌ修道院用の駐車場だろう。
元気になってさらに進む。

着いた着いた。おごそかな門があり、観光客がわいわい集まっている。やっぱり苦労して歩いて良かったなあと思った。

すっかりくつの中までぬれてしまったが、そんなことも忘れてぼくはトラピスチヌ修道院の門をくぐった。
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[修道院]
トラピスチヌ修道院の門の中は、雨の平日だというのに観光客でいっぱいだった。

正面に大きな建物があり、右手にみやげもの屋らしい小さな建物がある。

まずは階段を昇り、大きな建物に近づいてみることにする。
とは言っても道は通じていない。修道院そのものは観光客に開放されているわけではないのである。こんなものなのかなあと思った。

お客は外国の人が多いようである。たくさん見受けられる。

しばらくうろうろしていたが、他に行く場所もないし、しかたなくみやげもの屋に入ることにする。

みやげもの屋ではいろいろなものを売っていた。とりあえずぼくはバター飴を買ってみた。
この時点では帰ってくるか決めていなかったのだが、ひとまず買うことにしたのだった。

みやげもの屋はものを売る場所に混じって、トラピスチヌ修道院の歴史とか、日本や世界に広がる修道院のあれこれとか、修道院では自給自足で、農作業を行っていることとか、バター飴のつくり方とかが展示されていた。

外国人のツアー客らしい集団がそれらの展示物を見て、コンダクターに説明を受けているようであった。韓国の客らしい。
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[バス]
ひととおり見終わったので帰ることにした。けっこう雰囲気のいい場所であった。雨が降っていなかったらまた違う雰囲気かもしれない。

門を出てすぐの停留所っぽい場所に出て帰りのバスの時刻を調べようとしたら、もうこの停留所は使われていないので坂をおりたところにある停留所を使うようにとのこと。

行きに来た南から来る道とは別に、西に進む下り坂があったので進むことにした。
てくてく坂をおりると、あまり時間もかからずに坂をおりきり、大通りに出た。そしてバス停も見つけた。あまり待たずに函館駅行きがやってきた。

バスに乗り、函館駅をめざす。さっきまで歩いてきた道をあっという間に戻り、湯の川までやってきた。
そしてさらに市電沿いに進み、函館駅まであとちょっとという所までやってきた。それにしてもこのバス、お客が少ない。函館駅に近づくと客が増えるはずなのに逆に減り、ぼくだけになってしまった。

運転手に、このバスは左に曲がって車庫に行くから函館駅に行くならここで降りるように言われた。言われたとおり降りた。

ぼくはひとまず函館駅に戻り、函館山に行くバスの時刻でも調べてみようと考えた。
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[函館駅前〜十字街]
函館駅に戻ってきたぼくは、バスターミナルに行き、函館山行きバスの時刻を見てみた。

しかし、かなり待つバスしかない。ちょっと時間がもったいなさそうである。

やっぱりロープウェイで行こうと思った。となれば市電で十字街に行けば良い。

ぼくはまた市電の乗り場に行った。今度は湯の川とは反対方向、谷地頭(やちがしら)行きか函館どっく前行きに乗れば良い。しばらく待つと谷地頭行きがやってきたので乗った。
けっこう混雑していた。

市電は市街地をすいすい走り、函館山の方向に向かっていく。
そして山につきあたったところが十字街の停留所である。右に進めば函館どっく前、左に進めば谷地頭だ。ここで降りる。

どこかで見た案内では確か、函館どっく前方面に若干進んで、左に曲がるとロープウェイ乗り場だったような気がして歩いてみる。すると左にちょっと急な上り坂があり、突き当たりにロープウェイ乗り場があった。とりあえず歩いてみることにした。
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函館山ロープウェイ


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[のぼり]
函館市電の十字街の停留所から若干歩くと、ちょっと急な上り坂が見え、突き当たりにロープウェイ乗り場があった。とりあえず歩いてみる。けっこう時間がかかった。

やっと乗り場に着いた。あまり市電で来るお客は多くなさそうだが、その他のお客がけっこういたようだった。
ぼくは2年前の9月の北海道旅行で行った七重浜近くの函館フェリー港で手に入れた割引券を使って、1割引で往復のロープウェイのきっぷを買った。
そして並んで順番を待つ。

やっと時間が来た。進んでロープウェイのゴンドラに入る。もちろんすわれない。そして発車だ。

ぐいぐい登っていく。函館市街が低く低く小さくなっていく。15年前にも函館山には登ったが、あの時は倹約してバスで登ったので、ロープウェイのながめは初めてである。

くだりゴンドラとすれちがい、さらに登る。平日だがお客は多そうだ。北海道は雪のない季節は平日休日にかかわらずお客が多いのだろう。まして今日はトラピスチヌ修道院、函館山と観光客の多い場所に来ているのだから客が多いのは当然だ。

頂上が近づいた。市街地は15年前に見た函館の市街の海岸線の形に近づいている。雨はやみ、空は夕暮れである。星が見えだしており、いい雰囲気だ。
そして15年ぶりの函館山に到着である。まずはゴンドラを降りる。

どこの観光地でもそうだが、公共交通機関の通路はたいていみやげもの屋になっている。
ここもそうで、ロープウェイを出た建物から夜景の見える場所に出るにはみやげもの屋を通り抜ける必要がある。

ダイエーで買った飲み物が入ったリュックをかついで、ぼくはなんとかみやげもの屋を通り抜けて外に出て、まわりこんで夜景の見える場所にやってきた。夜景と言える暗さになるにはもうちょっと暗くなった方が良さそうな夕焼けの明るさである。
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[かんがえごと]
函館の夜景を見ながらぼくは考えた。

もしもぼくがこの世から「旅立つ」ことになれば、ぼくはこのきれいな景色も見られなくなる。

ただしぼくは生まれ変わりを信じているのだ。

ただし、地球に生まれ変われるとは考えていないのだ。

もしかしたら、広い宇宙のどこか別の星に生まれ変わるかもしれない。

その星では、この函館の夜景のようなきれいな景色、と言うより「きれい」という言葉自体がないかもしれない。

そんなことを夜景を見ながら考えているやつがいるとは、まわりの人間は誰も考えはしなかっただろう。まして、仕事がいやになって逃げ出して来ているやつがここにいるなんてことは…

そんなことを考え、この世から旅立つかどうかは、しばらく考えてみようかと考えた。

ぼくの命を救ったのは函館の夜景ということになるのかもしれない。
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[くだり]
かなり暗くなり、数分前よりも函館の夜景が鮮やかになったところで、ぼくは山をおりることにした。

またみやげもの屋を通り、列に並んで乗車券を見せ、ゴンドラに入った。またすわれない。そして発車。

ぐ〜っとおりていく。

たちまち眼下に広がるあかりの大群は、普段の景色へと変わっていく。

そして山麓の駅に着いた。まだ午後6時にもなっていないし、市電で帰る前に散歩していこうと考え、歩くことにした。
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函館市電その2


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旅行記本文
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[旅行記本文]
函館山のロープウェイの山麓駅で、駅のまわりの地図があったので見てみると、けっこうお寺が多いのがわかった。もちろんお寺と言っても西洋風の寺院だろう。
ぼくは見てみようと思い、駅を出てちょっと十字街の方向に進むと、左に曲がって横道に入ってみた。

てくてく進むと寺院のとんがり屋根が見えてきた。
やっぱり函館のこのあたりはこういう景色が似合うと思った。

もうちょっと進むとパック旅行客の団体がコンダクターに説明を受けていた。
普通のパック旅行ではこの時刻は夕食の時刻だが、さすがに函館の夜景に観光時間を合わせているので今の時間でも観光なのだろう。なかなかたいへんだなあと思いながらまた進む。

西洋の寺院の風景は終わり、大通りに出た。
さてこれからどうしようか、そうだ。ベイエリアには赤レンガの建物がたくさんあるそうだからここから行ってみようと思った。そして大通りを渡ると左に曲がり、海沿いに進んだ。

赤レンガの倉庫がたくさん並んでいた。こういう風景も函館っぽくて良い。とんがり屋根の寺院と言い、赤レンガの倉庫と言い、今まで函館を旅行した時には行かなかった場所なので、いいないいなあと思いながらあたりを歩いてみた。

入り口の開いている赤レンガの建物があったので入ってはみたが、なんのことはない、普通のみやげもの屋や洋服屋が集まった場所であった。こういう場所なんだなあと思った。
このあたりの食堂に入ってみたい気もしたが、なんとなく入ってもしかたがない気がした。食事はやめておこう。

さて、このまま歩いて函館駅まで帰るのは遠いかもしれないと思った。やっぱり十字街まで戻って市電に乗って帰ろうと思い、再び西に足を向ける。

歩いて歩いて十字街にやってきた。市電に乗り、函館駅前に戻る。この路線にもだいぶ乗ったので、すっかり景色がなじみになったような気がした。

駅に戻ってきた。札幌行き北斗まではまだちょっと時間があるが、もう今日はだいぶ歩いたのでもう歩きたくない、あとは待合室で待っていようと思った。
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函館本線その1


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旅行記本文
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[旅行記本文]
函館駅の待合室のそばには売店があったが、すでにダイエーで夕食になるものは買っていたので、お菓子だけ買っておいた。

じきに北斗の発車時刻になったので、北海道フリーきっぷと指定席券を見せて改札に入り、エスカレーターを上がって通路を進んで階段をおり、列車に向かって指定席の車両を探して乗り、席にすわった。

発車時刻になって発車である。

ダイエーで買った夕食を食べて飲み物を飲むとあとは特にやることもないのでまどろんだ。
とは言え、今日はお昼まで寝台特急で眠っていたのでいねむりするほどではない。
そのまま時間が過ぎた。

東室蘭に来た時にブレーキが故障したとかでしばらく停車した。
10分くらい停車していたが、なんとか直って走り出したようでほっとした。よかった、計画が崩れるところだった。

北斗は無事に苫小牧を過ぎ、南千歳に着いた。ここで降りる。

乗り換えのおおぞらまでは1時間以上あるのでひとまず改札を出て待合室に行き、いすにすわっておく。待合室と言ってもいすがあるだけで、部屋になっているわけではなく、通路の一部である。

テレビがあり、ダウンタウンDXをやっていた。
こうやってテレビ番組のような日常の一部をまのあたりにすると、改めて逃げてきたんだなあと思う。上司や家族はどうしているかと思う。

いいや、しっかりと逃げよう、せっかく逃げたんだから会社のことは忘れて旅行しようと改めて思い、おおぞらの発車時刻を待った。
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